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メルシャン循環取引の真相(第三者委員会報告)

IPOの話題ではありませんが、注目の報告書です。

当社水産飼料事業部における不適切な取引に関する第三者委員会の最終報告について(メルシャンHP)


長年にわたって架空循環取引などの不適切な取引が行われていた同社ですが、第三者委員会による真相究明の報告書です。
計85ページもある長文ですが、とても読み応えがあります。


架空計上した棚卸資産について、所在を追いかけても移って行ってしまう(姿を見られない)ということで、「お化け在庫」と呼んでいたそうです。

常勤監査役や監査部長は、事件が世に出るかなり前から、架空在庫・循環取引について、感づいていたものの「確証」が得られず、発覚に時間がかかったということなど書かれています。
(「かなり大きな問題になる可能性あるので社長に報告しなかった」というのはいかがかと思いましたが・・・・)

一番悪いのは、事を行った事業部門なのでしょうが、監査役・内部監査部門・監査法人も登場し、とても考えさせられる報告書です。
興味あるかたはぜひ原文へ。

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東証 「虚偽記載審査の解説」


昨日、シニアコミュニケーション社に上場廃止処分を下した東京証券取引所ですが、
同じ日に、なかなかタイムリーな公表物が出ていました。

上場管理業務について -虚偽記載審査の解説-

上場企業において有価証券報告書等の虚偽記載が行われた場合の審査について説明がなされています。
(注:新規上場(IPO)での審査主体は「上場審査部」ですが、既上場企業の虚偽記載審査は「上場管理部」が行います)

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シニアコミュニケーション 退場!


上場前から粉飾決算をしていた「シニアコミュニケーション」は、結局、上場廃止となってしまいました。

上場廃止等の決定について-(株)シニアコミュニケーション- (東証ホームページ)

「極めて悪質な不正会計処理が意図的かつ組織的に行われていました」、
「虚偽の財務諸表を前提に新規上場や公募増資が行われた点は重視されるべきであり」、
「不正会計処理を、意図的かつ組織的に上場以前から直近に至るまで継続し、本件発覚まで一度として適正な財務諸表を開示していなかった」

ということで、上場廃止という判断が下されました。



【参考過去記事】

こちらもIPO前から粉飾!(シニアコミュニケーション)(10/06/08)


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JQレポート スタート前に微調整


新JASDAQの上場申請書類となる、JASDAQ上場申請レポート(JQレポート)の記載要領の一部変更が公表されています。

「IFRS 任意適用等を踏まえた上場制度整備に係る関連諸規則の一部改正等に伴うヘラクレス,JASDAQ 及びNEO の市場統合諸規則の一部改正等について」等に伴う新規上場申請書類の一部変更について
http://www.jasdaq.co.jp/data/wn_220820.pdf

内容は、IFRSへの対応と微調整です。

いよいよ新JASDAQとなる日が近づいてきました。


【参考過去記事】

新ジャスダック JASDAQ上場申請レポート(JQレポート)(10/06/18)

新ジャスダックの関連諸規則が公表されています(10/06/14)

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「誰かがやってくれる」ではなく「自分がやる」

会社のIPO準備が上手く進むかどうかの大切な要素として、IPO準備の事務局体制のレベル(スキル・姿勢)があります。

多くの会社さんが、IPO準備の「事務局体制」に絡む「苦労」・「悩み」を持たれています。
IPO準備は、作業量が膨大ですので組織的に対応する必要があります。
(いくら優秀な責任者がいても、さすがに一人では太刀打ちできません)

スキル面についても優劣がありますが、それと同等(かそれ以上)に「仕事への取組姿勢」が大切と感じます。
(責任者の方から、事務局メンバーに関する相談(愚痴?)を頂くことがありますが、「仕事への取組姿勢」のことが多い気がします)

企業には、大別すると、
○面倒な作業でもどんどん積極的に取り組むタイプ
 と
○興味があることだけしかやりがらない消極的なタイプ
 がおられます。

当然ですが、問題は「後者」です。

以前、IPO準備に苦戦されている会社の責任者の方との会話で、
「一人で抱え込まずにもっと社内で分担したほうがいいんじゃないですか?、○○さんあたりは能力的にも戦力になりそうじゃないですか」と
伝えたところ、
「○○は仕事を選ぶんですよ・・・・。やらせたいのですがやりたくないと言われてしまうので・・・」
との返答がありました。

IPO準備の作業は、かなり良い経験が積めるのですが、
・作業量が膨大(ハードな残業も覚悟)
・申請書類作成や提出資料準備の中にはコピー取り、データ入力など「単純作業」も多い
という側面があり、これをイヤがる方がいるようです。

上司の指示でも、それを拒むというのはビックリしましたが、昨今はそういう人が増えているのかもしれません。

 のような本を、「間違って」読んでいるのでしょうか。
(注:上記の本は、学び・気づきもある良い本です。が、間違った読み方をすると厄介なことになります)


逆に、人が嫌がるような面倒な作業でもどんどん進めていくパワフルな方もおられます。
このタイプの方は、社内(経営陣)からの信頼を得て、どんどん出世していきます。


大企業であれば、その人がやらなくても誰かがやってくれて何とかなるのかもしれませんが、
多くのIPO準備会社は、ギリギリの人数で最高のパフォーマンスを出すことが求められています。


個人の仕事への取り組み姿勢は、そう簡単には変わりませんので、とても難しい問題です。。。。


皆様、イヤがらずにお願いします!



【参考過去記事】

「IPO準備会社の中途採用(経験者採用)」の難しさ(09/03/19)

「IPO準備会社の中途採用」の難しさ(書類選考に関するアドバイス)(09/03/25)

「IPO準備会社の中途採用」の難しさ(採用面接に関するアドバイス)(09/04/08)




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エントリーしました


また仕事が忙しくなってしまい更新が滞りがちです。。。

さきほどこちらにエントリーしました。
今年は申込初日に定員を超過したそうで10人に1人という難関のようです。
当選を祈ります(過去2年連続ハズレ)。

大光 上場体験談(ジャスダックHP)

2010年3月9日にジャスダックに上場した株式会社大光(常務取締役管理本部長 秋山 大介氏)の上場体験談がジャスダックのHPに掲載されています。

JASDAQ上場を達成した会社の体験談 株式会社大光 常務取締役管理本部長 秋山 大介 殿
http://www.jasdaq.co.jp/list/taiken/taiken3160.jsp
 

詳細は、原文を直接お読み頂ければと思いますが、「3.上場準備」の部分のみ引用してご紹介します(下線は私が付しました)。

 上場準備の過程においては、経営管理体制の整備・運用を充実化させるため、諸規程・マニュアル類の整備、内部牽制組織の整備、内部監査室の設置、中期経営計画の策定、年度予算作成と予算統制の整備・予実差異分析、コーポレート・ガバナンスの充実化等を進めてまいりました。
 また、経理部門の充実化として月次決算の早期化、会計処理基準の適正化、開示書類等の作成体制整備に取り組みました。
 野村證券株式会社の中間審査において、課題が明確となり、それらについて個別に改善策を行う際には、上場準備プロジェクトチームのみではなく、全社各組織において取組を行い、結果としてコーポレート・ガバナンスの重要性に対する理解が進み、組織として成長していく実感を得ることができました
 上場申請後、取引所の審査担当者による審査は、書面による数回の質疑応答、電話での補足説明、面談、実地調査がありました。経験したことのない非常に緊張感を伴う内容の濃い期間でした。
 上場当日は、朝から野村證券株式会社での初値確認、ディーリングルーム見学、午後からは取引所における上場セレモニー、報道機関向け会社説明会の開催とあわただしい一日を過ごしました。
 役員一同、会社に新しい歴史を刻んだことを実感するとともに今後の責任の重大さを認識し、今後の会社の発展を互いに誓い合いました。


先日紹介しましたヤーマンの体験談でも会社がレベルアップした旨書かれておりました。 
苦労された分、成長もされたということかと思います。 



上場準備中の会社の方には、 他社分も含めて体験談を一読されることをオススメいたします。
(ジャスダック以外の市場が想定市場の会社さんでも)
ジャスダック証券取引所は、精力的に上場体験談を公開・更新されておりとても良い取組みだと思います。


ジャスダック証券取引所 「上場を達成した会社の体験談」
http://www.jasdaq.co.jp/list/list_40.jsp


【参考記事(カテゴリー)】

 IPO体験談紹介

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フーマイスターエレクトロニクス

上場日: 2010年9月15日
会社名: フーマイスターエレクトロニクス
URL : http://www.fuco-ele.co.jp/
・事業内容: 半導体、電子部品及び電子材料の輸出入販売
・基準期: 2009/9
・市 場: JQ
・主幹事証券: 野村
・監査法人: アスカ
・証券代行: 三菱UFJ
・印刷会社: 宝印刷
・想定発行価格 1,450
・上場時株数 2,449,600
・想定発行価格ベース時価総額(百万円): 3,552


ひと言コメント:めずらしく大手ではない監査法人・・・・??
  (参考Blog:CHANGE & アスカ(■財務アナリストの雑感■  シーズン3))

事業等のリスクは、下の「続きを読む」で

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グリーンシートって・・・・・


先日、雑談で「グリーンシートって今どうなってんだろ?」という話題になりました。

グリーンシートには、仕事柄は「まったく」ご縁がないのですが、せっかくなのでちょっとだけ探ってみました。
すると、なかなかスゴい世界です。


●ワンズ
 臨時株主総会決議の議案について
 ワンズ株式会社株式(証券コード:2141)の取引監理銘柄指定及び取扱廃止について
【22年7月30日開示】
当社は、平成22 年7月30 日(金)午後2時より開催されました当社臨時株主総会におきまして、定款変更案の一部につき、ご出席の株主様及び議決権行使書により行使された議決権数が会社法第309 条第3項に定める定足数に満たなかったため、審議するに至りませんでしたことをお知らせいたします。
【22年7月30日開示 ← ディーブレイン証券より】
第27期半期報告書は平成22年6月30日までに提出されるべきところ、提出がなされず、さらに同日の経過後1か月以内に提出できない見込みとのことであります。これは、日本証券業協会の「グリーンシート銘柄及びフェニックス銘柄に関する規則」第36条第5項第5号において規定されるグリーンシート銘柄指定の取消事由に該当するため、弊社は、グリーンシート銘柄としての取扱廃止について定めた弊社グリーンシート及びフェニックス取引約款第18条第5号に基づき、相当期間の経過をもって同社株式の取扱いを廃止することを決定いたしました。
グリーンシート登録を解除しようとして臨時株主総会を開催しようとしたが、総会定足数を満たさず、審議に至らず。。。。。。そして即日、「半期報告書が提出できない」との理由によって結局、グリーンシート指定は取り消しに・・・・


●ユウキのカレー
 公認会計士等の異動に関するお知らせ
 「平成22 年4 月期決算短信(非連結)の開示について」の一部訂正
 「定時株主総会の延期と会社内容説明書の提出遅延に関するお知らせ」の一部訂正
【22年8月5日開示】
平成21 年4 月期の監査契約満了によるものであります。なお、当社においては平成22年4 月期の監査契約も継続して締結しているものと認識しておりましたが、公認会計士等においては、平成21 年4 月期の監査契約満了に伴い契約を終了しているものとしており、本日、双方の認識の違いが判明したことから、開示することと至りました。
【22年8月5日開示】
<訂正後>
当社の平成22 年4 月期の決算短信の開示が、通常の決算短信の開示と比べて遅れております。これは、当社の平成22 年4 月期の計算書類等に対する公認会計士等と監査契約を締結しておらず、現時点では決算の内容が最終的に定まったとは言い難い状態にあるためであります。
【22年8月5日開示】
<訂正後>
平成22 年4 月期の計算書類等に対する公認会計士等と監査契約を締結しておらず、平成22 年4 月期決算の内容の確定が遅れるという事態が発生しております。
22年8月に、「21年4月期で監査契約が満了しており、22年4月期は監査人が不在だった」ということに気づくとは・・・・・・


すごすぎます・・・・・
(注:グリーンシートは、「株式上場」ではありませんのであしからず)

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セルシード 上場体験談(ジャスダックHP)

2010年3月16日にジャスダックNEOに上場した株式会社セルシード(取締役最高財務責任者 細野 恭史氏)の上場体験談がジャスダックのHPに掲載されています。

JASDAQ上場を達成した会社の体験談 株式会社セルシード 取締役最高財務責任者 細野 恭史 殿
http://www.jasdaq.co.jp/list/taiken/taiken7776.jsp
 
詳細は、原文を直接お読み頂ければと思いますが、「上場準備を顧みて思うこと:「自社の成長シナリオの一部として上場を位置付ける」ことの重要性」の部分のみ引用してご紹介します(下線は私が付しました)。

 当社はひと言で言えば「日本国内よりも海外での事業展開が先行する再生医療医薬品メーカー」ですが、実はこのような国内上場企業は私どもが初めてです。当社はバイオセクターのIPOにおける主幹事経験が最も豊富な証券会社に主幹事をお願いしましたが、同社は審査の過程で様々な検討と議論を行った上で新しい視点を抽出して当社上場の最終的な可否を見極められたと聞いております。
 正直なところ審査を受ける立場として「審査の力点が変動する(あるいは審査のポイントについて先行類似事例からの類推が利かない)」ことには苦労や戸惑いが伴いましたが、「要は当社自身が描いている成長シナリオのどの段階に焦点を合わせるかという議論であり、異なるシナリオを求められているわけではない」ことを理解できた時から議論が噛み合うようになりました。成長シナリオと切り離してただ上場を急ぐだけであったなら、表面的な上場基準にこだわる余り、この段階で暗礁に乗り上げてしまっていたのではないかという気がします。
 大変厳しい審査でしたが、安易な前例のあてはめに陥らずに当社の成長シナリオを理解して新しい見方を組み立てて下さった主幹事証券会社様には、今でも頭が下がる思いです。


証券会社や取引所の審査判断は、一見すると同じような事象であっても、時代や個別個別の事情等によって、変化します。 
何か審査で問題視されるようなことがある場合に、「過去、こういう事例で上場した(審査を通った)事例があるので大丈夫!」と 自信満々に「(特異な)事例」を持ち出す方(上場準備経験者として採用された方や、コンサルタント)もおられるようですが、「危険」なアドバイスになっていることもあるようです。
私は、もしIPOに向けて解決が難しい問題が発生した場合には、変に悩むよりは、同社のように、主幹事証券が一所懸命に解決策を検討してくれるよう、主幹事証券との良好なコミュニケーションを構築するほうが大切だと思います。
(ちなみに、セルシードの主幹事証券は、野村証券です)

上場準備中の会社の方には、 他社分も含めて体験談を一読されることをオススメいたします。
(ジャスダック以外の市場が想定市場の会社さんでも)
ジャスダック証券取引所は、精力的に上場体験談を公開・更新されておりとても良い取組みだと思います。


ジャスダック証券取引所 「上場を達成した会社の体験談」
http://www.jasdaq.co.jp/list/list_40.jsp


【参考記事(カテゴリー)】

 IPO体験談紹介

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