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J-SOXをやりすぎた日本企業

J-SOX関連の興味深い記事がありましたのでご紹介します。

J-SOXをやりすぎた日本企業 (アットマーク・アイティ)

詳細は、記事本文をお読み頂きたいところですが、

あらた監査法人の方が、09年3月期決算にかかる内部統制について約98%が有効という好結果(?)となったことについて、
●米国SOX法を経験した大企業を中心に慎重に対応した結果
●文書化作業は多くの企業でやりすぎている
と分析しています。

その上で、制度2年目にコストを削減するポイントとして、
●監査法人との協議
●ツール活用による効率化
を挙げています。

その上で、取材した記者の方は、
●金融庁がガイドライン(実施基準)などを出すのが遅すぎた
●ITコンサルティングファームなどが危機感をあおった
ということを指摘しています。

このあたり、私も全く同感です。

特に多くの関係者(ITベンダー、コンサルファーム、学者など)が危機感をあおりすぎたということが大きいように思えます。
これらの関係者の中には、財務報告には全然関係ないことまで(※ J-SOXは「財務報告に係る内部統制なのに)、「こうしないとJ-SOXでは認められない」とか「内部統制完全対応○○システム」のような謳い文句の宣伝など、自分たちのビジネスのために無理やりJ-SOXを活用(?)した人たちがいたように思えます(「EXCELによる集計では監査法人からNGが出るのでシステム導入を・・・・」なんて話も良く聞きました)。

が、実際、重要な欠陥となった56社の内部統制報告書をひと通り読みましたが、前評判で騒がれていた論点は明らかにずれていたというのが私の実感です。
世間では、
①全社的な内部統制
②決算・財務報告プロセスにかかる内部統制
③決算・財務報告プロセス以外の業務プロセスにかかる内部統制

のうち、③の部分(いわゆる3点セットを作成し、文書化が大変とされる部分)に異常なまでにスポットライトを当てて騒いでいたように思いますが、
「重要な欠陥」56社を見ると、③の領域の不備を直接的な理由にした「重要な欠陥」というのは殆どなく、「経理スキルがある人材が配置できなかった」のようなレベルの不備や、金額的重要性がある不正事件や不適切な会計処理が発覚した事実をもって「重要な欠陥」となったものが多いように見受けられます。
あと、『IT』、『システム』に絡む「重要な欠陥」も極めて少数でした。

関係者が危機感をあおったことによって(あおったお陰で)企業が頑張った結果として③を原因とした「重要な欠陥」がほぼ皆無だったという言い方もできるのかも知れません。
しかしながら、本番年度途中における各種のアンケート(監査役協会のものなど)で、「準備が思いっきり遅れている」、「文書化が間に合いそうもない」という状況の会社が相応の比率あったこと(=全ての会社がしっかり対応したわけではないこと)を考えると、当初あおられた(ここまでしないとダメと言われた)水準に達しなかった企業についても、「内部統制は有効」との結論が少なからず(多量に?)あったのではという私の推察は、そんなに外れていないのではないかと思います。

上場企業の場合、2巡目以後をどうやって効率化・コスト削減していくかが課題になっているようです。
初年度を乗り越える為に特別対応チームを作った会社などは、2巡目からは人員・予算(コンサル予算なども)を大きく削っていくことになるようです。
文書化についても、やりすぎだった部分はシンプルに見直し、また3点セットのメンテナンスを容易にするため、2巡目からJ-SOXツールを導入するという会社もあるようです。

そして、もはや、ITベンダー・コンサルファームの関心事は、『IFRS』です。
大きな制度変更であることは間違いありませんが、「あおりすぎ」とならないことを祈ります。


段々、J-SOXの実務が落ち着いてきたようですので、どこかで「IPO準備会社でのJ-SOX対応」についても記事にしていきたいと思います(時期は未定)。

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テーマ : 会計・税務 / 税理士 - ジャンル : ビジネス

Tag : J-SOX 内部統制 やりすぎ 重要な欠陥 56社 IPO

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