産業革新機構の第1号案件が決定
低炭素社会の実現に不可欠なデバイス開発事業に投資 (INCJプレスリリース)
http://www.incj.co.jp/PDF/20100331.pdf
株式会社産業革新機構との業務提携および新会社設立(新設分割)に関するお知らせ (アルプス電気HP)
http://www.alps.com/pdf/ir/disclosure/20100331_info.pdf
5月に新会社「アルプス・グリーンデバイス」(東京、資本金15億8000万円)を設立。革新機構は第三者割当増資を引き受けるほか、非常勤取締役3人を派遣。将来は株式公開を目指すとのことです。
(一部報道では、「2015年にも株式公開を目指す」とのこと)
INCJは、最大9,000億円の投資ができるファンドです。今後も順次出資先が決まっていくようです。
ベンチャー企業に対する民間のVC投資が冷え込み気味なこともありますので、同機構の役割に期待したいところです。
(ご縁あれば同機構案件にも携わってみたいと思いました)
4月1日施行の「労基法の改正」への対応は万全でしょうか?
労働基準法が改正されます(平成22年4月1日施行)(厚生労働省HP)
http://www.mhlw.go.jp/topics/2008/12/tp1216-1.html
改正点はいくつもありますが、
「月60時間を超える法定時間外労働に対して、会社は50%以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない(現行は「25%以上」)」
など、企業側に相応の負担を求める内容が含まれています。
上場審査において、審査サイド(証券・取引所)は労基法まわりについて相当程度の知識・情報を持たれていますので、この4月からの新労基法への対応状況について確認がなされることも想定されます。
ということで、もしも対応が遅れてしまっている会社さんがおありでしたら、社労士・弁護士等の専門家を交えて対応を急がれたほうがよいと思います。
なお、負担が大きいことへの配慮として、
同法第138条において、「同条に規定する中小事業主については、当分の間、法定割増賃金率の引き上げを猶予する」という定めがあり、要件に該当する会社は適用が猶予されます。
(この「当分っていつまで?」という点については、「改正法の施行後3年を経過した時に、検討・見直しを予定」となっています)
中小事業主に該当するか否かは、各業種別に、「資本金の額又は出資の総額(下ではこれを「資本金」と記載)」と「常時使用する労働者数(下ではこれを「労働者数」と記載)」で判断されます。
・小売業 = 資本金:5,000万円以下 または 労働者数: 50人以下
・サービス業 = 資本金:5,000万円以下 または 労働者数:100人以下
・卸売業 = 資本金 : 1億円以下 または 労働者数:100人以下
・その他 = 資本金 : 3億円以下 または 労働者数:300人以下
資本金基準か労働者数基準のいずれかに該当すれば中小事業主になります。
上場準備中のベンチャー企業の場合、この「中小事業主」に該当することも結構あるのではないかと思います。
ただし、さらに注意が必要なのは、上場前は資本金基準で「中小事業主」だった会社さんについては、大概の場合、上場時の公募増資で資本金基準を満たさなくなるものと思われますので、「中小事業主だから大丈夫」と気を緩めるのではなく、上場前の段階で相応に検討・対応を済ませておく必要があろうかと思います。
東証 「四半期は30日以内で」を撤廃、開示内容も簡素化へ
東証から、
四半期決算に係る適時開示、国際会計基準(IFRS)任意適用を踏まえた上場諸制度のあり方について
という資料(部会報告)が開示されてます。
・ディスクロージャー部会
http://www.tse.or.jp/rules/seibi/bukai.html
・四半期決算に係る適時開示、国際会計基準(IFRS)任意適用を踏まえた上場諸制度のあり方について
http://www.tse.or.jp/rules/seibi/bukai_houkoku.pdf
本日の日経新聞(朝刊)でも記事になっていました。
詳細は、部会報告(資料)をお読みいただければと思いますが、
四半期開示については、これまで「企業の実務負担が重いわりどこまでニーズがあるのか」という議論があり、検討の結果として、
●「四半期末後30日以内に開示することが望ましい」との要請をやめる(資料9ページ)。
●開示内容について、画一的な開示を求める枠組みは最小限に留める
(必須の開示内容となるのはサマリー情報のほか、「四半期連結貸借対照表」、「四半期連結損益計算書(四半期累計期間)」、「継続企業の前提に関する注記」、「株主資本の金額に著しい変動があった場合の注記」の4項目に(資料26ページ)。)
ということになったとのことです。
以前から東証の斎藤社長は、「四半期開示」について懐疑的なお考えを持たれているようでした【参考過去記事】ので、その意向が本報告にも反映されているように見えます。
このニュースは、多くのIPO準備会社さんにとっては朗報なのではないでしょうか。
未上場企業にとっては、本決算を監査を受けたうえで早期化するということだけでもかなり大変なことです。その上に「四半期は30日で開示できるよう」とか「四半期でも短信が本決算に近い内容を」というのはかなりの事務負担だったかと思います。
あと、本報告では「国際会計基準(IFRS)任意適用を踏まえた上場諸制度のあり方」ということにも触れられています。
IPOに関連することとしては、以下のようなことが書かれています。
●IFRSの任意適用を行っている会社からの上場申請については、平成22年(2010 年)3月期を申請直前期とするものよりIFRSでも受け入れることが適当(資料20ページ)。
●新規上場の準備期間としては、通常3~5年程度必要とされることを念頭に置いた上で、新規上場申請会社に対するIFRSによる法定開示の是非及びそのスケジュールが可能な限り早期に明らかになるように、関係各所に働きかけを行っていくことが望まれる(資料23ページ)。
会計監査六法(平成22年版)
会計監査六法は、上場準備会社必須アイテムのひとつです。
毎年、規則の新設・改訂がありますので、最新のものを持っておく必要があります。
以下、1年前の記事を更新しました。
過去の監査小六法の成長(?)の歴史をまとめてみました。
平成18年から成長が加速していましたが、22年はわずかですがページ減に転じています。
平成22年版 : 2,970ページ
平成21年版 : 3,078ページ (注2)
平成20年版 : 3,321ページ
平成19年版 : 3,058ページ
平成18年版 : 2,472ページ
平成17年版 : 2,057ページ
平成16年版 : 1,971ページ
平成15年版 : 1,894ページ
平成14年版 : 1,700ページ
平成13年版 : 1,602ページ (注1)
平成12年版 : 2,136ページ
平成11年版 : 1,844ページ
平成10年版 : 1,446ページ
平成09年版 : 1,237ページ
平成08年版 : 1,196ページ
平成07年版 : 1,182ページ
平成06年版 : 1,144ページ
平成05年版 : 1,102ページ
平成04年版 : 1,090ページ
平成03年版 : 1,045ページ
(注1)12年から13年にかけてページ数が大幅ダウンしていますが、
これは、紙面の大きさが13年から拡大した影響です(内容が減ったわけではありません)
(注2)21年から更にサイズアップ(B5版へ)しています。
テーマ : 会計・税務 / 税理士 - ジャンル : ビジネス
中小企業のSWOT分析
本書は、九州地区で活動されているコンサルタントの方が、日頃、会計事務所に対してSWOT分析の手法を指導していることを書籍にしたという内容です(IPOに関する書籍ではありません)。
会計事務所が、顧問企業向けにSWOT分析を行うことが顧客企業満足度の向上にとても役立つということでそれを推奨しているそうです。
SWOT分析に特化して、かなり平易に説明されていますので、IPO準備に取り掛かるにあたって初めてSWOT分析に出くわしたという方にはかなり役立つのではないかと思います。
自社の分析をする場合の検討会の段取りや、具体例なども充実しています。
1,890円の価値はある本だと思います。
ゴー・パブリック 起業公開物語
(著者は、朝日監査法人(現あずさ監査法人)の会計士です)
本書の副題は、
この物語は、会社を辞めて起業し、
いずれIPO(株式公開)したいと思ってる
あなたのための疑似体験ストーリーである。
とのことで、これに惹かれて読んでみました。
内容は、サラリーマンの主人公が起業を決意し、VC等から資金調達、監査法人との契約、主幹事証券会社の審査を経てIPOを実現するまでの物語です。
しばらく前の書籍ですので、上場に関する制度等が微妙に今とは違うところがあるものの、なんとなくの流れを知るためには今でもそれなりに有用な書籍だとは思いました。
ただし、作家さんが書いた書籍ではないこともあり、物語の流れがイマイチなところ(話に夢中になるということがあまりない)はちょっと残念です。
表表紙の裏に、こんな方々のための「物語」です として
・起業したいと考えてる皆さん
・会社を辞めて独立したいと考えている皆さん
・株式公開の業務に携わろうとしている証券会社、ベンチャーキャピタル、証券代行、監査法人、印刷会社の皆さん
・経営の専門職として従事する公認会計士、税理士、弁護士、司法書士、経営コンサルタントの皆さん
と書かれていますが、
確かに、IPOの流れの全体がストーリーっぽく書かれている書籍はめったにありませんんで、これらの方にはそれなりに有用かと思います。
(制度等が今とは若干変わっていることを御承知の上でお読みください)
本記事投稿時点(3月22日)では、Amazonで中古本が1円で売られていますので、興味ある方はどうぞ。
上場会社の「独立役員」はどんな人?
東証のホームページに、「独立役員届出書一覧」が公表されています。
http://www.tse.or.jp/listing/yakuin/index.html
まずは、3月12日まで提出分が掲載されています(今後このページが更新されていくようです)。
3月12日まで提出分の中身を見てみますと、以下のようになっています。
(手作業集計ですので、間違ってるかもしれません)
・届出書を提出したのは162社
・162社のうち、159社が独立役員を「指定ずみ」、3社が独立役員は「未確保」として届出。
・159社について届出された独立役員は、245名。
(1社で複数名を選任している会社も多数あり)
・245名の内訳は、社外監査役:195名、社外取締役:50名。
・245名中、職業的専門家は、弁護士:44名、会計士(会計士&税理士含む):19名、税理士:10名
というような状況です。
ただ、先行して届出た会社の状況ですので、全部が出そろった時にはまた違う傾向が見られるかもしれません。
SHO-BI 上場体験談(ジャスダックHP)
2009年9月11日にジャスダックに上場したSHO-BI株式会社(代表取締役社長 寺田 一郎氏)の上場体験談がジャスダックのHPに掲載されています。
(メールマガジン「JASDAQ IPO WAVE」としても配信されています)
JASDAQ上場を達成した会社の体験談 SHO-BI株式会社 代表取締役社長 寺田 一郎 殿
http://www.jasdaq.co.jp/list/taiken/taiken7819.jsp
詳細は、原文を直接お読み頂ければと思いますが、「上場してよかったこと」の部分のみ引用してご紹介します(下線は私が付しました)。
上場して一番よかったことは、社員が目標に向かって一丸となって突き進んでくれたことであります。上場審査を受ける上での体制整備はもちろん、世界的な不況の中にあって業績面で満足のいく結果を出せたことは一番の喜びであります。今回の上場によって従業員の誇りやモチベーションが高まった事で、今後の事業活動において大きな力となり、さらなる当社の発展につながっていくものと確信しております。 |
別のところでは、「当社が上場を決意するに至った一番の理由は、「信用力」の向上であります。」との記載もありますので、社員が一丸になったことは当初の上場の(主たる)目的ではなかったものの、結果的に「一番よかったこと」になったようです。
上場準備中の会社の方には、 他社分も含めて体験談を一読されることをオススメいたします。
(ジャスダック以外の市場が想定市場の会社さんでも)
ジャスダック証券取引所は、精力的に上場体験談を公開・更新されておりとても良い取組みだと思います。
(その他の取引所はこのような取組みはほぼ皆無でしょうか。ヘラクレスが頻度は少ないですがメールマガジンで体験談を配信している程度かと思います。)
ジャスダック証券取引所 「上場を達成した会社の体験談」
http://www.jasdaq.co.jp/list/list_40.jsp
【参考記事(カテゴリー)】
アゼアス
会社名: アゼアス
URL : http://www.azearth.co.jp/
・事業内容: 防護服・環境資機材事業(防護服、環境対策用資機材等の販売)、たたみ資材事業(畳に関連する資材全般の販売)及びアパレル資材事業(繊維副資材の製造、販売)
・基準期: 2009/04
・市 場: JQ
・主幹事証券: 野村
・監査法人: 新日本
・証券代行: 住友
・印刷会社: 宝印刷
・想定発行価格 490
・上場時株数 6,085,401.00
・想定発行価格ベース時価総額(百万円): 2,982
事業等のリスクは、下の「続きを読む」で
あずさ監査法人も「有限責任」へ
あずさ監査法人が、「有限責任監査法人」への移行を公表しています。
「有限責任監査法人」への移行について(あずさ監査法人)
http://www.azsa.or.jp/news/news20100310.html
10年7月1日からの移行とのことで、これで大手三法人(新日本、トーマツ、あずさ)は全て「有限責任監査法人」となります。
企業の側からすると、「これで何の影響が?」というのが率直な感想かと思います。
今回のプレスリリースにおいても、
>従来、監査法人の社員の民事責任については、会社法の合名会社制度をベースとした無限連帯責任となっていましたが、有限責任監査法人への移行により、個々の監査証明業務については、当該業務を担当する業務執行社員(指定有限責任社員)が無限連帯責任を負い、指定有限責任社員以外の社員は、監査法人に対する出資金の価額を限度としてその弁済責任を負うことになります。
との説明がなされていますが(上記、>からはプレスリリースより引用)、これを読んでもピンとは来ないかと思います。。。。。
(有限責任監査法人だろうと、ふつうの監査夫人だろうと、平時には実質面の違いはほぼないものの、問題発覚時にはそれなりに違いが出てきます。でないと、有限~に移行するわけないですよね。)
【参考過去記事】
監査法人の業績悪化が深刻化?(日経アンケート)(10/01/14)
トーマツは、経常「利益」が13億(09/12/28)
新日本有限責任監査法人、2009年6月期は経常損失 13億円(09/09/19)