ジャスダックの行方 (信頼と活力ある新興市場の機能向上に向けたアクションプランについて)
ジャスダックの株主が日本証券業協会から大阪証券取引所に売却される見通しとなっていることを受けて、「ジャスダック市場は将来どうなるんでしょうか」という声をよく聞きます。
上場準備会社で、希望市場がジャスダックの会社さんにとっては、その行方が気になるのは当然のことと思います。
これにも一部関連して、08年8月25日のジャスダック証券取引所の定例記者会見において、
信頼と活力ある新興市場の機能向上に向けたアクションプランについて
が公表されています。
その中では
2.ジャスダック証券取引所が取り組むべき課題 として
(1)信頼性の向上に向けた制度整備 ← 『アクションⅠ』
(2)活力あるベンチャー企業の支援に向けて ← 『アクションⅡ』
(3)更にアクションプランに盛り込むべき事項が生じた場合 ← 『アクションⅢ』
が挙げられています。
直ちに行われる『アクションⅠ』については、
> まず、企業行動に関する制度整備としては、株主・投資者保護及び公正かつ健全な市場の運営という観点から、企業行動規範を制定するなどの対応を図ります。
> また、上場規則の実効性確保に係る対応として、上場廃止基準に抵触しない程度に重大な上場規則違反が認められた上場会社の継続管理をより充実させる観点から、「特設注意市場銘柄」制度を新設するとともに、投資者へ上場銘柄の状況を分かりやすく周知する観点から、現行の「監理ポスト」等の呼称を見直すなどの対応を図ります。
ということで、すでに行われている東京証券取引所における制度変更に類似した内容となっています。
【監査役会設置を義務付け】
ジャスダックへの上場準備をされている会社さんにとって、ひとつ影響があると思われるのは、
> 1.(1)①(c)上場会社の機関
> 上場会社(上場外国会社を除く。)は、次に掲げる機関を置くものとします。
> ① 取締役会
> ② 監査役会又は委員会
> ③ 会計監査人
> 会社法上の大会社以外の上場会社(上場外国会社を除く。)においても、会社法において大会社に義務付けられている監査役会(又は委員会)及び会計監査人の設置を義務付ける趣旨です。
の項です。(※ 上場準備会社だけでなく、既上場の会社にも影響あります)
東証(マザーズ含む)においては、しばらく前の規則改正によって、大会社ではなくても監査役会又は委員会(と会計監査人)設置を義務付けることとされていましたが、ジャスダックについては規則上の求めはされておりませんでした。
が、この度の規則改正によって、ジャスダックでも監査役会設置が義務付けられることとなります(経過措置あり)。
従前は、上場しても大会社にならない(=資金調達が小規模だった)場合には、常勤監査役1名+非常勤監査役1名という監査役2名体制というのが多くあったと思います。
が、今後は、大会社ではなくても、どこかのタイミングで監査役3名体制(監査役会設置=監査役3名以上)とすることが求められるということです。
東証の規則改正がなされた時点で、将来的には当然、ジャスダック等の他市場も同じことが求められるだろうというのは推測されていたことですので、驚きもしませんでしたが、もし『わが社は上場しても大会社にもならないし、ずっと監査役2名体制だ』とお考えの上場準備会社さんがおられた場合には、本改正は要チェックです。
あと、本当に関心があるのは、これから対応が図られる『アクションⅡ』(と『アクションⅢ』)です。
NEO市場がどうなっていくのかなど、注目していきたいと思います。
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