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各種関係者(監査法人)

監査法人も上場に向けて、とても重要な関係者です。

上場企業は、正確な財務諸表を開示することが求められます。
通常の場合、上場の前2期間の財務諸表について監査法人の監査意見が必要となります。
これまで未上場企業として税務申告を主目的として作成してきた決算書の場合、多くの場合、すぐには監査に適合できません。また、08年4月から内部統制報告制度(J-SOX)も適用されていることもあり、上場を目指すにあたっては、従前にも増して、比較的早めに監査法人に関与してもらう必要があります



●ショートレビュー(短期調査)を受ける
 監査法人は、要請をすればすぐ監査をしてくれるわけではありません
 また、会社としても『上場を目指すにあたって自社にどのような課題があるのか?』を確認してから、本格的に上場準備を開始したいと考えるでしょう。
 そのため、監査法人にまず『ショートレビュー』を要請するのが一般的です。
 3日間程度(会社の規模で変動します)、数名の会計士が会社に来訪し、資料の閲覧やヒアリングを行います。
 その結果が後日、報告書にまとめられます。
 これまで作成してきた決算書について、上場企業に求められている会計基準に照らして修正すべきところがあるのかどうか(=監査を受けられる状況かどうか)が、ショートレビューにおける報告の中心ですが、決算書についてだけでなく、上場に向けての全般的な課題についても簡潔にですが点検・整理してもらえます。

【補足事項・留意事項】
 数年前までであれば、ショートレビューは監査法人における営業(顧客開拓)活動との割り切りをされている場合もあり、かなり割安な調査報酬でやってくれるケースもありましたが、昨今は報酬相場はアップしています。
 また、数年前までであれば、要請すればかなりタイムリーに調査をしてくれましたが、調査に先立ち事前に各種書類を提出が求められたり、質問がなされたりと、『ショートレビューをするに先立っての調査(?)』のようなことも行われているようです。
 いずれにしても、監査法人とはその後も上場後までの継続的な関わりをしていくことになりますので、良好な関係構築をしていかなければいけません。資料の提供やヒアリング対応など、整備途上の状況だとしても、なるべくしっかりと誠実に対応をすべきでしょう。
 調査報告の内容について、もし、わからない点、納得のいかない点があるのであれば議論はした方がいいと思います。場合によっては監査法人の勘違い(誤解)のようなことも起こりえます。ショートレビュー報告書は、将来上場審査を受ける際に提出を求められる可能性が高い資料でもありますので、もしも現状認識が誤っているような記載がある場合にはその場で訂正してもらった方が後々のためになります。



●アドバイザリー契約を締結する
 ショートレビューを行った後、すぐに監査契約となる場合もありますが、会計制度の整備に時間がかかりそうな場合や上場時期がまだ先で監査意見が必要となる期間ではない場合については、監査契約ではなく、まずは、アドバイザリー契約やコンサルティング契約など『監査』ではない契約を締結することが一般的です
 将来的に監査契約に移行できるよう会計制度の整備を中心に各種の指導・アドバイスが行われます。

【補足事項・留意事項】
 以下で書きますが、必要な条件が整ってはじめて監査契約に移行することになります。
ショートレビューやアドバイザリー業務によって受けた種々の(膨大な・・)指摘事項を丁寧につぶしていく必要があります。
 多くの指摘事項は時間が経てば解決するようなものではなく能動的に対応しなければ解決していきませんので、経理担当者任せなどにすることなく、定期的に経営陣(社長・役員)が監査法人からの指摘への対応状況についてチェック・確認することをオススメします。
 それをやっておかないと、予定していたタイミングで監査契約に移行できず、それが理由で上場スケジュールが延びてしまうという事態までおきかねません。



●監査契約を締結する
 上場準備段階では、通常『上場直前々期』から「金融商品取引法監査に準ずる監査」という監査契約を締結することになります
 ある程度、会計制度が整備された(されつつある)と監査法人が判断して、はじめて監査契約が締結できるようになります。
 昨今は、以下のようなやり取りが起こっていると聞きます。

 (会社)来期が上場直前々年度の予定ですので監査契約をお願いします。
             ↓
 (監査法人)すみませんが、貴社の経理体制ではまだ監査契約はできません。
     来期はアドバイザー契約でもうしばらく体制整備ですね。
     順調に対応頂けたら、その次の期からは監査契約にしましょう。
     (この一言で、会社の上場スケジュールの1年延期が確定してしまいます)

【補足事項・留意事項】
・監査契約になってからが本番です 
 「監査契約も締結しているし」と会計制度の整備や監査法人対応を経理担当者任せにしてはいないでしょうか。
 監査契約を締結していながら、種々の理由で「今期は監査意見(適正意見)はお出しできません」という事態も起こっているといわれます。状況をお聞きすると、全ての場合ではありませんが、しっかりと会社側が対応していればこのような事態を避けられたケースもあるようです。
 ということで、アドバイザリー契約のところでも書きましたが、しっかりと会計制度の整備や監査法人対応を行っていく必要があります。

・監査報告書の提出時期
 あと、監査報告書はいつ出されるものなのか?ということもよく疑問に感じられるようです。
 これは、取引所への上場申請の直前に、直前々期と直前期の2期分が一気に提出されます。
 たまに、「直前々期の監査が終わったが監査報告書を受け取っていないんだけど大丈夫でしょうか?」のような問合せを頂くことがありますが、それは大丈夫です。

・その他
 上で述べたようなやり取りがあった場合に、「どうしても今期から監査契約にしたいので、よその監査法人にあたってみる」という考えがあるようです。監査契約をするかどうかは、監査法人がそれぞれの品質管理基準で判断することですので、他の監査法人であれば応じてもらえることもありうる話だとは思います。
 ですが、IPOの実績が全くないような監査法人に変更したという話まで聞こえてくることがありますが、それはいかがなものかと思ってしまいます。
 取引所及び証券会社の上場審査では、「監査法人がどこだからダメということはありません。しっかりとした監査をやって頂けているかどうかを個別的に判断します」という姿勢をとられていますが、実際問題としては、全く実績がない監査法人や問題企業の監査をしていた監査法人の場合には慎重な(厳しい)対応が行われることもあるようです。
 上に書いた会社と監査法人のやり取りの事例のような場合、監査法人を変更したことによってかえって上場がさらに遠のいてしまうということもあるのだろうと思います。監査法人を変更しなければ1年延期で上場実現できていたかもしれません。



●監査法人の選定(どこの監査法人にするか)
 証券会社の選定同様に、どこの監査法人が一番とかいうものはないのだろうと思います。
 ただし、上場の実績が十分にあるところを選ぶのがよいのだろうと思います
 「大手監査法人は厳しいから」という声もよく聞きますが、裏をかえせば「あそこは厳しい大手監査法人の監査を受けているのか」という信頼にもなります。ですので、まずは大手の監査法人に要請してみるのはよいと思います。
 また、どうしても大手監査法人は昨今、門戸が狭くなっているのも事実ですので、実績のある中堅規模というのも選択肢としてはあってもよいのだろうとも思います。
 あと、出来ることなら、監査法人という組織レベルではなく、個人(担当してくれる代表社員、社員や主査クラスの方)がIPOの経験を持っているというのがよりよいと思います。


次回は、2007年に上場した会社の監査法人別内訳の予定です。
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テーマ : 会計・税務 / 税理士 - ジャンル : ビジネス

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