人事・労務まわりの各種課題について
上場審査において、昨今注目度が高まっているのが人事・労務まわりです。
●労基署からの調査の状況
最近数年内に、労働基準監督署からの調査が入っている場合、その状況について確認がなされます。
もちろん「調査が入った」という事実だけでは、何の問題もありません。
問題になるのは、「是正勧告書」が出ている場合などです。
指摘された問題に対して、適切な対応が図られているかどうかについて、慎重な確認が行われています。
留意事項としては、労基署の調査は、ひとつの事業所に対して行われます。指摘(是正勧告)が行われたのは特定の事業所だけだとしても、(調査が入っていない)他の事業所についても、同じ問題があるのであれば改善をしておく必要があるという点があります。
●時間外労働の管理方法、未払残業代の有無
いわゆるサービス残業や未払残業代が発生していないかどうかについて確認がなされます。
ありがちなのは、「わが社は、年俸制だから残業代は発生しない」という会社さんで、実際には就業規則や各種の労基法令に照らすと、残業代を支払う必要があるというケースです。
労働債権・債務の時効は2年とされていますので、未払残業代がある場合、遡って2年分を支払う必要があります。
また、最近では、いわゆる「名ばかり管理職」問題についても注目されています。皆様の会社の(残業代がつかない)管理職の位置づけが、労基法上の管理監督者の定義にあてはまっているといえるかどうかは、要確認でしょう。
●退職率、退職者
最近数年内の役職員の退職率、退職者の状況について確認が行われます。
退職率は何パーセント以内でないといけないという基準はありません。
業種によって退職率の高低もあると思います。
が、同じような業界の中でもその会社さんが際立って退職率が高いということがあれば、それはその会社さんに何か「問題」があるのではないかと考えられるでしょう。
全体の退職率に問題がなかったとしても、重要な役職の者(管理職クラス)が多く退職している場合もその理由は重点的に確認されます。
●社会保険への加入
パートタイマーなどについて、本来であれば、社会保険に加入させなければいけない(加入要件を満たしている)のに、加入させていない中小企業は多くあるようです。
上場に向けては、法令遵守が求められますので、加入要件を満たす人は全員が加入している必要があります。場合によっては、会社が加入させないわけではなく、労働者側が、扶養の関係等で加入をいやがるというケースもあるようですが、それでも全員加入が必須です。
パートタイマーの多い業種の場合、上場に向けて全員加入に取り組んだ結果、利益が半減してしまう会社さんなどもあるようです。
●偽装請負
「請負」という契約にしておきながら、「人材派遣」のように派遣先の企業が、その人材に対し指示・命令をすることが、いわゆる「偽装請負」問題です。こちらも最近かなり社会問題化していますので、上場審査においても注目されるポイントです。
以上が、上場審査における主な審査ポイントです。
人事・労務まわりに問題がある場合、指摘を受けてもすぐに解決が図れないものも多くあります(組織の見直しが必要になったり、給与体系の見直しが必要になったり、遡って時間外手当を支給するために過去の勤務時間の調査が必要になったりしますので)。
そのため、必要に応じて社会保険労務士さんや弁護士さんに関与してもらいながら、早めに人事・労務まわりの課題についても対応をしておくことが望まれます。
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●労基署からの調査の状況
最近数年内に、労働基準監督署からの調査が入っている場合、その状況について確認がなされます。
もちろん「調査が入った」という事実だけでは、何の問題もありません。
問題になるのは、「是正勧告書」が出ている場合などです。
指摘された問題に対して、適切な対応が図られているかどうかについて、慎重な確認が行われています。
留意事項としては、労基署の調査は、ひとつの事業所に対して行われます。指摘(是正勧告)が行われたのは特定の事業所だけだとしても、(調査が入っていない)他の事業所についても、同じ問題があるのであれば改善をしておく必要があるという点があります。
●時間外労働の管理方法、未払残業代の有無
いわゆるサービス残業や未払残業代が発生していないかどうかについて確認がなされます。
ありがちなのは、「わが社は、年俸制だから残業代は発生しない」という会社さんで、実際には就業規則や各種の労基法令に照らすと、残業代を支払う必要があるというケースです。
労働債権・債務の時効は2年とされていますので、未払残業代がある場合、遡って2年分を支払う必要があります。
また、最近では、いわゆる「名ばかり管理職」問題についても注目されています。皆様の会社の(残業代がつかない)管理職の位置づけが、労基法上の管理監督者の定義にあてはまっているといえるかどうかは、要確認でしょう。
●退職率、退職者
最近数年内の役職員の退職率、退職者の状況について確認が行われます。
退職率は何パーセント以内でないといけないという基準はありません。
業種によって退職率の高低もあると思います。
が、同じような業界の中でもその会社さんが際立って退職率が高いということがあれば、それはその会社さんに何か「問題」があるのではないかと考えられるでしょう。
全体の退職率に問題がなかったとしても、重要な役職の者(管理職クラス)が多く退職している場合もその理由は重点的に確認されます。
●社会保険への加入
パートタイマーなどについて、本来であれば、社会保険に加入させなければいけない(加入要件を満たしている)のに、加入させていない中小企業は多くあるようです。
上場に向けては、法令遵守が求められますので、加入要件を満たす人は全員が加入している必要があります。場合によっては、会社が加入させないわけではなく、労働者側が、扶養の関係等で加入をいやがるというケースもあるようですが、それでも全員加入が必須です。
パートタイマーの多い業種の場合、上場に向けて全員加入に取り組んだ結果、利益が半減してしまう会社さんなどもあるようです。
●偽装請負
「請負」という契約にしておきながら、「人材派遣」のように派遣先の企業が、その人材に対し指示・命令をすることが、いわゆる「偽装請負」問題です。こちらも最近かなり社会問題化していますので、上場審査においても注目されるポイントです。
以上が、上場審査における主な審査ポイントです。
人事・労務まわりに問題がある場合、指摘を受けてもすぐに解決が図れないものも多くあります(組織の見直しが必要になったり、給与体系の見直しが必要になったり、遡って時間外手当を支給するために過去の勤務時間の調査が必要になったりしますので)。
そのため、必要に応じて社会保険労務士さんや弁護士さんに関与してもらいながら、早めに人事・労務まわりの課題についても対応をしておくことが望まれます。
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