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「反社」対策のために、警察庁が日証協DBに暴力団情報を提供


しばらく前のニュースですが、
日本証券業協会が導入を検討している「反社会的勢力データベース」に、警察庁が保有する暴力団情報を提供することで合意したとのことです。
警察庁:日証協DBに暴力団情報提供 証券取引から排除(毎日.jp)
http://mainichi.jp/select/today/news/20100526k0000e040067000c.html

以下、一部引用です。
 日証協による暴排活動については、国家公安委員会が昨年3月、暴力団対策法上の不当要求情報管理機関に登録。約300社の会員各社がそれぞれ所有する反社会的勢力の情報の集約を進めてきた。

 しかし、データベースの機能充実には、警察が蓄積した情報の活用が不可欠だとして、安東会長が先月、安藤隆春警察庁長官に支援を要請。警察内部で検討した結果、提供可能との結論に達したという。利用のガイドラインは今後検討する。ただ、データベース構築には数十億円が必要とされ、運用開始は早くても来年度以降になる見通しだ

 一方、自主規制規則では、新規顧客の口座開設の際、(1)反社会的勢力ではないとの確約を取る(2)該当すると判明した場合は契約を解除--などの条項を契約書や約款に盛り込むよう求める。ある捜査幹部は「証券業界は、97年の証券不祥事で浄化が進んだ大手から中小、ネット専門までさまざま。暴排に関する統一的な取り組みができる意味は大きい」と評価する。


これによって、個別事案ごとの照会ではなく、即時に暴力団かどうかの判別ができるようになるとのことです。

本件は、証券業協会の安藤会長の記者会見でも触れられています。
記者会見要旨(10年5月26日)
http://www.jsda.or.jp/html/kaiken/kaiken_h22.html

このニュースを見て気になったのは、昨今のIPO審査の実務において強く求められている「反社会的勢力・反市場勢力との関係排除」については、その対象先が、ここでいう「暴力団情報」よりもかなり広いのではないかということです。
「この株主・この取引先がいるから上場不可(※)」というような事案について、それらの相手先が、このニュースでいうようなずばり暴力団なのかというと必ずしもそうではないと思われます。
(※:必ずしも「誰がNGだ」と原因を特定して示されるわけでもないとい難しさもあります)

IPOにおける「反社対策」は、実務においてとても悩ましい論点ではあります。
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Tag : 反社会的勢力反市場勢力データベース警察IPO上場

またしばらく更新頻度が減ります

しばらく業務多忙等のため更新頻度が減ってしまうと思います(7月中旬ごろまで)。
その間、先日のFOIのような騒ぎが出ないことを祈ります・・・

トータル・メディカルサービス

上場日: 2010年6月24日
会社名: トータル・メディカルサービス
URL : http://www.tms-inc.co.jp/・事業内容: (1)医療機関が発行する処方箋に基づき、一般患者に医薬品の調剤を行う調剤薬局事業(2)健康食品事業及び医療に関わる総合的なアウトソーシングサービスを提供するメディカルサポート事業
・基準期: 2009/03
・市 場: JQ、福証
・主幹事証券: 大和証券キャピタル・マーケッツ
・監査法人: トーマツ
・証券代行: 三菱UFJ
・印刷会社: 宝印刷
・想定発行価格 4,200
・上場時株数 481,200
・想定発行価格ベース時価総額(百万円): 2,021

事業等のリスクは、後日アップします

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電算

上場日: 2010年6月24日
会社名: 電算
URL : http://www.ndensan.co.jp/
・事業内容: 情報処理事業
・基準期: 2009/03
・市 場: 東証二部
・主幹事証券: 野村
・監査法人: あずさ
・証券代行: 三菱UFJ
・印刷会社: プロネクサス
・想定発行価格 3,500
・上場時株数 1,446,800
・想定発行価格ベース時価総額(百万円): 5,064

事業等のリスクは、後日アップします

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パピレス

上場日: 2010年6月23日
会社名: パピレス
URL : http://www.papy.co.jp/
・事業内容: (1)電子書籍の販売事業:出版社等から電子書籍を収集し、ネットワークを通して携帯電話、PC等の情報端末利用者に配信する事業(2)電子書籍販売支援システム(eBookBank)の開発運用、電子書籍の受注制作
・基準期: 2009/03
・市 場: JQ
・主幹事証券: 野村
・監査法人: トーマツ
・証券代行: みずほ
・印刷会社: 宝印刷
・想定発行価格 2,500
・上場時株数 1,286,360.00
・想定発行価格ベース時価総額(百万円): 3,216

事業等のリスクは、後日アップします。

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エフオーアイ事件で、主幹事証券からプレスリリース

エフオーアイ事件について、主幹事のみずほインべスターズ証券がプレスリリースを出しています。

株式会社エフオーアイの決算情報の虚偽記載について
https://www.mizuho-isec.co.jp/images/pdf/corp/2010/20100524.pdf


これを読んでもよくわかりませんが・・・・

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J-SOX制度の見直しに着手(企業会計審議会)

金融庁が内部統制報告制度(J-SOX)の見直しに着手したそうです。

企業会計審議会第17回内部統制部会(金融庁HP)
http://www.fsa.go.jp/singi/singi_kigyou/siryou/naibu/20100521.html

以下のニュース記事も参考になります。
J-SOX簡素化・明確化の議論開始、内部統制部会を3年ぶりに開催(日経BP IT-PRO)
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20100521/348334/

具体的検討はこれからのようですが、見直し検討の主な内容として、
・中堅・中小企業に対する簡素化・明確化
・制度導入2年目以降に可能となる簡素化・明確化
・その他の明確化(評価範囲や重要な欠陥の判断基準の変更・追加)
・『重要な欠陥』の用語の見直し」の四つ
が挙げられています。

IPO準備会社さんに影響がありそうな、「中堅・中小企業に対する簡素化・明確化」に注目したいと思います。

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Tag : J-SOX内部統制報告制度見直し金融庁内部統制部会

エフオーアイ 破産申請!


今月12日のSESCの強制捜査から、すごいスピードで展開しています。

本日付で、破産申請をしたとのことです。

株式会社エフオーアイ 自己破産を申請 負債92億円(帝国データバンク 大型倒産情報)
http://www.tdb.co.jp/tosan/syosai/3277.html

上場から6カ月での法的整理は、「最短記録」のようです。。。。

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Tag : エフオーアイ破産倒産

エフオーアイ続報 (東証社長記者会見)


18日に行われた東証社長の記者会見について、要旨が東証HPにアップされています。
本記者会見については、ニュースとして報道はされていたものの、不正確な報道というのもあり得ますので東証の公表内容を押さえておく必要があります。

http://www.tse.or.jp/about/press/100518.pdf

話題はほとんどが、エフオーアイです。

以下一部抜粋です。
・・・・・審査をがんじがらめにして、できるだけ上場しにくいようにすればいいのかというと、それは本末転倒だと思います。我々としても審査能力の改善はやらなければいけませんが、審査担当者にすれば、全部拒否すれば一番いいということになってしまったらおしまいです。そうならないように指導もしなければいけないと思いますので、このバランスをどうするのだと言われると、なかなか難しいのです。・・・・・・・
・・・・・・投書などがあったのではないかというお話ですが、これはあったようです。ただ、その点については追加的に確認していると聞いています。その情報の逆裏付けというか、投書の事実関係を確認する作業はきちんと行っていると理解しています。・・・・・・・・
・・・・・・証券会社の主幹事というのは、普通は5年、10 年付き合うのです。何年後に上場しましょう、がんばりましょう、そのためにはこういう準備をしたほうがいいです、こういうところはきれいにしたほうがいいです、こういうことはきちんと用意したほうがいいですと、ずっと指導するわけです。途中から、監査人を指名して、それも4~5年やる。監査人の方では、こうしないと東証の審査に通りません、これをきちんと用意しないといけないなどと指導する。例えば上場すれば、J-SOXなどへの対応も必要になりますから、どのようなリスク管理委員会を開いているとか、そういう内容も全部、監査人とか、主幹事証券会社が指導するのです。そして書類をそろえて、それを東証へ持ってくるのが通常の手順です。
それに対して、東証は、これはやりましたか、これはどうですか、この数字は正しいのですか、大丈夫ですかと確認していく。そして、それが信用できるということであれば承認する、そういう制度です。つまり、上場審査というのは、東証が最初から申請会社側に、あなた、こうしていますか、ああしていますかという仕組みではありませんので、そこはぜひご理解していただきたい。・・・・・・・・

斎藤社長の発言で、少し違和感を感じたのは、
・主幹事は5年、10年付き合う
・監査人は4、5年やる
が「普通のIPO」だという点です。
上場準備の期間は、会社によってケースバイケースではありますが、「このご発言はひと昔前(マザーズが出来る以前)のIPOの話では?」とも思ってしまいました。
マザーズIPOにおいて、主幹事証券会社が上場申請までに指導した期間の標準(普通)が5年・10年というのはあり得ないと思います。
確かに、ひと昔前は、主幹事が5年など長期間かけて指導を行い、、その後に監査法人を選定して・・・という流れだったことは正しいことですが、昨今のマザーズなど新興市場IPOの場合、5年・10年というような指導期間がないほうが「普通」なのではないかと思いました。
監査法人が先に関与しており、後から主幹事証券が決まるというケースも少なくはないと思います。


あと、18日に大証の米田社長が行った大証記者会見においても、エフオーアイが話題になったようです。
大証社長、エフオーアイの虚偽記載「異常で不可思議」(日本経済新聞)
以下一部抜粋です。
・・・・・エフオーアイ(6253)が上場申請時に虚偽の決算数値を記載した問題について「売り上げの大半に当たる約100億円を水増し計上したということを、なぜチェック出来なかったのか。異常、不可思議で、市場関係者はなぜ発見できなかったかをきちんと検証していく必要がある」と述べた。・・・・・・・

当事者ではないからこそできるご発言という感じです。

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Tag : エフオーアイFOI

東証が即断 エフオーアイ上場廃止へ


先週から世間を騒がせていますエフオーアイ社(FOI社)ですが、あっさり上場廃止が決定です。

上場廃止等の決定について-(株)エフオーアイ-(東証HP)
http://www.tse.or.jp/news/201005/100518_a.html
以下、一部引用です。
株式会社エフオーアイは、平成22年5月16日に、平成21年3月期の財務諸表について、概ね「上場時に提出した有価証券届出書に売上高を過大に計上するなどした虚偽の決算情報を記載し、粉飾額は100億円規模に上がるとみられる」との報道の内容のとおりである旨、及び、当取引所への新規上場申請書類においても、虚偽の決算情報を記載し、上場申請時に提出し、上場承認を得た旨について開示を行いました
新規上場申請書類に記載された虚偽の内容は、会社の状況を示す最も基本的な情報である決算情報に係るものであり、さらに、その規模は同社の新規上場直前事業年度である平成21年3月期の連結売上高118億円に対して100億円にも上るものであって、売上の大部分に係る極めて重要かつ巨額なものであったと認められます。しかも、同社は、虚偽の決算情報であると認識しながら、新規上場申請書類において当該決算情報を記載し、上場申請時に提出し、上場承認を得ていたものです。

会社の開示というのは以下プレスリリースです。
当社の虚偽決算情報に関する報道の真偽等についてエフオーアイHP)
http://contents.xj-storage.jp/contents/62530/T/PDF-GENERAL/140120100516009301.pdf

東証 斎藤社長は18日の記者会見で、本件についてを話したようです。
まだ記者会見の議事はHPに公表されていませんが、このような報道がなされています。
斉藤社長、エフオーアイ新規上場時の審査は「東証としてできることやった」(マイコミジャーナル)
http://journal.mycom.co.jp/news/2010/05/18/092/?rt=na
以下、一部引用です。

斉藤氏は、「上場会社がこうした事態にいたったことは、大変遺憾なことである」とした上で、東証による上場審査において、監査報告書に監査法人による適正意見が記載されていることの確認や、受注から売上、入金にいたる実際の帳簿を参照して、売上高の計上に関する実務が適正に処理されていることを確認したことなどを説明した。

また、エフオーアイを推薦した幹事証券会社に対し、その推薦の理由などについて詳細に確認したことなども挙げ、「エフオーアイの審査において、上場審査基準に従って、ルール通りに行った」とした。今後の対応については、「直ちに審査内容などについて検証を開始した」ことを明らかにした。検証については、捜査機関などにより事件の全容が明らかになった上でさらに調査・分析を行い、その結果を生かして必要な対応を行う方針を示した。

記者からの、悪意を持って上場申請書類を偽って開示した場合、現在の審査のシステムでは見抜けないのかという質問に対しては、「東証は司法とか検察ではないので、引受幹事会社が持ってくるものを、我々は善意として受けなければならない」とし、「パーフェクトに(犯罪)を仕組んできた場合、東証だけでは見抜けない」と、犯罪を見抜く困難さを説明した。

また、「架空売上していたのではないかという情報が、審査の過程で外部から寄せられていたと聞いたが」との記者からの問いかけには、「あったようですね」とその事実を認め、具体的な情報提供方法に関する質問には、「紙で、投書みたいな形で来た」と明かした。

情報提供に対する対応については、「うちの審査の人は、情報の逆裏づけをして、ちゃんと(売上は)あるという結論になったようだ」と説明。「東証として、できることはやった」と述べた。


上場前に、投書による架空売上情報が寄せられていたということで驚きです。

本件は、事件の全容が明らかになるまで引き続きフォローしたいと思います。


【当Blog過去記事】

エフオーアイ (09/10/18)

久しぶりの「大手」以外の監査人(09/10/19)

IPO事例研究 エフオーアイ(09/10/25)

唖然! 上場後半年で粉飾疑惑による強制捜査(エフオーアイ)(10/05/14)

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Tag : エフオーアイFOI粉飾上場廃止責任