IPO実務検定(続き)
IPO実務検定の「標準レベル」を11月に、「上級レベル」を12月に受験しました。
(なお、今回の受験にあたっては、『試験対策の学習』は一切ナシで望みました)
受験方法はいずれもコンピュータ試験です。試験会場に行き、その場でPCに向かって受験します。
会場といってもPCスクールの片隅のようなところだったりします(孤独な受験です)。
コンピュータ試験は初めての経験でしたが、私がこれまで受けてきた各種資格試験は全て大部屋で一斉に受験するタイプの試験でしたので、それと比べると周りに他の受験生もおらず緊張感がない不思議な感覚でした。
【試験の流れ】
・標準レベル:択一試験 60分(60問) → 終了後にその場で合否(正答率)が判明
・上級レベル:択一試験 60分(60問) → 終了後に択一の点数(正答率)が判明 →
→ 足きりラインをクリヤしてれば記述式試験に突入 →
→ 記述式試験 30分(3問) → 約2週間後に合否(記述式の正答率)が判明
択一、記述とも時間的にかなり慌しいです。
標準レベルの択一はかなり時間的には余裕ありましたが、上級レベルの択一は余ったのは10分程度、記述式は試験時間をいっぱいに使いました。
なお、記述式についてはPCキーボードでの文字入力を苦手とする方は相当不利になると思います。
【成績】 (どちらも70%の正答率が合格ラインです)
・標準レベル:76% → 合格♪
・上級レベル:択一試験 83%、記述試験 86%、総合 84% → 合格♪
(上級レベルはある程度余裕ある合格点でしたが、標準レベルはギリギリ合格!?)
ということで、
認定上級IPOプロフェッショナル(AIP=Advanced-level IPO Professional)
『上場準備室長として、上場準備に必要な業務の特定ができるほか、それらの業務を社内の適材適所にアサインしたり、監査法人、証券会社などの上場関連プレイヤーとの折衝ができる。』
という能力があるとの認定(?)を頂けました。
【受験を終えて】
まずは合格となってホッとしました(不合格だったら相当へこんだと思います)。
出題範囲・難易度などなどについてご意見したい事はいろいろとあるのですが、軽はずみな発言で本ブログ読者の方や検定試験関係者の方などに迷惑をかけてもよくないと思いますのでここではそれは控えたいと思います。
なお、受験動機のひとつとして、「支援先企業や会計士仲間への推奨も」というのがありましたが、現時点においては、私からこの実務検定を積極的に推奨することはしないつもりです。
IPO実務検定
宝印刷さんほかが今夏に設立した「日本IPO実務検定協会」が実施する検定試験です。
試験は標準レベル・上級レベルの2種類があり、以下の能力が認定されるそうです。
・標準レベル: 上場準備スタッフとして、上場準備室長のサポート的な業務をこなすことができる。 |
・上級レベル : 上場準備室長として、上場準備に必要な業務の特定ができるほか、それらの業務を社内の適材適所にアサインしたり、監査法人、証券会社などの上場関連プレイヤーとの折衝ができる。 |
この試験については、業界内でたまに話題となるのですが、「上場の知識は、検定試験で測れるようなものではないし、この試験は・・・・・」のような声も耳にしていました。
そこで、自ら本試験を受験してみることにしました。
【 受験の動機 】
●自らの力試し
上場準備支援を本業としている者として、経営者や上場準備プロジェクトのリーダーに対してアドバイス・実務支援を行う立場ですので、本試験で認定される能力(上表の内容)は当然に持っているべきであり、また、上場準備コンサルタントの中でも相応の知識・経験を備えているという自負もありましたので、「力試し」にもなると思いました。
●当該試験制度についての正確な理解
新規上場の知識を体系的に習得することはなかなか難しいものがあります。
(日本IPO実務検定協会の設立趣旨)
を見ると、
>> 日本で初めて上場準備の実務能力をまんべんなく、総合的に問う試験である「IPO実務検定試験」を通じて、上場準備を担える人材を育成することにより、ベンチャー企業の上場を促進し、その結果として日本経済の活性化が図られるという「社会的インフラ」を担ってまいります
と、とても素晴らしいことが述べられており、本当にIPO実務について体系的に習得できるような試験であれば、支援先の企業や会計士仲間などへ推奨に値するのではないかとの思いもありました。 「実態を知らない中で、推奨も批判もすべきではない」との考えもあり、他者の評判を聞くというのではなく、自分が受験してみるのが一番と思いました。
ということで、「標準レベル」、「上級レベル」の両方を受験してみることにしました。
本日はここまでで、続きは次回にしたいと思います。
ジャスダック「上場ハンドブック」が新しくなりました
『ジャスダックHP 「上場ハンドブック」(平成20年12月版)』
ジャスダック(NEO含む)を目指す企業さんは必携です(常に最新版を持つ必要があります)。
(参考書籍)一番はじめに読む内部監査の本
「はじめに」によると、
『初心者向けの内部監査の本で、なおかつ実務に役立つものを書こう』がコンセプトとのことで、
①図表を使ってわかりやすく
②説明もわかりやすい表現を使う
③実務に役立つ内容を盛り込む
④時には身近なたとえ話で理解を助ける
との方針で書いたとのことです。
といっても、監査法人トーマツの書籍ですので、内容はかなりしっかり充実しています。
(しっかりしたことをなるべく平易に説明しようとしています)
ということで、すぐに読み終わるような超初心者向けというような軽い内容ではありませんが、基礎概念から実務知識まで丁寧に説明されていますので、オススメいたします。
ただし、内部監査で作成・使用する各種書類(内部監査規程や内部監査計画、手続書など)の様式・サンプル収録は殆どありませんので、その点お気をつけ下さい。
(参考書籍)経営の品質を高める内部監査
前回紹介しました『内部監査人の実務ハンドブック』は、分量も多く辞書的な内容でしたが、第2弾、第3弾は一般書籍です。
「内部監査を少しでも経営に役立てるには」ということを意識して書かれています。
(読者としても、経営者、内部監査担当者、監査役を想定しているとのこと)
巻末付録として、以下のサンプルが収録されているのもイイと思います。
・内部監査規程
・内部監査計画書
・個別内部監査実施計画書
・整備状況の評価シート
・運用状況の評価シート
・内部監査調書
・内部監査報告書
・業務改善指示書
・業務改善計画書
・業務改善状況報告書
・業務改善状況確認書
なお、著者のみらいコンサルティングは、元々は中央青山監査法人系列のコンサルティング会社でした(元 中央青山pwcコンサルティング(もっと前は中央コンサルティング))。
文章も読みやすく書かれていますので、「これから内部監査を」という会社さんにはオススメしたいと思います。
(参考書籍)内部監査人の実務ハンドブック
IPOに必須の「内部監査」ですが、IPO準備会社で、もともと内部監査制度がある会社はかなり稀だと思います。がオススメできる参考書籍はあまりありません(学者の方が書いた学術的なものなどは理論ばかりでとっつきにくいと思います)。
基礎から内部監査をスタートするための参考書籍を3冊紹介しようと思います。
(ここでは内部統制監査(いわゆるJ-SOX)ではなく、純然たる内部監査だけを対象とします)
第1弾が本書です。
「日本内部監査協会」の書籍です。
480ページと分厚い本ですが、第Ⅰ部が理論編、第Ⅱ部が実務編、第Ⅲ部が資料編で構成されています。
第Ⅰ部(理論編)は、内部監査とは?、内部監査人の役割と責任は?・・・・のような理屈が書かれており、第Ⅱ部(実務編)において、監査計画、監査手続書、監査調書、監査報告書、フォローアップなどの説明があります。第Ⅲ部(資料編)は内部監査基準などの制度資料です。
第Ⅱ部(実務編)で「内部監査のためのチェックリスト」として、
営業部門、物流部門、製造部門、保守部門、調達部門、経理部門、人事・労務部門、経営企画部門、技術開発部門、IT部門の別に、監査チェックリストが例示されています。
このチェックリストの内容は、やや概念的なものが多く、実務で使うにはもう少し修正をした方がよいとは思いますが「内部監査ははじめて」という会社さんにとっては参考にはなると思います。
また、チェックリストは添付CD-ROMでデータ提供されています(EXCEL)。
なお、もっと詳細な資料が必要な場合は、内部監査協会から
内部監査実務全書
が出ていますが、こちらは約6万円と高額です。
ということで、あまりお金をかけずに内部監査を体系だてて学ぶという点では本書はいいと思います。
08年IPOの各種統計データ(番外編 直前期末から上場日までの日数)
08年上場会社49社について、直前期末から上場日までの日数を調べてみました。
・東証1部 : 10.9ヶ月(2社)、期超え0社
・東証2部 : 10.7ヶ月(5社)、期超え0社
・JASDAQ : 10.7ヶ月(18社)、期超え4社
・JASDAQ NEO : 14.8ヶ月(1社)、期超え1社
・東証マザーズ : 9.4ヶ月(12社)、期超え2社
・大証ヘラクレス : 10.8ヶ月(9社)、期超え4社
・名証セントレックス : 12.9ヶ月(1社)、期超え1社
・札証アンビシャス : 7.7ヶ月(1社)、期超え0社
全体平均 : 10.5ヶ月(49社)、期超え12社
(手作業での集計結果です。間違っている等のご指摘あればお願いします)
このデータから読み取れることは、
直前期末日から上場日までどの市場でも概ね10~11ヶ月が標準日数ということです。
(3月決算会社であれば、2月頃の上場というのが、平均レベルということになります)
これは数年前からするとかなり遅くなっているという印象を受けます。
手元にデータは全くありませんが、数年前は、11月・12月が3月決算会社の上場のひとつのヤマだったと思います。
が、今は3月決算で12月までに上場できる会社は早く上場できた部類に属するということで、3月期末に近い時期もしくは期超え上場が増えてきているということかと思います。
上場後、あっさりと業績下方修正・公表計画未達という企業が多発したために、主幹事証券会社・証券取引所が、申請期の業績審査についてかなりしっかり見極めているということが一因かと思います。
ということは、08年3月期を基準決算期(直前期)とする会社が、来年2月~4月ごろに沢山上場するのでしょうか?(希望的観測)
なお、08年3月期基準の上場会社は、08年12月までではたったの5社です。
物語コーポレーションの上場体験談
08年3月にジャスダック上場した物語コーポレーションの上場体験談が掲載されています。
(12月12日付けのメールマガジン「JASDAQ IPO WAVE~新規上場通信~」でも同内容が配信されています)
上場体験談として、同社の小林社長のコメントが掲載されています。
詳細は原文をお読み頂ければと思いますが、以下のテーマが書かれています。
1.上場しての感想
2.上場をとりやめる多くの方々
3.上場を目指した理由
4.最後に
「2.上場をとりやめる多くの方々」において、この最近上場を目指すのを止める企業が多いことについてその理由を、
(1) 業績 、(2) 調達額が見合わない、(3) 「上場がいや」と分かった
と分析して、小林社長の考察が書かれています。
この考察は、なるほどと思うものが多くとても参考になりました。
また、物語コーポレーションの上場については、
その上で、「2億8千万円程度しか」資金調達できず、また、上場後の「ランニングコスト4,500万円」、「自分(社長)が規制を受ける。(外から身内から)」などデメリットも多い中でも、
>> 周囲からは、そのような環境下で、なぜ上場したのか、上場して良かったのかという質問をよく受けます。この問いに対しては、いろいろな考え方もあろうかと思いますが、私自身は、上場して良かったと思います。
との感想を述べられています。
株式市況も悪く、上場計画を再考されている企業(経営者の方)も多いかと思いますが、最近上場を達成された経営者の生の声として参考とされればと思います。
このような情報が配信されてきますので、取引所のメルマガ購読はおすすめです。
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08年IPOの各種統計データ(第5回 印刷会社別上場会社数)
印刷会社別の08年上場会社数です。
【全体】
プロネクサス | 26社 |
宝印刷 | 22社 |
不明 | 1社 |
合計 | 49社 |
※ 不明は、「paperboy&co.」です。目論見書に印刷会社名の記載が見当たりませんでした。
(どなたか、もし把握可能な情報あればお教え下さい)
【東証本則(一部・二部)】
プロネクサス | 5社 |
宝印刷 | 2社 |
合計 | 7社 |
【ジャスダック】
宝印刷 | 10社 |
プロネクサス | 7社 |
不明 | 1社 |
合計 | 18社 |
【マザーズ】
プロネクサス | 9社 |
宝印刷 | 3社 |
合計 | 12社 |
【ヘラクレス】
宝印刷 | 6社 |
プロネクサス | 3社 |
合計 | 9社 |
【ジャスダックNEO】
宝印刷 | 1社 |
合計 | 1社 |
【セントレックス】
プロネクサス | 1社 |
合計 | 1社 |
【アンビシャス】
プロネクサス | 1社 |
合計 | 1社 |
(注意事項)
上記数値は、私が手作業で集計したものですので間違っているかもしれません。
(間違いのご指摘あればお願いします)
とりあえず今回で08年IPOの各種統計データは終了です。