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ちょっと変わったストックオプション(資本政策事例)


9月17日にマザーズ上場予定のキャンバス社について、少し変わったストックオプションが発行されていますので、事例として紹介しておきます。

今回ご紹介するのは、同社の「第6回新株予約権」です。

・ポイント①付与時期が遅い
 (平成21年5月22日臨時株主総会決議での発行です。上場申請期の下期になってからの付与はケースとしては珍しいと思います)

・ポイント②権利行使価額&権利行使の条件に特徴あり
 (以下、目論見書より引用)

【権利行使価額】
公募価額と同額。但し、公募価額が2,100円を下回った場合、2,100円 
(※ 補足:8/27に決定した仮条件は、1,900円~2,100円ですので、2,100円で確定となります)

【新株予約権の行使の条件】
新株予約権者が、平成17年5月27日臨時株主総会決議もしくは平成19年9月11日定時株主総会決議に基づく当社発行の新株予約権の保有者である場合、当該新株予約権の権利を保有したままで本新株予約権を行使することはできないものとする。ただし、当社株式の上場日より1カ月経過した日もしくは行使期間の始期前日のいずれか早い日までに、保有する当該新株予約権の全部を権利放棄した場合を除く



何故、同社がこのようなストックオプションの発行を行ったのかについては、個別事案ですので事細やかに分析コメントはいたしません(興味ある方は、ご自身でお願いします)。
ポイントは、「過去(増資・オプション)及び上場時の株価の推移」、「オプションの権利行使期間」でしょうか。

なお、本記事を読まれた上場準備会社さんに気をつけて頂きたいのは、
単純にこの事例を見て、他の会社でも同様の資本政策が実行できるというわけではない ということです。

本件は、極めて特殊なケースとして考えるべきであり、上場直前期や申請期の資本政策については、主幹事証券会社などと十分に協議の上で(主幹事証券の理解・了承を得た上で)実行をすべきところです(本件も当然にそれをやっているはず)。
他社事例を見て、勝手な判断で「増資」・「ストックオプション」・「株移動」などを行ってしまうと、取引所が定める「上場前規制」や金商法の規制などには何ら抵触していなかったとしても、『致命傷』として上場が出来なくなってしまう可能性も秘めています。

上場準備会社にとって、「資本政策」はそれほどデリケートなものですので、慎重にご対応ください。


・参考過去記事:「資本政策」はとても大切?(08/01/04)

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テーマ : IPO - ジャンル : 株式・投資・マネー

Tag : IPOストックオプション特殊事例IPOコンサル上場コンサル

COMMENTS

No title

管理人さん こんにちは ちょっと変わったストックオプションとは
関係ないのですが、公開前の株をの買い取りに関して質問させて
ください。

従業員が株式公開ができないと判断し、会社に株式を買い取ってもらう場合、通常従業員が拠出した分を買い取るのでしょうか。ストックオプションの場合は従業員が会社を辞めた場合は会社にとってはなんらかの持ち出しはあるのでしょうか。

Re: No title(ごんべえ様)

ごんべえ様

コメントどうも有り難うございます。
頂いた文章だけは十分に状況が分からないのですが、推測も含めてお答えしたいと思います。

> 従業員が株式公開ができないと判断し、会社に株式を買い取ってもらう場合、通常従業員が拠出した分を買い取るのでしょうか。
→ そもそも従業員側の判断で「買い取ってもらう」という選択肢があるケースは稀ではないでしょうか。
 なお、上場することを前提に従業員に株式を取得させたものの、上場を当面断念せざるを得なくなったというような場合には、「経営陣」が従業員保有分を買い取ることや、「会社」が買い取ること(自己株式の取得)ということが行われるケースはあろうかと思います。

> ストックオプションの場合は従業員が会社を辞めた場合は会社にとってはなんらかの持ち出しはあるのでしょうか。
→ こちらはすみませんが疑問点がよく読み取れませんでした。多くの場合、上場準備会社が発行する新株予約権(ストックオプション)は、「当社が未上場のうちは権利行使できない」とか「権利行使にあたっては権利者が当社の役職員であることを要す」のような条件を付しますので、従業員が退職したことで会社として債務・支出・費用計上のようなものが生じることはないのではないでしょうか。
 
もし説明が足りていなければ改めてコメント頂ければと思います。

公開前の株の買い取り

管理人さん ありがとうございました。

>従業員側の判断で「買い取ってもらう」という選択肢があるケースは稀ではないでしょうか。

退職であれば規定どうりやればいいけど、在職し続けるという前提
の場合、従業員のほうから言いにくいのでしょうね。

ストックオプションの件はわかりました。

ストックオプションの大量に付与

よろしくお願いします。SOに関して別件で質問します。
公開志向企業でSOを大量に付与した場合、主幹事証券より上場前の権利行使や消却を求められるそうですが、これは希薄化を避けるために主幹事証券が指示するのでしょうか。指示するぐらいであるから行使や消却をしても公開に影響がないのでしょうね。

Re: ストックオプションの大量に付与(ごんべえ様)

ごんべえ様
 「上場前の権利行使や消却」といいましても、かなりいろいろなケースが想定されます。潜在株式の比率が高すぎる(=希薄化懸念)というケースもあるでしょうし、合理的な説明が出来ない相手(単なる知人とか)にストックオプションを持たせている場合に消却(失権)させるケースなどもあろうかと思います。
「大量に付与した場合」であれば、多くの場合は、潜在株式の比率の問題化と思いますが。
そのため、単純に上場前に「行使や消却をしても公開に影響がない」と全てのケースでいえるわけでもありません。
 そのため、個別事案ごとに対応を判断していくことになろうかと思います。基本的には主幹事証券会社さんとのご相談でしょう(指示があるのであれば、その理由・背景をしっかり教えてもらうべき)。
 私としては、上場前になって、主幹事証券会社さんなど社外からの指導によって(会社の意向ではなく)ストックオプションの権利行使・消却などが必要になったとしたら、それは上場に関する知識不足などに起因する資本政策の作戦ミス(失敗)が多いのではないかと思います。

ストックオプションの大量に付与

管理人さま どうもありがとうございました。
おかげで理解できました。またよろしくお願いします。

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