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東証が総会議案の議決結果を公表するように「お願い」


東証が、上場企業の情報取扱責任者向けに、
「株主総会議案の議決結果の公表についてのお願い」という要請文書を出したとのことです。

http://www.tse.or.jp/news/200910/091029_b.html

今のところ強制(義務化)ではないようで、
「上場会社各社におかれましては、株主総会議案の議決結果の賛否の票数を含めた公表について、積極的に実践していただきますようお願い申し上げます。」
というお願いという位置づけだそうです。

要請文書には、参考として「Q&A」が付されています(以下はQのみ紹介)。
・株主総会当日の議決権行使分についても公表の対象に含める必要があるのですか。
・役員選任議案の議決結果の公表を行う場合は、個別の役員候補者の得票数等も公表する必要があるのでしょうか。
・議決結果の公表は、株主総会当日に行う必要があるのですか。
・議決結果の公表は、TDnetを利用して行わなければならないのですか。


「国際的な流れ」とのことですが、大変です・・・・

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Tag : 東証総会議案議決結果公表義務要請

東証 ディスクロージャー部会(第1回)


東証の「上場制度整備懇談会ディスクロージャー部会」第1回が行われたようです。

同部会は、先日、記事にしました「上場制度整備の実行計画2009」に関連する部会です。
(過去記事) 東証 「上場制度整備の実行計画2009」を発表 (09/10/01)

以下のURLに第1回の審議資料が掲載されています。
http://www.tse.or.jp/rules/seibi/bukai.html

審議内容は、四半期開示に関する問題意識の確認が中心とのことで、上場会社・機関投資家の意識・実態調査結果も別紙資料として掲載されています。

意識・実態調査結果も結構なボリュームがありますが、面白い内容もいくつかありました。
上場会社の意識・実態調査結果において、
「2.四半期決算短信における公認会計士の関与の実態」という項があり、
四半期報告書が制度化される前と後のそれぞれについて、短信を会計士(監査人)がどこまで見ているのかが書かれていました。
制度化前は、31.5%の会社が、「会計士等の了解等は特段得ないで開示していた」とのことですが、
制度化後は、「会計士等の了解は特段得ないで開示している」は、3.0%に激減していたりします。

あと、この議事要旨からすると、検討事項である「四半期開示についての効果的・効率的な見直し」が本当に行われるのか心配になってきます(開示内容の簡素化などには否定的意見が多いようです)。


興味あるかたは是非資料の原文をどうぞ。

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Tag : 東証ディスクロージャー部会四半期問題点

「新」ジャスダックの概要が明らかに

来年予定されているジャスダックとヘラクレスの統合に関して、
『JASDAQ・ヘラクレスの市場統合のあり方について』
という文書が大阪証券取引所とジャスダック証券取引所の連名で公表されています。
http://www.ose.or.jp/news2/news15266/091027_15266.pdf

概要としては、
・(新)JASDAQスタンダード =(旧)JASDAQ(884社)+(旧)ヘラクレススタンダード(77社)
・(新)JASDAQグロース =(旧)JASDAQ NEO(5社)+(旧)ヘラクレスグロース(74社)

という市場区分になるようです。

JQ ヘラ

ジャスダック証券取引所のHPには、ジャスダック松本社長の貴社会見要旨が掲載されています。
http://www.jasdaq.co.jp/data/kaiken_youshi211027.pdf

●これは制度改正の骨子であり、今後、制度要綱として示していく
 「・・・、我々の社内目標としては、年末までには皆さんにご提示したいと思っています。」

●新JASDAQは、通過市場ではなく最終市場としての位置づけを目指す
 「・・・上位市場があって我々の新JASDAQがあるのではないと強く思っています。」

●将来的には外国語での開示も検討していく。
 「ベースは英語でしょう。それも目指していきたい。」


これから、新興市場への上場を計画されている会社さんは、この動向には要注目でしょう。


【参考過去記事】

大証新興市場(JQ & ヘラ)、統合まで残り1年 (09/09/28)

大証とジャスダックの行方? (09/08/03)

ジャスダックと大証の行方は?(市場統合あり方委員会) (09/06/30)

ジャスダックと大証ヘラクレスの統合の行方は? (09/04/07)

ジャスダック-大証 「市場統合のあり方に関する委員会」 (09/03/12)

日証協がジャスダック株の大証への売却を決定 (08/04/11)

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Tag : ジャスダックJASDAQヘラクレス市場統合NEOスタンダードグロース

証券アナリストが選んだディスクロージャー優良企業は?

しばらく前ですが、
日本証券アナリスト協会ディスクロージャー研究会から、
「証券アナリストによるディスクロージャー優良企業選定(平成21年度)」が公表されています。
http://www.saa.or.jp/disclosure/pdf/disclosure_21.pdf

その中で、「新興市場銘柄」部門では、
・日本マイクロニクス(3回連続)
・エス・エム・エス(新規)
・ジュピターテレコム(新規)
の3社が表彰されています。

なお、選考は、
「ジャスダック、マザーズ、ヘラクレス、セントレックス、Q-Boardおよびアンビシャスの6つの市場に上場している企業のなかで、時価総額上位であって、かつアナリストの数が一定以上の29社。」
からとのことですので、
この賞を受賞するためには、
「優良なディスクローズ」とともに、「時価総額上位であって、かつアナリストの数が一定以上」という条件を備える必要があるということです。

選考対象となった29社は以下のとおりです。

analyst_convert.gif

後者の条件を充足するのもなかなか大変です・・・・

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Tag : 優良表彰ディスクロージャーディスクローズアナリスト

IPO事例研究 エフオーアイ

11月20日にマザーズ上場予定のエフオーアイ社について、資本政策ほかについて事例紹介としてコメントしたいと思います。

同社は、今年の6月・7月に第三者割当増資を行っています。
09年3月期基準での上場ですので、上場申請期に入ってからの資金調達です。
 ・09年6月26日:382百万円
 ・09年7月10日:920百万円
 ・09年7月21日:367百万円
総額で約17億円もの資金を調達しています(@555円)。

つい先日NEOに上場した会社さんについても【過去記事(DWTI)】で触れましたが、上場申請期の増資実行はやはり珍しいケースです
そのため、他の上場準備会社さんが本件を参考事例として扱うことには注意が必要です。
上場直前期や申請期の資本政策については、主幹事証券会社などと十分に協議の上で(主幹事証券の理解・了承を得た上で)実行をすべきところです(本件も当然にそれをやっているはず)。
他社事例を見て、勝手な判断で「増資」・「ストックオプション」・「株移動」などを行ってしまうと、取引所が定める「上場前規制」や金商法の規制などには何ら抵触していなかったとしても、『致命傷』として上場が出来なくなってしまう可能性も秘めています。

上場準備会社にとって、「資本政策」はそれほどデリケートなものですので、慎重にご対応ください。

【参考過去記事】
「資本政策」はとても大切?(08/01/04)
珍しい資本政策事例(デ・ウエスタン・セラピテクス研究所) (09/09/23)




続いて、もう少しだけ本銘柄の事例研究です。

同社は、半導体製造装置の製品開発、製造、販売を事業とするメーカーです。
販売先は、半導体デバイスメーカーで、同社の販売先は100%が海外です(台湾、中国)。

取扱い製品の特殊性ということで、
売上計上から売掛金回収までに1年6ヶ月~2年6ヶ月を要するビジネスだそうです(目論見書より)。 
そのため、業績拡大期には、運転資金が常に不足してしまうとても悩ましいビジネスモデルです(売掛金は長期間回収されず、買掛債務は短期間で支払うため)。

上記を踏まえた上で、同社の財務内容を見てみます(以下、グラフは目論見書より引用)。

直近の業績は以下のとおりであり、売上高、経常利益ともに高い成長率を示しています。
FOI

P/Lでは右肩上がりの絶好調業績ですが、財務面ではとても難しい状況です。
foi suii
「営業活動によるC/F」が、直前2期間および今期第1四半期も大幅な資金流出です。
こういう状況が、上場申請期における大型増資(約17億円)の背景ということです(直前期にもほぼ同規模の増資をしています)。

B/Sを見ると、売掛金残高が09/3期末で約223億円ありますが(総資産の76%)、09/3期の1年間の売上高が118億円ですので、売掛金の回収に極めて長期間を要していることが数値でもわかります。

同社はこのような特徴的な財務内容でもありますので、監査人もご苦労なさったのではないでしょうか(売掛金の実在性(売上先は全て海外企業)、貸倒引当金の妥当性、繰延税金資産の評価など)。

とりあえず分析はここまでにしたいと思います(あとは皆様でお願いします)。
なお上記分析は、個別銘柄に関する投資を推奨・非推奨するものではありません(全ての判断は皆様の自己責任でお願いします)。記載に間違い・問題等あればご指摘頂ければ修正・削除いたします。


企業の成長には、資金が必要ですが、ビジネスモデルによっては成長期における資金繰りが難しい会社とそうでない会社があります(例えば、英会話のNOVA(破たんしてしまいましたが)などは「前受ビジネス」でしたので、急成長期にも資金にはさほど困っていなかったはず)。
「P/Lにおける利益額」の成長も重要ですが、「資金」が回りやすいビジネスかどうか(回りやすくさせることが可能か)というのも、IPOを目指していく会社さんにとって重要なポイントかと思います。

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Tag : エフオーアイFOI上場申請期増資ビジネスモデル監査

TOKYO AIM上場ガイドブック (トーマツ)

6月にスタート(?)した東証のプロ向け新市場『TOKYO AIM』に関する参考書籍です。
(おそらく同市場に関する初めての出版物だと思います)




私は、いまだに「TOKYO AIM」について、企業やその他関係者にとってどこにどれだけのメリットがあるのかが理解が出来ていない状況なのですが、企業等の方との会話でたまに同市場が話題に上ることもあり、「TOKYO AIM」についても関心をもつようにしています。

本書の内容は、以下の4章構成です。
 第1章 TOKYO AIMの概要
 第2章 TOKYO AIMの上場規則
 第3章 指定アドバイザー(J-Nomad)に関する事項
 第4章 ロンドンAIMの概要
全224ページとそれなりの分量がありますが、ほぼ全面的に制度説明が淡々と書かれています。

TOKYO AIMについてを学ぶにあたって参考になるのは、
第1章の『各プレイヤーにとってのメリットとデメリット』という項でしょうか。
(プレイヤー:上場希望会社、証券取引所、監査法人、証券会社、投資家)

ただし、このメリットとデメリットの説明についても、「・・・・と予想されます」が多用されており、自信のなさそうな弱いトーンの記述に留まっています。
(本当にそれはメリット(デメリット)といえるのだろうか?と思うことも書かれています)

このあたりは、まだ1社も上場企業が出ていない手探りの状況ですので、仕方がないのだろうと思います(他に先駆けてこのような出版物を提供する意義もあるのだろうと思います)。


あと、『国際会計基準(IFRS)導入によるベンチャー企業への影響』というコラムが4部構成で書かれており、IFRSは最近のトピックスなので真っ先に読みましたが、あまりに一般的な内容でちょっとがっかりでした。


「TOKYO AIM」のことを調査・研究する資料としてはまとまっている(他に資料が殆どない)ので、必要な方は是非どうぞ。

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Tag : TOKYOAIM上場監査法人証券取引所投資家メリットデメリット

久しぶりの「大手」以外の監査人

10月16日にマザーズ上場承認が出ている「エフオーアイ」社(11月20日上場日)について、注目ポイントです。

同社の監査人は、桜友共同事務所です。
昨今、IPOは大手監査法人の独壇場でしたので、大手以外の監査人によるIPOはかなり久しぶりのことです。

昨年の以下の(参考過去記事)
 08年IPOの各種統計データ(第3回 監査法人別上場会社数) (08/12/02)
においても、 記事にしましたが、
08年のIPO銘柄を分析すると、東証本則(7社)、ジャスダック(18社)、マザーズ(12社)は全てが大手(3大)監査法人でした。
そのため、昨今は、「IPOの監査人は大手監査法人だけ」という風潮(?)が確立されつつあったのですが(「大手以外ではダメ」という市場関係者もおられたほどです)、この「エフオーアイ」社によって少し風向きが変わってくるのかもしれません。
準大手・中堅とされる監査法人の方と話をすると、これまでの「大手限定」状況は営業上もとても困る事態とのことでした(大手監査法人が監査している企業しか上場しない状況の中で、企業に準大手・中堅の監査法人を選んでもらうことはとても難しいとのことで)。
そういう意味では、間接的にではありますが、本件は準大手・中堅の監査法人にとっても朗報なのかもしれません・・・・・

これから監査人を選定するようなIPO企業会社さんなどにはご参考になれば幸いです。

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Tag : 監査法人監査人IPO上場大手準大手中堅

エフオーアイ

上場日: 2009年11月20日
会社名: エフオーアイ
URL : http://www.foi.co.jp/
・事業内容: 半導体製造装置の製品開発、製造、販売
・基準期: 2009/03
・市 場: マザーズ
・主幹事証券: みずほインベスターズ
・監査法人: 桜友共同事務所
・証券代行: 三菱UFJ
・印刷会社: 宝印刷
・想定発行価格 850円
・上場時株数 26,743,300株
・想定発行価格ベース時価総額(百万円): 22,732

(コメント:申請期に第三者割当増資実施、増収増益ではあるが営業C/Fはずっとマイナス、現役員との関連当事者取引あり)


事業等のリスクは、下の「続きを読む」で

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「形式優先」のJ-SOXは、どこまで意味があるのか?


10月17日の日経新聞朝刊において、
内部統制2年目の課題  形式優先、実態伴わず
という記事が出ていました。

「内部統制は有効に機能している」との内部統制報告書・内部統制監査報告書が出ていても、経営者不正や従業員不正、有価証券報告書の訂正が後を絶たないという内容です。

シンワオックス社の事例(経営者が白地約束手形を持ち出し行方不明)を用いて、J-SOXは経営者不正には無力であることなどを説明しています。
J-SOXの制度をしっかり理解している人からすれば、「J-SOXのもたらす便益は限定的であり、経営者不正には全く無力であること、評価範囲の対象から除外した事業・子会社などから問題が生じる可能性があること」などなど、至極当然のことです(本記事に書かれているような事案は、驚くようなものではなく、J-SOXが制度化されてもこういう事件は起こるだろうなと予見されていたことです)。
が、世の中は、J-SOXに過度に期待しているように思えます。
多大なコスト・時間・人員などを投入してまで対応しているのだから、それなりの効果があるものと考えてしまう(考えたくなる)のも仕方がないことなのかもしれませんが・・・・

今後J-SOXが実務においてどのように定着していくのかはわかりませんが、
「不祥事が起きる」 → 「更に制度を厳しくする」 → 「コスト増等で企業が悲鳴」 → 「それでも不祥事は起こる」(以後繰り返し) という悪循環にはまることなく、「J-SOX制度には限界(財務報告の信頼性をある程度高める効果はあるものの、完全なものではない)があること」についてを社会全体に十分に周知させつつ、企業に過度な負担をかけない運用に移っていけばよいと思う今日この頃です。

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Tag : 内部統制J-SOX形式優先実態伴わずシンワオックスタカチホ大石産業

東証 「20年度 持株会状況調査結果」が公表されています


東証のHPに、
「平成 20年度従業員持株会状況調査の調査結果について 」という毎年恒例の調査資料が掲載されています。
http://www.tse.or.jp/market/data/examination/employee.html

東証に上場している企業について、従業員持株会について「設置状況」や「奨励金の付与率」、「従業員一人当たりの平均保有金額」などが集計されています。
IPO準備会社さんにおいて、資本政策の検討として、「従業員持株会を作るかどうか?」の検討をされている場合などには、ひとつの参考資料にはなるものと思います。
(奨励金率は、約4割の会社が4~6%、約3割の会社が10~15%となっていることなどがわかります。ただし、実務面でもっと踏み込んで検討をしていくと、昨今は持株会を作ったとしても加入を希望しない従業員も過去との比較では増加基調にあり、この最近持株会を作った企業の奨励金率は、この分布状況とは異なっているはず(この統計値より高い)だったりします。)

上場企業においては、「日本版ESOP」という信託の仕組みを絡めた持株会制度が出てきているようです(まだまだ、日本版ESOPは社数ベースでは少数派ですが)。
IPO準備会社においては、基本的に従来型の持株会を検討しますが、将来的には、IPO準備会社でも「日本版ESOP」を検討するようになっていくのでしょうか・・・(わかりません)。


(参考過去記事)
「持株制度に関するガイドライン」が改正されています (08/06/16)


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Tag : 従業員持株会上場奨励金日本版ESOPIPO