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関係会社・特別利害関係者との取引等の整備

未上場の企業が上場するにあたって、苦労される項目のひとつです(会社さんによりますが)。

上場企業になるということを、「プライベートカンパニーからパブリックカンパニーへ」という言い方もされますが、本論点(関係会社・特別利害関係者との取引等の整備)もパブリックカンパニーになるために必要となるものです。

未上場の企業は、その企業を支配しているのは経営者(かつオーナー株主)という場合が殆どだと思います。その場合には、企業の資産や企業の稼いだ利益は最終的には経営者(かつオーナー株主)のものになるため、会社のもの・経営者のもの・株主のものということをあまり意識することはないと思います(その必要もありませんので)。

しかし、上場企業になると、不特定多数の一般投資家が株主になりますので、会社は経営者だけのものではなくなります(もちろん上場後も多くの株式は経営者が持ち続ける場合は多いですが)。
そうなりますと、その会社が稼いだ利益が一般株主をないがしろにして経営者やその親族などに流出するような事は許されないこととなります。
上場にあたって、会社の利益が経営者、その他役員など特定の者に流出することがないようにする
ため
に、「関係会社・特別利害関係者との取引等の整備」が求められているのです。

この時に、「利益が特定の者に流出することがないように」というのが、大変です。
流出しているのでは?とか、流出しかねないでは?のような疑いをもたれることがないようにというところまでが求められるからです。

文章ではあまりイメージがつかないと思いますので、端的な事案2つで説明します。


ケース①関係会社の整備(子会社の株式保有)
(状況)当社には子会社があるが、子会社の株式は、70%を当社が、残り30%を経営者一族が保有している。
             ↓
(問題点)子会社が稼いだ利益のうち30%分は経営者一族のものとなる(配当等で)。
当社と子会社との間の取引条件を子会社が有利になるように調整すれば、本来であれば当社(の株主)のものになるべき利益が経営者一族に流出してしまう可能性がある。
このような状況では、上場企業として不適当である(上場審査を合格できない)。
             ↓
(上場するためには)経営者一族が保有している子会社の株式30%を当社に移動し、当社の100%子会社にする。

ケース②特別利害関係者との取引関係等の整備(会社が所有すべき資産を特別利害関係者から賃借)
(状況)当社の工場の土地・建物は、社長が個人所有しており、当社は社長に賃借料を支払っている。
             ↓
(問題点)社長個人に支払う賃料を調整すれば、本来であれば当社(の株主)のものになるべき利益が社長に流出してしまう可能性がある。
このような状況では、上場企業として不適当である(上場審査を合格できない)。
             ↓
(上場するためには)社長が個人所有している工場の土地・建物を当社が買い取って自社所有とする。


上の2つのケースは典型的なものですが、オーナーの個人会社との取引、役員への社宅提供、役員の顧問弁護士・顧問税理士兼務、会社役員間の債務保証・債務被保証などなど多くのパターンが当てはまります。

上場準備における本論点の特徴としては、
・解決するために社外関係者との調整や多額の資金が必要になるなどによって、解決まで相応の時間を要することが多い
上場プロジェクト事務局や社内の現場部門が頑張って解決できるものではない(トップマネジメントレベルの問題が殆ど)
ということがあります。

そのため、
・上場審査で特別利害関係者との取引を解消するよう指摘された。他の審査項目は合格だったのに、本件についてすぐには対応ができず希望していた時期には上場できなかった。
・上場時期はまだ先だったが、上場のためすぐに解決するようにといわれて、厳しい内容であったが早めに対応をした(ケース②で多額の借入金を起こして土地建物を自社保有にする等)。が、他の理由で問題があり、上場は当面できないことが判明した(それなら対応しなければよかった)。
などのようなことも起こりうる話です。


このように、「関係会社・特別利害関係者との取引等の整備」は、かなり専門的な判断を要する事項でもありますので、慎重に対応を進めていただきたいと思います。

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