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帝国データバンク「IPO意向に関するアンケート調査」


帝国データバンクから、
特別企画 :新規株式上場意向に関するアンケート調査」の調査結果が公表されています。

特別企画 :新規株式上場意向に関するアンケート調査
調査結果PDF

要旨として以下が書かれています。
  1. 上場予定時期は、「未定」とした企業が257社(選択率45.4%)と約半数を占めた。具体的な上場時期では「2014年」が69社(同12.2%)で最多となった。
  2. 上場を目指す理由については、複数回答の結果、「知名度や信用度の向上」が424社(同74.9%)でトップとなった。
  3. 上場予定市場は、複数回答の結果、「東証マザーズ」(213社、同37.6%)が最も多かった。次いで多かったのは、大証ヘラクレスとJASDAQ、NEOの3市場が2010年10月に統合して誕生した「大証JASDAQ」(198社、同35.0%)だった。
  4. 海外市場への興味について、株式上場予備軍企業の約4割を占める219社(同38.7%)の企業が、「(具体的な検討の有無にかかわらず)興味がある」と回答した。一方で、海外市場へ実際に上場を検討している企業は27社(同4.8%)にとどまった。
  5. 新規上場基準の緩和・強化については、「緩和すべき」と回答した企業が217社(同38.3%)にのぼった。


調査結果の本文には以下のようなことが書かれていました。

○2ページ 分析対象社数=IPO の意向を持つ企業(株式上場予備軍企業):566 社
(コメント)予備軍は、今でも500社以上いる!

○6ページ 東京証券取引所などが進めている新興市場の新規上場基準を緩和するという方向性におおむね賛成の企業が多いようだ。具体的な意見をみると、内部統制などにかかるコストを負担に感じている企業が多かった。
(コメント)や「内部統制(J-SOX)が負担」という声が多く出たというのは、やはりそうだろうなという結果です。

興味ある方はぜひ報告書の原文をお読みください。


【参考過去記事】

基準満たす企業 22%減(帝国データバンク)(10/02/21)




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震災で今年のジャスダック IPO20社は厳しく・・・(大証 松本副社長)


今週の日経ヴェリタス(4月24日号)に、大証 松本副社長のインタビュー記事が出ています。

震災前は今年20社の上場を見込んでいたものの、「20社という目標の達成は厳しくなったのは確かだ」とコメントされています。

「支援策を講じるプロジェクトチームを発足させた。本当に必要とされる支援を実施するため、現在は企業や市場関係者にニーズを聞きとっているところだ」
とも書かれてます。

さすがに今年のIPO社数の落ち込みは避けられそうにない状況ですが、「支援策」がどのようなものか期待はしたいと思います。

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今年のIPO社数見通し、20~30社に下方修正(日経)


昨日(16日)の日経新聞にIPOの記事が出ていました。
「新規上場にも震災の影 環境悪化で中止の企業も 証券各社、11年の社数見通し引き下げ 」との見出しです。

以下、記事より引用です。
野村証券、三菱UFJモルガン・スタンレー証券、大和証券キャピタル・マーケッツの公開引受部に15日時点で今年の新規上場社数の予想を聞いたところ、3社とも20~30社と、震災前の30~40社から10社程度下方修正していた。「業績見通しに不透明感が増している」との理由が多い。
上場審査では直近業績や成長性が審査されるが、夏場の電力使用量規制が業績に及ぼす影響を見積もりにくいという。

大手証券の公開引受部門が予想する社数ですので、これを大きく上回ることはまずないと考えられます(下回ることはあり得ますが・・・・)。
とりあえず、昨年の「年間 22社」は超えてほしいと願います。

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東証が東日本大震災被災企業のIPOに「柔軟対応」


東証が、
東日本大震災による被災企業及び被災地域の復興支援に向けた東証の対応方針 (PDF)
を公表しています(以下は東証HPより)。
当取引所では、我が国のセントラルマーケットとして、被災企業や被災地域の復興を支援し、もって我が国経済の活性化に寄与する観点から、東日本大震災の被災などにより経営に打撃を受けた上場会社の上場管理や上場候補会社の新規上場において、柔軟な対応を可能にするための上場制度の整備を早急に行うとともに、復興のための資金需要と復興への貢献を望む投資者の資金とをマッチングして、民間資金の活用による復興に道を開くことのできる金融商品の上場を推進するなど、別添の対応方針に沿って、東日本大震災の復興支援に向けた対応を速やかに図ってまいります。


この中で、IPOについては、以下のような施策が書かれています。

【上場審査に関する柔軟な対応】
 「利益の額」及び「企業の継続性及び収益性」:一時的な業績への影響を排除した審査を実施
 「純資産額」:上場時のファイナンスによる充足も可
 「監査意見」:直前事業年度の監査意見に関する基準において、「限定付適正意見」も可
 「内部管理体制の有効性」:震災の影響に配慮した審査を実施
【上場時期の柔軟化】
 上場申請について従来よりも遅れたタイミングでの申請も可
 大震災に起因して上場承認に至らない場合の再申請時の上場審査料を免除(3年以内)

実際に、この特例措置を使って上場申請する企業がどれだけあるのかというと、あまり多くはない(わずか?)のではないかとも思います。
ですが、この措置がなければ「震災によって」上場を断念せざるを得なかった「良質な」企業が救済されるのであれば、本施策は評価に値するものなのだろうと思います。

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更新頻度低迷中・・・

繁忙状態が続いており、ブログ更新ができません。

前回記事で、IPO準備の進め方として、
 ①IPO準備プロジェクトチームの適切な編成
 ②各種関係者との良好なコミュニケーション 
をしっかりとするのが肝要と書きましたが、そこに向かおうと推し進めたとしても、現実はなかなか上手くいきません。
そもそも論として、上手くいっている状況にないからコンサルのニーズ(存在意義)があるというものですが・・・・

10年10月 IPOセミナー 【第9回】 2.(5)上手にIPO準備を進めるには

第9回です(全12回、昨年10月に行った研修会の内容の抜粋です)。

2.上場準備の進め方、留意事項
(5)上手にIPO準備を進めるには

各論ではなく、まずプロジェクト運営を円滑に

以下は、私見ですが、上手にIPOを進めるための「2大 重点ポイント」です。 
 
①IPO準備プロジェクトチームの適切な編成

  社長も責任者任せとはせず相応に関与

 

  責任者の果たす役割が特に大きい

 

  会社全体の取組みに

②各種関係者との良好なコミュニケーション 

 

  誠実な対応(自社の応援団になってもらうように)

 

➢ 資料の提出期限等の約束を守る

➢ わからないことはそのままにしない
 

①については、次回(第10回)で改めてご説明します。

②については、前回(第8回)に各種関係者についての説明をしましたが、良い関係構築は簡単なようでとても難しいことです。
例えば、以下のようなことはよくあります。
・社長としては主幹事証券とのやり取りは現場も含めて円滑に進んでいるとの認識をしているものの、実は主幹事証券と実務担当者は、ギクシャクしている。。。。。
・監査法人から指導を受けたものの実は指導の内容がわからない(付いていけない)。しかし、わからないということを言い出すことも出来ず、対応が遅れてしまった。その後、監査法人は指導への対応をしないことに腹を立て険悪な関係に。。。。。



【IPOセミナー(全12回)】

1.昨今のIPOの動向について
  (1)IPO社数の推移と各種の事件 (11年1月5日更新)
  (2)(主幹事)証券会社の動向 (11年1月7日更新)
  (3)監査法人の動向 (11年1月18日更新)
  (4)IPOに関連する法・制度改正(11年1月23日更新)

2.上場準備の進め方、留意事項
  (1)標準的なIPO準備スケジュール(11年1月26日更新)
  (2)IPO準備の現場の実情(11年1月27日更新)
  (3)IPO準備の特徴・難しさ(11年3月24日更新)
  (4)IPO準備で関わる各種関係者(11年3月27日更新)
  (5)上手にIPO準備を進めるには (11年4月11日更新)
  (6)IPO準備プロジェクトチームについて (11年7月31日更新)

3.IPO審査における最近のトピック
  (1)反社会的勢力対応(11年8月2日更新)
  (2)労務コンプライアンス問題(11年8月7日更新)

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東証 IPO「情報受付窓口」を設置

3月31日付で、東証のHPに、IPOに関する通報受付窓口のページが出来ています。

情報受付窓口新規上場申請者の上場適格性に関する情報受付窓口(東証HP)

このページは、当取引所に新規上場申請を行っている会社に関する粉飾決算その他の上場適格性に重大な影響を及ぼす事項についての情報を、申請会社の役職員やその他の関係者の方から幅広くご提供いただくための受付窓口です。 ご提供いただいた情報は、新規上場審査に役立たせていただきます。なお、ご提供いただいた情報については、新規上場審査に必要と判断した範囲内において、関係者に確認を行うことがあります。


昨年12月に東証が公表した「マザーズの信頼性向上及び活性化に向けた施策の概要」に掲げられた「内部告発情報の取得と活用」の具体策(の一環?)ということになります。

昨年発覚した大粉飾IPO「エフオーアイ」において、東証に粉飾決算の情報(投書)が寄せられていたにも関わらず・・・・ということを踏まえたものであることは明白です。
(東証 斎藤社長がエフオーアイ事件の時に、「・・・投書などがあったのではないかというお話ですが、これはあったようです」とコメントされていました。【参考過去記事】:エフオーアイ続報(10/05/20) )

この施策が「マザーズの信頼性向上及び活性化」のために機能することを切に願いますが、実務を考えると本件は、とても悩ましいものと思われます。
もしも本サイトに、ある程度のリアリティがある通報(あの会社は粉飾をしてますよ!等)が寄せられた場合、その疑念が解消できない状況においては、東証としてはその会社を上場承認することは出来なくなります(エフオーアイの二の舞を防ぐため)。
単なる「言いがかり」・「嫌がらせ」のようなこともありうる(これまでも投書等によって実際に行われています)のですが、短い時間で疑いを消すことは必ずしも容易ではないと思います。
ただ、見方を変えれば、ウェブ上に受付サイトが出来たからといって、通報が活発化するとは限らない(嫌がらせの通報をしたい人はサイトがなくても「投書」するでしょうから)とも思われます。

粉飾決算企業のIPOを止めるための投書・投稿は、資本市場の健全化のためにも良いこと(推奨されること)ですが、誤った使い方はやめましょう!

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