「企業内会計士」は、必要とされていない?(会計士協会アンケート)
前の記事で、会計士業界の人員余剰について触れましたが関連ネタです。
8/12付で、公認会計士協会から、以下の調査報告書が公表されています(資料の日付は、8/3)。
「組織(企業)内会計士に関するアンケート最終報報告書」の公表について(PDF)
詳細は、報告書原文をお読み頂きたいですが、
資料6ページ:A2-1会計専門家の必要性(企業に対するアンケート)を見ると、
・59.4%:必要に応じて外部の専門家を活用するので社内では不要
・ 9.0%:会計専門家の必要性は特に感じていない
・ 3.1%:社内の人材育成で十分なため会計専門家は不要
と、企業としては、社内に会計士がいたほうがよいという意見の方が少数派であることが明らかになっています。
ただ、現在は会計士が飽和状態にありますので、会計士協会としては、企業内会計士をもっと増やしていきたいということをお考えのようです。
資料50ページ:C3 -1転職先企業の目安・希望(会計士に対するアンケート)には、会計士が転職する場合の進路についてが書かれています。上位4位までは、
・1位(56%):上場企業
・2位(41%):コンサルティング会社
・3位(34%):非上場・ IPO 準備会社等
・4位(29%):独立開業
となっています(複数回答可)。
個人的には、IPO準備会社には、「会計士・試験合格者の活躍の場」が沢山ありますので、こちらの進路に目を向けられる会計士・合格者が今以上に増えていくとよいなと思っております。
(待遇面などで実現のハードルは高いでしょうが・・・)
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あずさ監査法人 アドバイザリー部門で希望退職50人募集
あずさ監査法人も人員削減のニュースです。
あずさ監査法人、希望退職50人募集 企業への助言部門(8/25 日経新聞)
以下、記事より引用です。
・・・年内に企業への助言業務を手掛けるアドバイザリー部門で、約50人の早期希望退職者を募集する。部門全体の2割強に相当する見込み。 (中略) あずさは現時点で「監査部門の人員削減計画はない」としており、給与や人事制度の見直しで対応する方針だという。 |
新日本が昨秋、希望退職募集を行っており、つい先日トーマツが400名削減を公表したところでしたが、あずさも実施するそうです。ただし、監査部門は削減しないというところに違いがあるようです。
会計士の人員余剰問題は、ベテラン・中堅だけでなく、会計士試験に合格しても就職が出来ない状況にあり、かなり深刻な状況です。。。
【参考過去記事】
トーマツ、希望退職440人募集(11/07/13)
トーマツ 10/9期決算は赤字決算(経常損失 1.7億)(10/12/16)
新日本監査法人 「お粗末経営」?(10/10/19)
「監査法人変更 4割減」の意味することは?(10/10/05)
新日本監査法人 前期は経常利益30億円(10/09/12)
新日本監査法人が400人を希望退職で「削減」(10/07/26)
トーマツは、経常「利益」が13億(09/12/28)
新日本有限責任監査法人、2009年6月期は経常損失 13億円(09/09/19)
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Klab
会社名: Klab
URL : http://www.klab.jp/
・事業内容: ソーシャル事業、SI事業、クラウド&ライセンス事業
・基準期: 2010/8
・市 場: マザーズ
・主幹事証券: 大和CM
・監査法人: 優成
・証券代行: 三菱UFJ信託
・印刷会社: プロネクサス
・想定発行価格 1,540
・上場時株数 4,910,600
・想定発行価格ベース時価総額(百万円): 7,562
(コメント)
・公募 229,700株、売出し 572,500株と「売出し」がとても多い
(補足:OA 120,300株は、第三者割当増資型)
・引受シ団が、大和CMとSBI証券の2社のみ
・監査人は、非「大手監査法人」
事業等のリスクは、下の「続きを読む」で
ブレインパッド
会社名: ブレインパッド
URL : http://www.brainpad.co.jp/
・事業内容: アナリティクス事業、ソリューション事業、ASP関連事業
・基準期: 2010/6
・市 場: マザーズ
・主幹事証券: 野村
・監査法人: トーマツ
・証券代行: 三菱UFJ信託
・印刷会社: プロネクサス
・想定発行価格 2,010
・上場時株数 1,042,000
・想定発行価格ベース時価総額(百万円): 2,094
事業等のリスクは、下の「続きを読む」で
投資マネーは、スマートフォンへ(日経記事)
スマートフォン、投資マネー呼ぶ(額を倍増・5年ぶり基金 VCが積極化)
というタイトルです。
以下、記事より引用です(下線は、私が付しました)。
国内のベンチャー企業向け投資が回復してきた。スマートフォン(高機能携帯電話=スマホ)や、ネット上の「口コミ」などソーシャルメディアを使ったサービスを企画・提供するベンチャーが新たな資金の受け皿になっている。新興企業に成長資金を供給するベンチャーキャピタル(VC)の投資額は、2008年秋のリーマン・ショック直前の水準まで回復。スマホの普及をきっかけに、滞っていた資金が流れ始めている。 |
国内のVCの業界団体、日本ベンチャーキャピタル協会によると、加盟するVC各社の投資実績は今年1~3月が92億円。リーマン・ショック直前の08年7~9月期(94億円)とほぼ同額まで回復した。 |
一方で、金融機関系のVCは当面様子見の段階だ。ベンチャー投資が今後本格的に拡大するためには、「冷え込んでいる国内の新規株式公開(IPO)が活発になり、資金が回収しやすくなることが必要」との見方が多い。 |
この最近、米国では、ソーシャル系ベンチャーへの投資が活況(バブル?)と言われていますが、時間差でこれから日本においても「スマートフォン」、「ソーシャル系」、「クラウド・・・・」あたりのキーワードでベンチャー市場が活気づいてくるのではないかと、私も期待しています(玉石混交の世界でしょうが・・・)。
イーピーミント
会社名: イーピーミント
URL : http://www.epmint.co.jp/
・事業内容: 臨床試験を実施する医療機関に対する支援及びその他付随業務
・基準期: 2010/9
・市 場: JASDAQスタンダード
・主幹事証券: みずほ
・監査法人: トーマツ
・証券代行: 中央三井
・印刷会社: プロネクサス
・想定発行価格(円) 1,700
・上場時株数 1,865,100
・想定発行価格ベース時価総額(百万円): 3,171
ひと言コメント:イーピーエス(東証一部)の子会社
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メビオファームは今・・・・・(直近終値はなんと74円)
メビオファーム(TOKYO AIM)の今を追ってみました。
直近の株価は、8/4の終値で、74円 です。
「前代未聞の暴落」とされた初値が286円でしたが、そこから約1/4になってしまっています。
発行済み株式数が、2,825,800株ですので、74円(8/7誤記訂正)で計算すると、時価総額は209百万円です・・・・
東証のプロ向け株式市場 ようやく第一号上場も前途多難(J-CASTニュース)
以下は、同ニュース記事より引用です(下線は私が付しました)。 思いっきり酷評されています。
また、初値がつかなったのは、メビオファーム自体の信用度が低かったことも影響したようだ。メビオファームは当初、上場時に新株発行を予定していたが、「必要なくなった」として直前になって急遽中止するなど「対応にやや不透明さがあった」(市場関係者)。業績的には2012年3月期は最終(当期)損益が13億円の黒字と予想するものの、2011年3月期は2億円の赤字で、プロもなかなか手を出しにくい。そうした中で、既存株主のベンチャーキャピタルが上場時に売り急いだことから、しばらく値が付かなかった、ということのようだ。 「プロ中のプロ」である、SBIホールディングスの北尾吉孝社長は、7月28日の決算会見の席上、「あの会社(メビオファーム)では値が付かないと思っていた」と発言。「AIMなんて存在意義ゼロでしょう」とまで酷評した。 |
TOKYO AIMが厳しい船出、主役が割りを食う羽目に(モーニングスター アナリストの視点)
以下は、同ニュース記事より引用です(下線は私が付しました)。 なお、記事中に「出口戦略のためのIPO」と書かれていますが、ファイナンス(Public Offering)は行われていませんので、同社の場合には、IPOとも呼ばないのではないかと思います。
ファイナンス期間中は、価格形成に影響を与える可能性のある契約締結や意思決定を控えるのが株式市場の常識。契約締結を強行した上に、資金需要が大きいはずのバイオベンチャーが、若い企業に資金調達の場を与えるための新市場で資金調達を行わないという、理解不能な状況となった。ブックビルディングで想定以上の不人気で買い手が見つからず、困った末に適当な理由を付けて公募を中止し、それでも上場は強行したことが容易に想像できよう。 メビオファムは当初から売り出しを行わない予定だったため公募中止で「公開株式数」がゼロになり、既存株主が放出する株式だけが市場に流通する状況となった。結局は既存株の出口戦略のためのIPOであったと言わざるを得ない。 メビオファムは当初、調達資金の多くを研究開発費に充当する予定だった。会社側では資金調達を中止する際、運転資金は十分にあるとコメントしているが、現預金は2億円弱(前3月期末)しかない。早くIPOの実績を作りたい取引所、上場させることによって手数料収入などを得る主幹事証券、保有株を売却したい株主。それぞれの事情に振り回されて主役のはずの発行体が割を食う羽目になってしまったようだ。 メビオファムは上場当日の記者会見で他市場への早期上場を目指す旨のコメントを出していた。今回の資金調達の失敗が今後の経営に大きな影響を与えないことを祈る。中・長期的には取引所にもマイナスの影響は出てこよう。発行体の意向を無視したIPOが行われるような市場へ上場したいベンチャー企業はない。第2号案件の上場は、あったとしてもまた数年後になりそうだ。 |
【参考過去記事】
TOKYO AIM 第一号は、バイオVB「メビオファーム」(11/06/11)
メビオファーム TOKYO AIM 上場承認(11/06/26)
メビオファーム 上場時の増資を「中止」(11/07/09)
TOKYO AIM第一号のメビオファーム 初日は売り殺到で初値つかず(11/07/16)
メビオファーム(TOKYO AIM) 2日目も売り殺到で初値つかず(11/07/19)
メビオファーム(TOKYO AIM) 3日目もまだ初値つかず(11/07/20)
メビオファーム(TOKYO AIM) 異常事態 4日目も初値つかず(11/07/21)
メビオファーム(TOKYO AIM) ついに5日目で売買成立(初値は286円)(11/07/22)
10年10月 IPOセミナー 【第12回】 3.(2)労務コンプライアンス問題
3.IPO審査における最近のトピック
(2)労務コンプライアンス問題
労務コンプライアンス問題について、
証券会社・取引所とも極めて慎重
【 背景 】
社会全般において、労務コンプライアンス関連の係争・トラブル事件が増加している
・「名ばかり管理職」問題 (ファストフード、コンビニ等で社会問題化)
・ 未払残業手当(サービス残業)
・「偽装請負」問題
・ 労働者保護に向けた各種の法・制度改正(派遣法改正等)
・ 労働基準監督署による調査の強化(是正勧告・指導等)
↓ ↓ ↓
労務コンプライアンス関連の審査の厳格化
【 主な審査ポイント】
・管理監督者の範囲
・社会保険加入の範囲(パート・アルバイト含む)
・サービス残業の有無(労働債務は、時効2年間)
・労働時間の管理状況(管理職であっても時間管理及び深夜・休日割増手当の支給は必要)
・労基署からの調査の有無(是正勧告などがある場合対応状況)
・労使間のトラブルの有無(退職率、退職者の退職理由等)
労務コンプライアンス問題については、審査質問での個別的な確認も行われますが、Ⅱの部などの「申請書類」においてもそれを説明することが求められています(以下ご参照)。

未払賃金がないことというだけでなく、「三六協定の上限を超えた時間外労働」などについても細かく見られます。
上場準備会社は、多くの場合、伸び盛りの会社ですので、残業時間がかなり長い従業員が相当な人数いるケースも少なくありません。
適切に時間外の割増賃金を支給していたとしてもそれだけではダメで、昨今の「IPO審査」においては、健康管理面等からこの状況を是正することがにおいて求められています。
これでも、一時よりは審査が柔軟になった(暫く前は、いま以上に超キビしかった)とも言われますが、とても厳しいご時世です。
【参考過去記事】
人事・労務まわりの各種課題について (2008年04月08日)
【IPOセミナー(全12回)】
1.昨今のIPOの動向について
(1)IPO社数の推移と各種の事件 (11年1月5日更新)
(2)(主幹事)証券会社の動向 (11年1月7日更新)
(3)監査法人の動向 (11年1月18日更新)
(4)IPOに関連する法・制度改正(11年1月23日更新)
2.上場準備の進め方、留意事項
(1)標準的なIPO準備スケジュール(11年1月26日更新)
(2)IPO準備の現場の実情(11年1月27日更新)
(3)IPO準備の特徴・難しさ(11年3月24日更新)
(4)IPO準備で関わる各種関係者(11年3月27日更新)
(5)上手にIPO準備を進めるには (11年4月11日更新)
(6)IPO準備プロジェクトチームについて (11年7月31日更新)
3.IPO審査における最近のトピック
(1)反社会的勢力対応(11年8月2日更新)
(2)労務コンプライアンス問題(11年8月7日更新)
10年10月 IPOセミナー 【第11回】 3.(1)反社会的勢力対応
3.IPO審査における最近のトピック
(1)反社会的勢力対応
「反社」対応について、
証券会社・取引所ともに極めて慎重
【 背 景 】
・過去に新興市場に上場した会社の中には、上場前から反社会的勢力の関与が認められる会社が存在した。
(反社会的勢力の資金獲得手段としてIPOが使われた)
・既上場企業の中にも、反社会的勢力の関与が発覚する事例・疑われる事例が多発している。
また、反社会的勢力にはあたらないが、「反市場勢力」、「共生者」といわれる人物・問題企業も存在している。
↓ ↓ ↓
「反社」に関する審査の厳格化
【 主な審査ポイント 】
・証券取引所、証券会社による役員、株主、主要取引先の反社チェックの実施
(昨今、調査範囲が拡大している(株主に投資ファンドがいる場合等)) ← 文末に補足あり
・上場予定会社による役員、株主、主要取引先の反社チェックの実施
(インターネット検索、新聞記事検索等により広範囲のチェックが求められる)
・その他「反社」の排除に向けた社内体制の整備
(例:「反社対応マニュアル(規程)」の策定、警察当局との連携、社内講習会の実施、
各種契約書への暴排条項の追加)
従前は、証券会社・証券取引所が株主・取引先などに「反社」がいないことを確かめることが、IPO審査における「反社」対応のメインでしたが、今は、それに加えて、IPO準備会社側における「反社」の排除に向けた社内体制の整備も重視されています。
審査質問での個別的な確認も行われますが、IIの部などの「申請書類」においてもそれを説明することが求められています(以下ご参照)。

【 補 足 】(研修会後の規則改正分)
東京証券取引所は、11年3月31日付で、上場申請時に提出する「反社会的勢力との関係がないことを示す確認書」の別添資料の「記載上の注意」を改定しており、この資料に記載が必要となる株主の範囲等について、見直しが行われております。
反社会的勢力との関係がないことを示す確認書(東証HP、Word様式)
例えば、「投資ファンド」が株主の場合に従来であれば、原則として当該投資ファンドの全ての出資者についての記載を求めていたのを、新規上場申請者の発行済株式の5%以上に相当する出資持分を持つ出資者(=「大口出資者」)についてのみ記載すればよいこととなりました。
極めて低い出資比率にしかならないような場合でも、投資ファンドに対して、その出資者の開示を求めてきたことに対し、(ファンド業界から)「厳しすぎる」との声が上がったことが改正の経緯とされています。
ただ、気をつけなければいけないのは、
この11年3月の東証における「確認書の記載範囲の見直し」をもって、IPO審査における「反社」チェックに関する問題点・企業側の大きな負担という点が解決したわけではありません。
(1) 東証において「しっかり確認する範囲を明確化」したものの、主幹事証券において「しっかり確認する範囲」は、必ずしもこれとは連動していない
(2) 多くのIPO準備会社が実務において負担に感じているのは、「取引所への提出資料の範囲」ではなく、会社側の手続として求められている「取引先等についての、かなり広範な範囲の反社チェックや、取引基本契約など契約書に「暴排条項」を入れること」
特に(2)については、多くの場合、絶対的な数値基準(社数や金額のカバー率など)が示されないという厄介さがあり、取引先(販売先・仕入先・外注先)が多い会社さんにとっては、結構な実務負担となっています(なかには、審査部門が求めている以上のことを公開引受担当の判断で指導しているケースなどもあるようです)。
資本市場の健全性を保つために、IPO時から「反社」対応をしっかりさせておきたいという取引所・証券会社のお考えについては、私としても異議はまったくありませんが、さすがに本件については、何とかならないか(まだ見直しの余地があるのではないか)と思っております。
(投資ファンドが東証等の市場関係者にチェックの範囲等について異議を唱えることはできても、IPO準備会社がそれ(異議を唱えること)をすることは現実的に出来ませんので・・・)
【参考過去記事】
反社会的勢力対策は超重要です (2008年06月22日)
暴力団排除条項(暴排条項)をお忘れなく (2008年09月01日)
【IPOセミナー(全12回)】
1.昨今のIPOの動向について
(1)IPO社数の推移と各種の事件 (11年1月5日更新)
(2)(主幹事)証券会社の動向 (11年1月7日更新)
(3)監査法人の動向 (11年1月18日更新)
(4)IPOに関連する法・制度改正(11年1月23日更新)
2.上場準備の進め方、留意事項
(1)標準的なIPO準備スケジュール(11年1月26日更新)
(2)IPO準備の現場の実情(11年1月27日更新)
(3)IPO準備の特徴・難しさ(11年3月24日更新)
(4)IPO準備で関わる各種関係者(11年3月27日更新)
(5)上手にIPO準備を進めるには (11年4月11日更新)
(6)IPO準備プロジェクトチームについて (11年7月31日更新)
3.IPO審査における最近のトピック
(1)反社会的勢力対応(11年8月2日更新)
(2)労務コンプライアンス問題(11年8月7日更新)
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