「不適切なファイナンス」がついに公の媒体に
過去記事:「不適切なファイナンス」が大流行?(09年3月29日) において記事にしました、
「不適切なファイナンス」に関する3月27日の研修会(公認会計士向け)
について、日経新聞に大々的に紹介されています(09年4月27日 法務面)。
いわゆる「箱企業」の説明も面白いですが、それにも増して話のネタとしても面白いのは、以下の内容でしょうか。
以下引用です。
>監視委の佐々木課長は個人的な見解と前置きしたうえで「英領バージン諸島の私書箱P.O.BOX957を住所とするSPCへの第三者割当増資は極めて怪しい」と断言する。
私も研修会場で聴講していましたが、確かに同課長はかなり強い口調でこのお話をされておられました。また、「EDINETで検索して見ることをおすすめします」というようなことも仰っていました。
この記事も見て、私もついさきほどEDINET検索をしてみました。
確かに、不思議な香り(?)がする会社が沢山出てきました。
一覧にして片っ端からここに挙げて紹介しようかとも思いましたが、存続中の会社も多数ありますのでそれはやめました。
ということで、P.O.BOX957で検索された、今は亡き(?)上場企業をいくつかご紹介しておきます。
・サンライズ・テクノロジー 07年6月25日ヘラクレス上場廃止
・トランスデジタル 08年9月30日ジャスダック上場廃止
・クオンツ 09年1月17日ジャスダック上場廃止。
・ニューディール 09年3月28日マザーズ上場廃止
・アーティストハウスホールディングス 09年4月28日マザーズ上場廃止
なかなか濃い~顔ぶれです。
本問題にご関心がある方は、是非、日経新聞(09年4月27日 法務面)をどうぞ。
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東証 『上場制度整備懇談会からの提言』
東京証券取引所のホームページに、
上場制度整備懇談会からの提言『安心して投資できる市場環境等の整備に向けて』が公表されています。
上場企業が行う「第三者割当」に対する規制強化が提言されています。
マザーズ市場の方向性なども提言に盛り込まれるのかと思っていましたが、その辺りには触れられていませんでした。
審議状況も公開されており、第20回 (平成20年12月19日開催) では、「マザーズ市場のあり方について」という議論がなされていましたがどうなってしまったのでしょうか・・・・・・
IPO中止・延期企業の理由は87.6%が「株式市場の低迷」?
ニュース記事のご紹介です。
●Business Media 誠
上場を中断・延期した企業の87.6%、「株式市場の低迷」が理由
http://bizmakoto.jp/makoto/articles/0904/24/news088.html
帝国データバンクがIPO意向のある(あった)企業に対して行った調査レポートに関する記事です。
詳細は、本文をご参照頂きたいところですが、以下に一部引用です。
>上場を予定・希望する企業に上場したい時期を尋ねたところ、最も多かったのは「3年後」で15.7%。以下、「2年後」(11.3%)、「4年後」(8.6%)、「5年後以降」(6.5%)、「1年後」(4.8%)が続いた。
>上場予定・希望市場を聞くと、トップは「東証マザーズ」で36.3%。以下、「JASDAQ」(30.9%)、「大証ヘラクレス」(15.1%)、「東証2部」(7.1%)、「TOKYO AIM」(4.3%)、「JASDAQ NEO」(4.0%)が続いた。
>上場を目指す理由を尋ねたところ、トップは「知名度や信用度の向上」で 75.5 %。以下、「資金調達力の向上」(59.9%)、「人材の確保」(42.6 %)、「社内管理体制の強化」(23.3 %)、「従業員のモラル向上」(22.1 %)、「売り上げの拡大」(19.9%)が続いた。
>上場を予定・希望する企業のうち27.7%が「上場準備を中断もしくは上場時期を延期している」と回答、その理由を聞くと、最も多かったのは「株式市場の低迷」で87.6%。以下、「収益悪化による上場基準の未達」(48.7%)、「コストや手間の負担が経営を圧迫」(31.9%)、「内部体制の整備の困難」(17.2%)、「作業を手がける人材の確保の困難」(8.4%)が続いた。
この記事を読んだ感想ですが、
中断・延期の9割近い理由として「株式市場の低迷」が挙げられていますが、私は最大の原因は「収益悪化による上場基準の未達」の方なのではないかと考えています。
「収益は想定どおりに出ているが、株式市場が低迷しているので(株価が低いので)IPOを中止・延期した会社」と
「株式市場どうこうではなく、自社の収益が悪化してしまい、IPOを中止・延期した会社」を比較して、
前者の方が多いとはとても思えません(補足:アンケートは「複数回答可」で行われていますが)。
IPO計画が中止・延期となる場合において、原因がたった一つというのはあまりなく、業績、管理体制整備、株価など原因は複数あるケースのほうが多いように思えます。
企業(経営者)側の心理として、一番言いやすい原因が「株価も低迷しており今IPOしても・・・・」というだけなのではないでしょうか(社外に対しても、社内に対しても)。
確かに今は株式市況が冴えないので、IPOに適した時期とはとても言えません。
が、IPO準備には通常2、3年を要することを考えると、株式市況が回復してから「さぁIPOだ」と言っても、そこから更に2、3年経過してしまいます。
ですので、株式市況が悪い状況下においても、出来る範囲でIPO準備をやっておく(中止・延期になっている会社さんの場合は、完全にストップさせずに準備してきたところまでは水準を維持する)ことをオススメしています。
日証協が、新興企業の規制緩和を提言?
4月22日の日経新聞に、興味深い記事がありましたのでご紹介します。
記事のタイトルは「新興市場立て直し 上場廃止基準厳しく」というもので、
日本証券業協会が立ち上げた「新興市場のあり方を考える委員会」の報告内容が紹介されています。
その中で、以下の記述があります(記事より引用です)。
> ・・・また、新興企業の内部統制や情報開示に関する規制を緩和するように求める。新興企業は東証一部、二部に上場する企業と同じように内部統制報告書の作成や決算情報の開示が義務付けられており「経営規模に比べ費用負担が重すぎる」との声が強まっている。・・・・
この点はどうなっていくのでしょうか。
例えば、J-SOXについて、制度を定めた金融庁としては、「必ずしも東証一部、二部に上場する企業と同じようにとは求めていない」と言っているような気がします(中小企業の場合についての簡易対応を定めたりもしていますので)。
市場活性化のためにも、緩和策というのは総論としては賛成なのですが、いたずらに緩和すればよいというものではないと思いますので、具体的にどうやるのか(どういう線引きで、どこまで緩和するのか)というのを決めようとするととても難しいことなんだろうと思います。
24日に報告書がまとまるとのことですので、こちらが公表されるのであれば是非読んでみたいと思います。
記事のタイトルは「新興市場立て直し 上場廃止基準厳しく」というもので、
日本証券業協会が立ち上げた「新興市場のあり方を考える委員会」の報告内容が紹介されています。
その中で、以下の記述があります(記事より引用です)。
> ・・・また、新興企業の内部統制や情報開示に関する規制を緩和するように求める。新興企業は東証一部、二部に上場する企業と同じように内部統制報告書の作成や決算情報の開示が義務付けられており「経営規模に比べ費用負担が重すぎる」との声が強まっている。・・・・
この点はどうなっていくのでしょうか。
例えば、J-SOXについて、制度を定めた金融庁としては、「必ずしも東証一部、二部に上場する企業と同じようにとは求めていない」と言っているような気がします(中小企業の場合についての簡易対応を定めたりもしていますので)。
市場活性化のためにも、緩和策というのは総論としては賛成なのですが、いたずらに緩和すればよいというものではないと思いますので、具体的にどうやるのか(どういう線引きで、どこまで緩和するのか)というのを決めようとするととても難しいことなんだろうと思います。
24日に報告書がまとまるとのことですので、こちらが公表されるのであれば是非読んでみたいと思います。
(読書録)吉越浩一郎氏の著書一式
久しぶりに読書録を書きます。
元トリンプ日本法人社長の吉越氏の著書を一冊読んだところ、かなり感銘を受けてしまい、同氏の著書をまとめ読みしてしまいました。
吉越氏が著書で書いていることは、大雑把にいうと以下の4点でしょうか。
どの書籍も一貫してこれらのことが書かれており、どの話をメインにしているかというのが違いです(同じような話が複数の書籍でだぶって書かれています)。
①日中の仕事に全身全霊で取り組むことによって「残業ゼロ」を実現。
②デッドラインを常に意識(書類の整理、仕事への取組み)。
③即断即決の「早朝会議」を使ったスピード経営。
④リタイア後の人生をいかに充実させられるか(「本生」が大切)。
感想としては、「残業ゼロ」など、「なかなかそこまでできないですよ」という気がする反面、人生観としてはかなり賛同できるものがあります。
特に「本生」の考えについては、無視できないものがあります。
(※ アサヒビールの「本生」ではありません。リタイア後の人生は、「余生」ではなく、「自由なことができる楽しむ時間」だとする、吉越氏の造語です。)
ということで、ご関心あるかたは吉越氏の著書を一冊だけでもお読み頂くことはオススメしたいと思います。
が、沢山あるのでどれが良いのかといわれた場合には、以下のような感じでしょうか。
①「残業ゼロ」&④「本生」=「残業ゼロ」の仕事力、「残業ゼロ」の人生力
②「デッドライン」=仕事の仕方:デッドライン仕事術、書類の整理:仕事が速くなるプロの整理術
③「早朝会議」=早朝会議革命 (以下の本です。これは吉越氏本人の著書ではありませんが、吉越氏がやった早朝会議のライブ実況中継が書かれていますので他の書籍を読まれて、もし早朝会議についてを詳しく知りたい場合には、この本がおすすめです。※ 他の書籍を読まれない中で本書を読むことのはオススメいたしません。))
著書を片っ端から読むというのはちょっとやりすぎでしたが(ただし、どの本でも同じことの繰り返しなのでどんどん早く読めるようになります)、ひとつの仕事観・人生観として、どれか一冊手にとって見ることはよいかと思います。
なお、上記の書籍は、上段の左→右、下段の左→右に、出版年月の古い順に並べてあります(右下の方が最新)。
元トリンプ日本法人社長の吉越氏の著書を一冊読んだところ、かなり感銘を受けてしまい、同氏の著書をまとめ読みしてしまいました。
吉越氏が著書で書いていることは、大雑把にいうと以下の4点でしょうか。
どの書籍も一貫してこれらのことが書かれており、どの話をメインにしているかというのが違いです(同じような話が複数の書籍でだぶって書かれています)。
①日中の仕事に全身全霊で取り組むことによって「残業ゼロ」を実現。
②デッドラインを常に意識(書類の整理、仕事への取組み)。
③即断即決の「早朝会議」を使ったスピード経営。
④リタイア後の人生をいかに充実させられるか(「本生」が大切)。
感想としては、「残業ゼロ」など、「なかなかそこまでできないですよ」という気がする反面、人生観としてはかなり賛同できるものがあります。
特に「本生」の考えについては、無視できないものがあります。
(※ アサヒビールの「本生」ではありません。リタイア後の人生は、「余生」ではなく、「自由なことができる楽しむ時間」だとする、吉越氏の造語です。)
ということで、ご関心あるかたは吉越氏の著書を一冊だけでもお読み頂くことはオススメしたいと思います。
が、沢山あるのでどれが良いのかといわれた場合には、以下のような感じでしょうか。
①「残業ゼロ」&④「本生」=「残業ゼロ」の仕事力、「残業ゼロ」の人生力
②「デッドライン」=仕事の仕方:デッドライン仕事術、書類の整理:仕事が速くなるプロの整理術
③「早朝会議」=早朝会議革命 (以下の本です。これは吉越氏本人の著書ではありませんが、吉越氏がやった早朝会議のライブ実況中継が書かれていますので他の書籍を読まれて、もし早朝会議についてを詳しく知りたい場合には、この本がおすすめです。※ 他の書籍を読まれない中で本書を読むことのはオススメいたしません。))
著書を片っ端から読むというのはちょっとやりすぎでしたが(ただし、どの本でも同じことの繰り返しなのでどんどん早く読めるようになります)、ひとつの仕事観・人生観として、どれか一冊手にとって見ることはよいかと思います。
なお、上記の書籍は、上段の左→右、下段の左→右に、出版年月の古い順に並べてあります(右下の方が最新)。
株式公開白書 (21年版)
株式公開白書の21年版が発刊されています(プロネクサス発行)。
本書は、08年に上場した会社の統計データ集です。
主幹事証券会社、監査法人、証券代行別の件数データ、各社毎の「事業等のリスク」の内容、上場前の資金調達状況など資本政策関連の統計データなどなどが収録されています。
入手は、政府刊行物のウェブサイトや、大きな書店でどうぞ。
上場準備会社さんで、本書を購入されることはあまりないかもしれません(購入すべきというものでもありません)。
が、このような白書の存在自体があまり認知されておらず、また、場合によってはとても参考になる情報も収録されている白書ですので、ご紹介しておきました(1年前同様に)。
昨年は上場会社数が激減しましたので本書のページ数も、
20年版:470ページ → 21年版:302ページ に激ヤセしてしまいました・・・・・(値段は据置きですが)。
本書は、08年に上場した会社の統計データ集です。
主幹事証券会社、監査法人、証券代行別の件数データ、各社毎の「事業等のリスク」の内容、上場前の資金調達状況など資本政策関連の統計データなどなどが収録されています。
入手は、政府刊行物のウェブサイトや、大きな書店でどうぞ。
上場準備会社さんで、本書を購入されることはあまりないかもしれません(購入すべきというものでもありません)。
が、このような白書の存在自体があまり認知されておらず、また、場合によってはとても参考になる情報も収録されている白書ですので、ご紹介しておきました(1年前同様に)。
昨年は上場会社数が激減しましたので本書のページ数も、
20年版:470ページ → 21年版:302ページ に激ヤセしてしまいました・・・・・(値段は据置きですが)。
東京AIM 夏にも上場第1号?
間もなくスタート予定の東京AIM情報です。
●Bloomberg.co.jp
東証プロ市場:夏にも上場第1号、未公開大手など想定-村木社長(2)
運営会社「TOKYO AIM」の村木社長が15日のインタビューで話したことが書かれています。
以下引用です。
「社長は「例えば、サントリーや大塚製薬など未上場の大手企業、すでに東証に上場している企業の海外子会社などが考えられる」と述べた。」
「村木社長は、指定アドバイザーに、野村証券や大和証券SMBCやメガバンク系の大手証券などを5月中にも認定し、将来的には「外資系証券なども含めて30社ほどにしたい」と述べた。また4年後には「上場100社以上で黒字化を目指す」とし、内訳のイメージは「日本企業が3分の2で残りがアジア企業」という。 」
これまでも、「どの会社が候補らしい」とか、「どの証券が指定アドバイザー(Nomad)になるらしい」のような憶測はありましたが、運営会社の社長の発言ですので、それなりの信憑性のある情報ということなのでしょうか?
東京AIMは、「監査法人の監査証明は1期分でOK。上場後も決算開示は年次決算と中間決算の2回でOK。内部統制報告書(J-SOX)や四半期開示を求めない。」などの特徴がありますが、『この東京AIMに上場してくる企業はプロ投資家にとって魅力ある投資対象なのだろうか?』ということが未だによくわかりません。
(機関投資家は、マザーズなど新興市場上場企業への投資に極めて消極的とされているところ、マザーズよりも緩い(「緩いわけではない」との説明だそうですが)ルールで上場する企業であれば、「もっと消極的になってしまうのでは?」という心配もあります)
●Bloomberg.co.jp
東証プロ市場:夏にも上場第1号、未公開大手など想定-村木社長(2)
運営会社「TOKYO AIM」の村木社長が15日のインタビューで話したことが書かれています。
以下引用です。
「社長は「例えば、サントリーや大塚製薬など未上場の大手企業、すでに東証に上場している企業の海外子会社などが考えられる」と述べた。」
「村木社長は、指定アドバイザーに、野村証券や大和証券SMBCやメガバンク系の大手証券などを5月中にも認定し、将来的には「外資系証券なども含めて30社ほどにしたい」と述べた。また4年後には「上場100社以上で黒字化を目指す」とし、内訳のイメージは「日本企業が3分の2で残りがアジア企業」という。 」
これまでも、「どの会社が候補らしい」とか、「どの証券が指定アドバイザー(Nomad)になるらしい」のような憶測はありましたが、運営会社の社長の発言ですので、それなりの信憑性のある情報ということなのでしょうか?
東京AIMは、「監査法人の監査証明は1期分でOK。上場後も決算開示は年次決算と中間決算の2回でOK。内部統制報告書(J-SOX)や四半期開示を求めない。」などの特徴がありますが、『この東京AIMに上場してくる企業はプロ投資家にとって魅力ある投資対象なのだろうか?』ということが未だによくわかりません。
(機関投資家は、マザーズなど新興市場上場企業への投資に極めて消極的とされているところ、マザーズよりも緩い(「緩いわけではない」との説明だそうですが)ルールで上場する企業であれば、「もっと消極的になってしまうのでは?」という心配もあります)
(参考書籍)こうすればできる!決算早期化の仕組みと実務
上場準備会社の経理部門にとって、『決算早期化』は大きな課題のひとつだと思います。
その対応に向けて、とても参考になる書籍が出ていましたので紹介します。
本書は、上場企業の決算早期化コンサルティングを数多く手がけた会計士の方が書かれた決算早期化のための実務書です。
多くの上場企業の決算を見比べると、「決算の遅い会社には共通点がある」として典型的な状況を説明しています。
以下に本書の目次の一部を抜粋します。
第2章 決算早期化を達成する経理の仕組み
3 アウトプット業務の現状
(1) アウトプット資料が充実していない
①アウトプット資料が少ない
②アウトプット資料がだぶりがある
(2) アウトプット資料が検証不能である
①会計監査の利用可能性が低い
②分析が不十分
③開示物とリンクしていない
(3) アウトプット資料の検索に時間がかかる
第3章 決算早期化を達成できない原因と対策
1 単体決算が遅い会社
(1) 管理業務上の問題がある会社
(2) 事前準備不足の場合
2 連結決算が遅い会社
(1) 子会社側に問題がある場合
(2) 親会社側に問題がある場合
3 開示業務が遅い会社
(1) 基礎資料なしでの開示資料作成
(2) 開示資料作成段階での基礎資料作成
(3) 開示資料・基礎資料のチェック不能
4 監査に時間がかかりすぎている会社
(1) 監査の日程が長すぎる
(2) 監査のタイミングが悪い
(3) 決算早期化のための会計監査対策
このあたりの視点については、私も100%同感いたします。
決算早期化が課題となっている上場準備会社は、ここで書かれていることのいくつか(沢山?)の状況にあてはまっていると思います(決算が遅いのに、これのいずれにもあてはまらないという会社はまずないだろうと私も思います)。
本書では、経理のアウトプット資料を「リファレンスナンバー」と「リードシート」の活用などによって整備することが決算早期化への近道だとして、手順を説明しています。
この切り口は、著者の方が「会計監査に従事していた会計士」だからこそだと良くわかります。
(監査をする側の立場を経験したことがある方であれば本書を読まれるとこのコメントに同感頂けると思います)
決算早期化のために大切なことは資料のファイリングの仕方、資料の名称の見直し(電子データのファイル名含む)、決算の事前準備、監査法人とのコミュニケーションなど、経理業務における「基礎的な作法」をしっかりとすることだという内容です(本書で書かれている手法は、高度な経理・会計知識を必要とするようなものはひとつもありません)。
ひとつひとつの内容については、会計士の視点からすると「当たり前」ともいえることが多いのですが、実際にここで書かれたような対応・工夫ができていない会社がとても多いのも事実でしょうし、こういう切り口で書かれた書籍はこれまでにありませんでしたので、本書はとてもイイと思います。
決算早期化に取り組まれている会社であれば、ぜひとも本書を一読することをオススメいたします。
なお、本書で書かれている対応・工夫をしっかり実践できれば、監査人からの評価アップになることは確実だと思います。
あと、著者の方が書かれているこちらのブログもとても参考になりますので紹介しておきます(会計まわりのトピックス情報をまとめて下さっており私も愛読者です)。
■CFOのための最新情報■
http://blog.livedoor.jp/takeda_cfo/
かくいう私も、もはや数年前のことですが、上場企業の『連結決算早期化コンサルティング』を主たる業務としていた時期がありました。
難易度が高い決算早期化プロジェクトでしたので(連結子会社数が3ケタあるような会社の連結決算発表日程をまとまった日数早めるというのは並大抵のことではありません)、本書で書かれているような「基礎的な作法」だけで解決できるようなものではなく、PERT図を用いながら決算関連業務の各プロセスをぐりぐり分解し、「いったいどの業務がクリティカルパス(早期化を阻害している業務)なのか?」を特定した上で、どうやれば早期化が実現できるかを検討・改善していくようなことをやっていました(こういう決算早期化は経理・会計の専門性が必要になります)。
当時はまだ四半期開示などは制度化されていない時代だったのですが、昨今の会計事情(四半期開示、J-SOX対応など)からすると、今でも経理まわりの業務改善系のコンサルティングニーズは潜在需要としてはかなりあるんだろうなぁと思ったりしています。
その対応に向けて、とても参考になる書籍が出ていましたので紹介します。
本書は、上場企業の決算早期化コンサルティングを数多く手がけた会計士の方が書かれた決算早期化のための実務書です。
多くの上場企業の決算を見比べると、「決算の遅い会社には共通点がある」として典型的な状況を説明しています。
以下に本書の目次の一部を抜粋します。
第2章 決算早期化を達成する経理の仕組み
3 アウトプット業務の現状
(1) アウトプット資料が充実していない
①アウトプット資料が少ない
②アウトプット資料がだぶりがある
(2) アウトプット資料が検証不能である
①会計監査の利用可能性が低い
②分析が不十分
③開示物とリンクしていない
(3) アウトプット資料の検索に時間がかかる
第3章 決算早期化を達成できない原因と対策
1 単体決算が遅い会社
(1) 管理業務上の問題がある会社
(2) 事前準備不足の場合
2 連結決算が遅い会社
(1) 子会社側に問題がある場合
(2) 親会社側に問題がある場合
3 開示業務が遅い会社
(1) 基礎資料なしでの開示資料作成
(2) 開示資料作成段階での基礎資料作成
(3) 開示資料・基礎資料のチェック不能
4 監査に時間がかかりすぎている会社
(1) 監査の日程が長すぎる
(2) 監査のタイミングが悪い
(3) 決算早期化のための会計監査対策
このあたりの視点については、私も100%同感いたします。
決算早期化が課題となっている上場準備会社は、ここで書かれていることのいくつか(沢山?)の状況にあてはまっていると思います(決算が遅いのに、これのいずれにもあてはまらないという会社はまずないだろうと私も思います)。
本書では、経理のアウトプット資料を「リファレンスナンバー」と「リードシート」の活用などによって整備することが決算早期化への近道だとして、手順を説明しています。
この切り口は、著者の方が「会計監査に従事していた会計士」だからこそだと良くわかります。
(監査をする側の立場を経験したことがある方であれば本書を読まれるとこのコメントに同感頂けると思います)
決算早期化のために大切なことは資料のファイリングの仕方、資料の名称の見直し(電子データのファイル名含む)、決算の事前準備、監査法人とのコミュニケーションなど、経理業務における「基礎的な作法」をしっかりとすることだという内容です(本書で書かれている手法は、高度な経理・会計知識を必要とするようなものはひとつもありません)。
ひとつひとつの内容については、会計士の視点からすると「当たり前」ともいえることが多いのですが、実際にここで書かれたような対応・工夫ができていない会社がとても多いのも事実でしょうし、こういう切り口で書かれた書籍はこれまでにありませんでしたので、本書はとてもイイと思います。
決算早期化に取り組まれている会社であれば、ぜひとも本書を一読することをオススメいたします。
なお、本書で書かれている対応・工夫をしっかり実践できれば、監査人からの評価アップになることは確実だと思います。
あと、著者の方が書かれているこちらのブログもとても参考になりますので紹介しておきます(会計まわりのトピックス情報をまとめて下さっており私も愛読者です)。
■CFOのための最新情報■
http://blog.livedoor.jp/takeda_cfo/
かくいう私も、もはや数年前のことですが、上場企業の『連結決算早期化コンサルティング』を主たる業務としていた時期がありました。
難易度が高い決算早期化プロジェクトでしたので(連結子会社数が3ケタあるような会社の連結決算発表日程をまとまった日数早めるというのは並大抵のことではありません)、本書で書かれているような「基礎的な作法」だけで解決できるようなものではなく、PERT図を用いながら決算関連業務の各プロセスをぐりぐり分解し、「いったいどの業務がクリティカルパス(早期化を阻害している業務)なのか?」を特定した上で、どうやれば早期化が実現できるかを検討・改善していくようなことをやっていました(こういう決算早期化は経理・会計の専門性が必要になります)。
当時はまだ四半期開示などは制度化されていない時代だったのですが、昨今の会計事情(四半期開示、J-SOX対応など)からすると、今でも経理まわりの業務改善系のコンサルティングニーズは潜在需要としてはかなりあるんだろうなぁと思ったりしています。
テーマ : 会計・税務 / 税理士 - ジャンル : ビジネス
FXプライム 上場体験談(ジャスダックHP)
2008年9月18日にジャスダック上場したFXプライム(三浦社長)の上場体験談がジャスダックのHPに掲載されています。
(メールマガジン「JASDAQ IPO WAVE」としても配信されています)
JASDAQ上場を達成した会社の体験談 FXプライム株式会社 代表取締役社長 三浦 俊一殿
http://www.jasdaq.co.jp/list/taiken/taiken8711.jsp
以下、一部のみ引用です。
上場準備会社さんの中には、「上場準備は社内の一部のメンバー(だけ)でやること」とお考えの会社も多いようです。が、実際には一部のメンバーだけで乗り越えられるようなものではなく、経営陣・管理部門・営業部門・製造部門など「総がかり」での対応が必要となります。
このような状況になっている会社さんを「総がかり」対応に意識を変えていくことはなかなか難しいのでが、「会社が上場企業になる」ということは、会社全体にかかるビッグイベントですので全社一丸で取り組むよう理解を求めていくしかありません。
上場準備中の会社の方には、 他社分も含めて体験談を一読されることをオススメいたします。
(ジャスダック以外の市場が想定市場の会社さんでも)
ジャスダック証券取引所 「上場を達成した会社の体験談」
http://www.jasdaq.co.jp/list/list_40.jsp
(メールマガジン「JASDAQ IPO WAVE」としても配信されています)
JASDAQ上場を達成した会社の体験談 FXプライム株式会社 代表取締役社長 三浦 俊一殿
http://www.jasdaq.co.jp/list/taiken/taiken8711.jsp
以下、一部のみ引用です。
主幹事証券会社の引受審査開始とともに、会社状況に関しボリュームがあり内容も濃い質問事項をいただき、限られた時間内にそれらに的確に回答できるか否かの「能力」も審査されました。管理分掌役員・営業分掌役員の指揮の下、全部長を中心に、正に総がかりでの対応となったことはもちろんです。よく、上場作業は力仕事であり総力戦と言われますが、全くその通りであったと実感しました。 |
上場準備会社さんの中には、「上場準備は社内の一部のメンバー(だけ)でやること」とお考えの会社も多いようです。が、実際には一部のメンバーだけで乗り越えられるようなものではなく、経営陣・管理部門・営業部門・製造部門など「総がかり」での対応が必要となります。
このような状況になっている会社さんを「総がかり」対応に意識を変えていくことはなかなか難しいのでが、「会社が上場企業になる」ということは、会社全体にかかるビッグイベントですので全社一丸で取り組むよう理解を求めていくしかありません。
上場準備中の会社の方には、 他社分も含めて体験談を一読されることをオススメいたします。
(ジャスダック以外の市場が想定市場の会社さんでも)
ジャスダック証券取引所 「上場を達成した会社の体験談」
http://www.jasdaq.co.jp/list/list_40.jsp
会計士試験合格者急増で会計士協会が悲鳴(?)
約1ヶ月前のことなのですが、話題としてはちょっと面白いので紹介しておきます。
公認会計士試験制度への要望 (日本公認会計士協会会長)
会計士協会会長名で、宛先は、
『公認会計士・監査審査会 会長』と『金融庁 総務企画局長』という要望書になっています。
内容としては、
・試験制度が大幅に見直されたことに伴い「試験合格者」が急増
↓
・「試験合格者」が会計士となるためには、「実務補習」、「業務補助」、「実務従事」が必要だが、
合格者が多すぎて十分にこれらを提供できていない
↓
・「中長期的観点から公認会計士試験制度の再度の見直し」を要望
というもので、
簡単にいうと、「合格者が多すぎる状況で困っているので、合格者数を抑えるよう試験制度を見直して欲しい」ということかと思います。
海外との比較では会計士人口はまだまだ少ないとは言われているものの、現実には昨年の会計士試験合格者の中には、監査法人などへ就職ができなかった方が相当数いらっしゃるそうです。
せっかく会計士として活躍することを志され、試験にも合格したのにいきなり躓いてしまっているわけでとても残念な状況だと思います。
暫く前に、景気低迷によって将来に危機感を持った社会人が簿記検定や会計士試験などを目指しており、資格試験受験予備校が活況となっている新聞記事を読みました。今から会計士を目指す方などはこの「現実(合格しても就職できないかもしれないこと)」もしっかりと知った上で判断して頂くのがよいと思います。
(そっと出ている要望書なので、会計士業界でも本件を知らない方も結構おられる状況だったりしますので)
公認会計士試験制度への要望 (日本公認会計士協会会長)
会計士協会会長名で、宛先は、
『公認会計士・監査審査会 会長』と『金融庁 総務企画局長』という要望書になっています。
内容としては、
・試験制度が大幅に見直されたことに伴い「試験合格者」が急増
↓
・「試験合格者」が会計士となるためには、「実務補習」、「業務補助」、「実務従事」が必要だが、
合格者が多すぎて十分にこれらを提供できていない
↓
・「中長期的観点から公認会計士試験制度の再度の見直し」を要望
というもので、
簡単にいうと、「合格者が多すぎる状況で困っているので、合格者数を抑えるよう試験制度を見直して欲しい」ということかと思います。
海外との比較では会計士人口はまだまだ少ないとは言われているものの、現実には昨年の会計士試験合格者の中には、監査法人などへ就職ができなかった方が相当数いらっしゃるそうです。
せっかく会計士として活躍することを志され、試験にも合格したのにいきなり躓いてしまっているわけでとても残念な状況だと思います。
暫く前に、景気低迷によって将来に危機感を持った社会人が簿記検定や会計士試験などを目指しており、資格試験受験予備校が活況となっている新聞記事を読みました。今から会計士を目指す方などはこの「現実(合格しても就職できないかもしれないこと)」もしっかりと知った上で判断して頂くのがよいと思います。
(そっと出ている要望書なので、会計士業界でも本件を知らない方も結構おられる状況だったりしますので)
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