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監査報酬で大もめ?(週間ダイヤモンド)


今週号(09年2月14日)の週間ダイヤモンドで、
「内部統制」元年で大もめ  監査報酬の値上げ攻勢に暗雲
という刺激的な記事が出ています。

3ページだけの記事ですが、
「四半期レビュー制度」と、「内部統制監査」という新制度の導入によって、監査報酬の値上げに関する企業-監査法人間の攻防が繰り広げられているという内容です。

「不況によって業績が低迷している中での、監査報酬の増額はとても受け入れられない」
という企業側の主張と、

「四半期レビュー制度と、内部統制監査によって作業時間が大幅に増加している」
「訴訟リスクが従来より高まっている」
「新人会計士を大量採用したもののベテラン会計士不足のため担当会社数を増やすことにも限界があり、1社あたりの報酬を増加させたい」

というような監査法人側の主張をそれぞれ紹介し、

報酬交渉の決裂による監査人の交代も増加しており、また、今後値下げ競争が起こる可能性についても触れられています。

「監査報酬が理由で監査人が移動した主な企業一覧」という一覧表も載っています。
異動日、社名、上場市場、旧監査人、新監査人の一覧ですが、ここでは備忘メモとして社名のみ引用しておきます。
トーセイ、ダイトーエムイー、ファンドクリエーション、日本アジアグループ、STEILAR C.K.M、日本製麻、アムスク、アルテサロンホールディングス、中野冷機、アマガサ



IPO準備会社にとっても、監査報酬は悩みのタネだと思います。
しかも「監査法人をどこにするのか」について、上場企業とは異なる視点での悩みがあります。
それは、「この監査法人で上場審査でOKが出るのか?」という点です。

上場企業であれば、企業規模もさほど大きくなく、しかもグローバル展開をしていないような企業は、場合によっては比較的小規模の監査法人を選定することにも合理性があるのでしょうが、IPO準備会社の場合、「大手監査法人を選定しておかないと、万が一にも監査法人に関することで上場審査に悪影響があったら困る」というような心理が働いている場合が多くあるように感じます。

証券取引所も、証券会社も、「大手監査法人でないとダメということはありません。しっかり監査をしているところであれば中小監査法人であってもそれでダメということは言いません」との説明がなされています。

ところが、08年のIPOの49社のうち、
東証本則(一部、二部)、ジャスダック(NEO含む)、東証マザーズに上場した38社を見てみると、
その38社全てが大手3監査法人だったという事実があります。
(残り11社はヘラクレス、セントレックス、アンビシャスですが、ここの中には大手3法人以外の監査法人が3社だけあります(この3社以外は大手3法人!))

こういうデータを見てしまうと、「報酬は高いもののIPOに向けては大手監査法人を選ばざるを得ない」というような現実もあるようにも思えています。
そして、しかしながら大手監査法人はリスク回避、人員不足等の理由から、IPOに消極的な状況もしばらく前には発生していたようです(門前払いのような状況もあったとも聞きます)。
監査の品質という面では、問題ないであろう中堅の監査法人もあるように思えますので、100%大手のみという現状は、今後変わっていくのではないかとは思います。


上記の08年IPO企業に関する監査法人データについては、以下の過去記事もご参照下さい。
(過去記事 08年12月2日) 08年IPOの各種統計データ(第3回 監査法人別上場会社数)


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テーマ : 会計・税務 / 税理士 - ジャンル : ビジネス

Tag : 監査法人 IPO 大手監査法人 中小監査法人

COMMENTS

資産除去債務

はじめまして。
資産除去債務にかかる環境ビジネスの展開を図っておりますが、上場企業会計担当各位には、いまだ当該案件の認知度が低いようです。
今後の進展などにご所見があれば是非コメントをお願いします。

Re: 資産除去債務

セロリの管理人 様
 コメントどうも有り難うございます。
恥ずかしながら「資産除去債務」なるもの存じ上げませんでした(国際会計基準からの流れなんですね)。
残念ながらこちらをテーマにする予定は当面ありません。
また本ブログにお立ち寄り頂ければと思います。

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