上場準備会社の採用ミスマッチを防ぐには
前回の「なぜ上場準備会社の人材は短期間で辞めるのか?」の続きです。
ミスマッチの最大の原因である「聞いていた話と実際が違った」を防ぐにはどうすればよいのでしょうか。
それは、入社前に、
・相手(会社、応募者)の話をしっかりと聞くこと
・自分(会社、応募者)の話をしっかりとすること
に尽きると思います。
もう少し細かく考えると、
①会社(経営者)は、
1. 実態以上に、「自社は良い会社だ」、「面白い仕事をさせる」という説明をしてしまう
2. 伝えておかなければいけない会社の問題・課題を伝えることを避けてしまう
3. 人材の能力・経験についての評価を誤ってしまう
②人材(応募者)は
1. 実態以上に、「自分は能力・経験が高い」という説明をしてしまう
2. 伝えておかなければいけない自分の問題・課題を伝えることを避けてしまう
3. 会社についての評価を誤ってしまう
ということなのではないかと思います。
そして、これらのミスマッチを防ぐためには、
中途半端な理解の上での合意(採用・入社)は、会社と人材の双方にとってとても危険なことであることを強く認識する必要があると考えます。
会社(経営者)の側で考える場合、採用した人材が定着せず退職してしまうということ(=改めて採用活動を行うこと)は、とんでもない損失(時間・コスト)であることを認識する必要があります。
(経験者を中途で1名採用するだけでも「(複数の)人材紹介会社への要請」 → 「(複数の)応募者の書類選考」 → 「(複数の)応募者の面接(各人に複数回)」 → 「内定」 → 「入社手続」というプロセスで使われる人件費(時間)は相当なものです)
なお、上記の中で、私が、上場準備会社の人材採用において深刻な問題意識を持っているのは、
① 3. の人材の能力・経験についての評価を誤ってしまう です。
それは、
上場準備作業が専門分野であるがために、会社(経営者)が、「この人物は、○○長(管理部長、経理部長、経営企画室長、上場プロジェクト室長)を務める実力(能力・経験)があるのだろうか」を評価することがとても困難だからです。
多くの場合、会社(経営者)にとって上場準備は初めての経験です。
上場に向けては「何を」、「いつまでに」、「どのレベルまで」しなければいけないのかなど会社(経営者)も十分に理解できていないことが多いと思います。
そのような状況で、
「私はこれまで、・・・・・・・・証券会社対応では・・・・・・・・監査法人対応においては・・・・・・・・・上場申請書類の作成についても・・・・・・・・・(専門用語を散りばめたもっともらしい説明)・・・・・・・のような経験をしてきており、私に任せてもらえれば御社の上場準備は全て対応できます」のような応募者が現れた場合、
「(応募者が話していた内容は良くわからなかったが)そこまで言うなら任せてみるか」となってしまいがちなのではないかと思います。
このようなやり取りの中で合意した人材採用が、どのような顛末となるかは想像がつくと思います。
そのため、是非、応募者のアピールをそのまま受け止めることなく、「実例などで具体的な説明を求める」、「理解不足の人にもわかるような説明を求める」などによって、本当に任せてよい人物なのだろうかをなるべく吟味されることをオススメいたします。
それと、① 1. 及び2. に関連して、これからは会社(経営者)の側からも従業員・応募者に対しても積極的に情報開示をしていくべきという点については、こちらの本(過去記事リンク)も参考になります。
【補足】
上記は、私のこれまでの経験から、こういうことが比較的多く見受けられるということの記載ですので、「当社は上場準備会社であるが、こんな採用はしていない」や「私は上場準備会社への就職活動にあたって、このような対応はしていない」のようなお叱りはご勘弁頂ければと思います。
【おまけ】
私は、仕事柄イヤと言うほどこのミスマッチを見てきているため、自らのクライアント(ご支援先企業さん)が、上場準備や経理に携わる人材の採用活動を行う場合には、(要請があった場合に限りますが)応募者の能力評価のお手伝いをさせて頂くこともあります(注:能力面での評価の「お手伝い」であり、人柄・コミュニケーション能力等の全般評価は当然にクライアントが行います)。
「上場コンサルタントってそんなことまでやるの?」のような感想を持たれる方もおられるかもしれませんが、「効果的・効率的な上場準備作業の実現によってクライアントの上場の成功を全力で支援する」というミッションを遂行するためには、有効な業務なのではないかと考えています。
(逆にいうと、企業(経営者)の不十分な能力評価によって、実力不足の人材を採用されてしまうと、その後の上場準備作業に悪影響が出てしまう(コンサルタントも苦労する)ため、採用時に関与させてもらうことが近道であるということです)
ミスマッチの最大の原因である「聞いていた話と実際が違った」を防ぐにはどうすればよいのでしょうか。
それは、入社前に、
・相手(会社、応募者)の話をしっかりと聞くこと
・自分(会社、応募者)の話をしっかりとすること
に尽きると思います。
もう少し細かく考えると、
①会社(経営者)は、
1. 実態以上に、「自社は良い会社だ」、「面白い仕事をさせる」という説明をしてしまう
2. 伝えておかなければいけない会社の問題・課題を伝えることを避けてしまう
3. 人材の能力・経験についての評価を誤ってしまう
②人材(応募者)は
1. 実態以上に、「自分は能力・経験が高い」という説明をしてしまう
2. 伝えておかなければいけない自分の問題・課題を伝えることを避けてしまう
3. 会社についての評価を誤ってしまう
ということなのではないかと思います。
そして、これらのミスマッチを防ぐためには、
中途半端な理解の上での合意(採用・入社)は、会社と人材の双方にとってとても危険なことであることを強く認識する必要があると考えます。
会社(経営者)の側で考える場合、採用した人材が定着せず退職してしまうということ(=改めて採用活動を行うこと)は、とんでもない損失(時間・コスト)であることを認識する必要があります。
(経験者を中途で1名採用するだけでも「(複数の)人材紹介会社への要請」 → 「(複数の)応募者の書類選考」 → 「(複数の)応募者の面接(各人に複数回)」 → 「内定」 → 「入社手続」というプロセスで使われる人件費(時間)は相当なものです)
なお、上記の中で、私が、上場準備会社の人材採用において深刻な問題意識を持っているのは、
① 3. の人材の能力・経験についての評価を誤ってしまう です。
それは、
上場準備作業が専門分野であるがために、会社(経営者)が、「この人物は、○○長(管理部長、経理部長、経営企画室長、上場プロジェクト室長)を務める実力(能力・経験)があるのだろうか」を評価することがとても困難だからです。
多くの場合、会社(経営者)にとって上場準備は初めての経験です。
上場に向けては「何を」、「いつまでに」、「どのレベルまで」しなければいけないのかなど会社(経営者)も十分に理解できていないことが多いと思います。
そのような状況で、
「私はこれまで、・・・・・・・・証券会社対応では・・・・・・・・監査法人対応においては・・・・・・・・・上場申請書類の作成についても・・・・・・・・・(専門用語を散りばめたもっともらしい説明)・・・・・・・のような経験をしてきており、私に任せてもらえれば御社の上場準備は全て対応できます」のような応募者が現れた場合、
「(応募者が話していた内容は良くわからなかったが)そこまで言うなら任せてみるか」となってしまいがちなのではないかと思います。
このようなやり取りの中で合意した人材採用が、どのような顛末となるかは想像がつくと思います。
そのため、是非、応募者のアピールをそのまま受け止めることなく、「実例などで具体的な説明を求める」、「理解不足の人にもわかるような説明を求める」などによって、本当に任せてよい人物なのだろうかをなるべく吟味されることをオススメいたします。
それと、① 1. 及び2. に関連して、これからは会社(経営者)の側からも従業員・応募者に対しても積極的に情報開示をしていくべきという点については、こちらの本(過去記事リンク)も参考になります。
【補足】
上記は、私のこれまでの経験から、こういうことが比較的多く見受けられるということの記載ですので、「当社は上場準備会社であるが、こんな採用はしていない」や「私は上場準備会社への就職活動にあたって、このような対応はしていない」のようなお叱りはご勘弁頂ければと思います。
【おまけ】
私は、仕事柄イヤと言うほどこのミスマッチを見てきているため、自らのクライアント(ご支援先企業さん)が、上場準備や経理に携わる人材の採用活動を行う場合には、(要請があった場合に限りますが)応募者の能力評価のお手伝いをさせて頂くこともあります(注:能力面での評価の「お手伝い」であり、人柄・コミュニケーション能力等の全般評価は当然にクライアントが行います)。
「上場コンサルタントってそんなことまでやるの?」のような感想を持たれる方もおられるかもしれませんが、「効果的・効率的な上場準備作業の実現によってクライアントの上場の成功を全力で支援する」というミッションを遂行するためには、有効な業務なのではないかと考えています。
(逆にいうと、企業(経営者)の不十分な能力評価によって、実力不足の人材を採用されてしまうと、その後の上場準備作業に悪影響が出てしまう(コンサルタントも苦労する)ため、採用時に関与させてもらうことが近道であるということです)
スポンサーサイト
なぜ上場準備会社の人材は短期間で辞めるのか?
もう少しだけ、反社会的勢力関連のネタがあるので続けようかとも思いましたが、さすがに最近のテーマが偏りすぎているようなので、小休止して別のテーマにします。
上場準備のために採用した人材(管理部長、経理部長、経営企画室長、上場プロジェクト室長など)が定着せず、比較的短期間で退職してしまうケースが見られます。
なぜこのようなことが起こるのかについて、私の考えを書きたいと思います。
原因の大半は、入社時点におけるミスマッチ(入社後の問題ではなく、採用決定までの問題)ではないかと考えています。
短期間での退職となったケースについて、会社(経営者)及び人材本人に話を聞く機会がありますが、多くの場合、一言でいうと「聞いていた話と実際が違った」です。
●会社(経営者)からは、
・採用前の面接では、「IPO準備はほぼ全て出来る」と言っていたのに、実際には力不足だった。
・採用前の面接では、「部下の管理などマネジメントが出来る」と言っていたのに、実際には担当者レベルだった。
・採用前の面接では、応募者とウマが合うと思ったが、入社してみると描いていたキャラクターと違った。
●人材(退職する人)からは、
・採用前の面接では、「IPOの実現可能性が高い会社」と聞いていたのに、業績や管理体制などについて、実際には道のりが極めて険しい状況だった。
・採用前の面接では、「○○を担当してもらう」と聞いていたのに、実際には業務内容が入社前に聞いていたものと違うことを担当させられた。
・採用前の面接では、この経営者について行こうと思った(うまくやれると思った)が、入社してみると描いていたキャラクターと違った。
のようなことを聞きます。
未上場企業の場合、リクルート活動の仕組みも大手企業のように確立されておらずミスマッチはある程度仕方ないとの考えもあるかもしれません。
ですが、もう少しは不毛なミスマッチを防ぐことが出来るのではないかと思っています。
次回に、「上場準備会社の採用ミスマッチを防ぐには」として続きを書きたいと思います。
上場準備のために採用した人材(管理部長、経理部長、経営企画室長、上場プロジェクト室長など)が定着せず、比較的短期間で退職してしまうケースが見られます。
なぜこのようなことが起こるのかについて、私の考えを書きたいと思います。
原因の大半は、入社時点におけるミスマッチ(入社後の問題ではなく、採用決定までの問題)ではないかと考えています。
短期間での退職となったケースについて、会社(経営者)及び人材本人に話を聞く機会がありますが、多くの場合、一言でいうと「聞いていた話と実際が違った」です。
●会社(経営者)からは、
・採用前の面接では、「IPO準備はほぼ全て出来る」と言っていたのに、実際には力不足だった。
・採用前の面接では、「部下の管理などマネジメントが出来る」と言っていたのに、実際には担当者レベルだった。
・採用前の面接では、応募者とウマが合うと思ったが、入社してみると描いていたキャラクターと違った。
●人材(退職する人)からは、
・採用前の面接では、「IPOの実現可能性が高い会社」と聞いていたのに、業績や管理体制などについて、実際には道のりが極めて険しい状況だった。
・採用前の面接では、「○○を担当してもらう」と聞いていたのに、実際には業務内容が入社前に聞いていたものと違うことを担当させられた。
・採用前の面接では、この経営者について行こうと思った(うまくやれると思った)が、入社してみると描いていたキャラクターと違った。
のようなことを聞きます。
未上場企業の場合、リクルート活動の仕組みも大手企業のように確立されておらずミスマッチはある程度仕方ないとの考えもあるかもしれません。
ですが、もう少しは不毛なミスマッチを防ぐことが出来るのではないかと思っています。
次回に、「上場準備会社の採用ミスマッチを防ぐには」として続きを書きたいと思います。
反社会的勢力関連の3冊(脱法企業 闇の連鎖ほか)
先日紹介しました「ヤクザマネー」に続いて、
資本市場における反社会的勢力の恐ろしさを知っておくための参考書籍3冊です。
(この手の本を「IPO参考書籍」として紹介する人は少ないかもしれませんが、あえて読書録ではなくIPO参考書籍に分類します)
①脱法企業闇の連鎖
この手の本を読まれるとしたら、先日のヤクザマネーと本書をまずオススメします。
昨今の新興市場での不祥事が手広く紹介されています。
目次は以下のとおりですが、目次記載以外にも、ビーマップ(第三章)、メディア・リンクス(第六章)、サンライズテクノロジー(第七章)なども登場し、とても充実した内容です。
第一章 グッドウィル・グループの闇
第二章 加ト吉の闇
第三章 アイ・シー・エフの闇
第四章 大林組の闇
第五章 平成電電の闇
第六章 IXIの闇
第七章 シルバー精工の闇
第八章 アドテックスの闇
第九章 中央青山監査法人の闇
②実録!株式市場のカラクリ
かなり色々な裏事情が書かれていますが、以下はIPO準備会社の方が読んでおいてもいいと思う箇所です。
ゼクー(ワイ・アリーバ) P161~
DHC株偽造事件 P186~
YOZAN、ジャック・ホールディングス P195~
リキッド・オーディオ・ジャパン P208~
日本ベンチャー協議会 P245~
③実録!ファンド資本主義 ヒルズな奴らの錬金術
資本市場における品位無きマネーゲームの実態がかかれている本で、その一部に反社会的勢力の話が出てきます。
特別にオススメする本ではありませんが紹介しました。
資本市場における反社会的勢力の恐ろしさを知っておくための参考書籍3冊です。
(この手の本を「IPO参考書籍」として紹介する人は少ないかもしれませんが、あえて読書録ではなくIPO参考書籍に分類します)
①脱法企業闇の連鎖
この手の本を読まれるとしたら、先日のヤクザマネーと本書をまずオススメします。
昨今の新興市場での不祥事が手広く紹介されています。
目次は以下のとおりですが、目次記載以外にも、ビーマップ(第三章)、メディア・リンクス(第六章)、サンライズテクノロジー(第七章)なども登場し、とても充実した内容です。
第一章 グッドウィル・グループの闇
第二章 加ト吉の闇
第三章 アイ・シー・エフの闇
第四章 大林組の闇
第五章 平成電電の闇
第六章 IXIの闇
第七章 シルバー精工の闇
第八章 アドテックスの闇
第九章 中央青山監査法人の闇
②実録!株式市場のカラクリ
かなり色々な裏事情が書かれていますが、以下はIPO準備会社の方が読んでおいてもいいと思う箇所です。
ゼクー(ワイ・アリーバ) P161~
DHC株偽造事件 P186~
YOZAN、ジャック・ホールディングス P195~
リキッド・オーディオ・ジャパン P208~
日本ベンチャー協議会 P245~
③実録!ファンド資本主義 ヒルズな奴らの錬金術
資本市場における品位無きマネーゲームの実態がかかれている本で、その一部に反社会的勢力の話が出てきます。
特別にオススメする本ではありませんが紹介しました。
NHKドラマ「監査法人」の感想
19日で全6回が終了しましたNHKドラマ「監査法人」ですが、感想を書きたいと思います。
6月17日記事 でも書きましたが、全般的にはとても良く出来ているドラマだと思いました。
昨今の監査法人を取り巻く厳しい環境(資本市場や金融庁からの視線)や、会計不正、ブラックマネーなど、よくこれだけの内容を詰め込んだものだと感心いたします。
細かい描写について、実際の監査現場ではどうだという議論はいたしませんが、
1点だけ正直違和感を感じたところがあります。
それは、第5話で、プレシャスドーナツ社の悪質な粉飾に気づいたエスペランサ監査法人の小野寺氏、若杉氏が、監査法人の企業規模拡大を優先して、監査意見(適正意見)を出すというシーンです。
ドラマの設定が、数年前ということでは実際の監査の現場でも、「IPO後により正しい会計処理が行えるようにしっかり指導するつもりで、細かい誤りがあった場合でもIPO時点ではある程度大目に見る」ということはあったのかもしれません。
が、今回のケースでは、かなり露骨な粉飾ですので数年前であっても「ある程度は大目に」というレベルではなく、普通に考えたらストップがかかるケースだったのではないでしょうか。
というより、そもそも若杉氏は本ドラマの主人公です。
公認会計士としての正義感・使命感にあふれ、旧来の監査の悪いところを信念を持って否定してきた人物(若杉会計士)が、こうもあっさりと(苦悩するシーンはあったものの)自らが発見した粉飾決算を認めてしまうというのはいかがなものでしょうか。
第6回の冒頭で公認会計士法における会計士の使命を示す場面があったように、(本来の)会計士は
『被監査会社のみならず何人からも独立した立場で、公正性と信頼性を確保している』存在です。
本ドラマの視聴者も、若杉会計士の信念を応援していた方も多くおられたのではないでしょうか(当方はそう思いながら観ていました)。
それが、あの展開では、「なんだ、結局こうなるのか」、「実際もこういうことが行われているんだろうな」と受け止める視聴者が多くおられたのではないでしょうか。
公認会計士協会もバックアップ(?)しているドラマということでしたので、「これからの会計士はいかなる圧力にも屈することなく、信念を貫くことによって、クライアントの財務諸表に社会的信頼性を付与し、それを続けることによって監査法人・会計士が社会に認知され信頼されていく」という強いメッセージ発信をされたほうがよかったのではないかと思いました。
IPOに関わられている方々の本ドラマの視聴率は相当高いようです(仕事現場において、よく話題になります)。
本ブログ読者の方の中に、ドラマへの感想や、本記事へのコメントがございましたら、コメント投稿を頂けますと幸いです。
6月17日記事 でも書きましたが、全般的にはとても良く出来ているドラマだと思いました。
昨今の監査法人を取り巻く厳しい環境(資本市場や金融庁からの視線)や、会計不正、ブラックマネーなど、よくこれだけの内容を詰め込んだものだと感心いたします。
細かい描写について、実際の監査現場ではどうだという議論はいたしませんが、
1点だけ正直違和感を感じたところがあります。
それは、第5話で、プレシャスドーナツ社の悪質な粉飾に気づいたエスペランサ監査法人の小野寺氏、若杉氏が、監査法人の企業規模拡大を優先して、監査意見(適正意見)を出すというシーンです。
ドラマの設定が、数年前ということでは実際の監査の現場でも、「IPO後により正しい会計処理が行えるようにしっかり指導するつもりで、細かい誤りがあった場合でもIPO時点ではある程度大目に見る」ということはあったのかもしれません。
が、今回のケースでは、かなり露骨な粉飾ですので数年前であっても「ある程度は大目に」というレベルではなく、普通に考えたらストップがかかるケースだったのではないでしょうか。
というより、そもそも若杉氏は本ドラマの主人公です。
公認会計士としての正義感・使命感にあふれ、旧来の監査の悪いところを信念を持って否定してきた人物(若杉会計士)が、こうもあっさりと(苦悩するシーンはあったものの)自らが発見した粉飾決算を認めてしまうというのはいかがなものでしょうか。
第6回の冒頭で公認会計士法における会計士の使命を示す場面があったように、(本来の)会計士は
『被監査会社のみならず何人からも独立した立場で、公正性と信頼性を確保している』存在です。
本ドラマの視聴者も、若杉会計士の信念を応援していた方も多くおられたのではないでしょうか(当方はそう思いながら観ていました)。
それが、あの展開では、「なんだ、結局こうなるのか」、「実際もこういうことが行われているんだろうな」と受け止める視聴者が多くおられたのではないでしょうか。
公認会計士協会もバックアップ(?)しているドラマということでしたので、「これからの会計士はいかなる圧力にも屈することなく、信念を貫くことによって、クライアントの財務諸表に社会的信頼性を付与し、それを続けることによって監査法人・会計士が社会に認知され信頼されていく」という強いメッセージ発信をされたほうがよかったのではないかと思いました。
IPOに関わられている方々の本ドラマの視聴率は相当高いようです(仕事現場において、よく話題になります)。
本ブログ読者の方の中に、ドラマへの感想や、本記事へのコメントがございましたら、コメント投稿を頂けますと幸いです。
テーマ : 会計・税務 / 税理士 - ジャンル : ビジネス
ヤクザマネー
反社会的勢力関連の参考書籍の紹介です。
07年11月にNHKスペシャルとして放映されたテレビ番組「ヤクザマネー」が書籍化されています。
ヤクザマネー ~社会を蝕(むしば)む闇の資金~ (NHK)
テレビ番組を見られた方はご記憶にあると思いますが、
反社会的勢力の資金を運用するディーリングルームや、ベンチャー企業に闇の資金を提供するブラックエンジェル、闇の資金を受け入れているベンチャー企業経営者などが登場しますので、「よく、身の危険をかえりみずこれだけの取材をできたなぁ」と関心してしまいます。
反社会的勢力に入り込まれ破綻したゼクー社(マザーズ上場)については、具体的な記述があります。
反社会的勢力の恐ろしさを知っておくためにも、上場準備企業の経営者・役員ほかにお読み頂くのはよいと思います(できれば、テレビ番組も)。 この手の、ブラックマネー関連の本の中では、NHKの取材ということもありそれなりにしっかりした文章で書かれていますのでオススメできる書籍です。
テレビ番組を見た方が読むと、より面白く読めると思います。
07年11月にNHKスペシャルとして放映されたテレビ番組「ヤクザマネー」が書籍化されています。
ヤクザマネー ~社会を蝕(むしば)む闇の資金~ (NHK)
テレビ番組を見られた方はご記憶にあると思いますが、
反社会的勢力の資金を運用するディーリングルームや、ベンチャー企業に闇の資金を提供するブラックエンジェル、闇の資金を受け入れているベンチャー企業経営者などが登場しますので、「よく、身の危険をかえりみずこれだけの取材をできたなぁ」と関心してしまいます。
反社会的勢力に入り込まれ破綻したゼクー社(マザーズ上場)については、具体的な記述があります。
反社会的勢力の恐ろしさを知っておくためにも、上場準備企業の経営者・役員ほかにお読み頂くのはよいと思います(できれば、テレビ番組も)。 この手の、ブラックマネー関連の本の中では、NHKの取材ということもありそれなりにしっかりした文章で書かれていますのでオススメできる書籍です。
テレビ番組を見た方が読むと、より面白く読めると思います。
監査役協会 『新任監査役ガイド(第3版)』
監査役協会から、 『新任監査役ガイド(第3版)』が公表されています。
監査役協会 新任監査役ガイド ホームページ
(PDFファイルがダウンロードできます)
新任の監査役の方に向けて、
「実務の流れ」、「実務の内容」、「実務知識」をまとめた資料となっており、全224ページの大作です。
監査役だけでなく、取締役や役員以外の方にも有用な内容もあるようです。
ちょっと使えそうだなと思ったものは、
P150 : 会社経営に関連の深い主な法律・規則等
P154~: 監査役の会計監査の例示
P172~: 監査役監査基準
P200~: 監査役会規則(ひな型)
P206~: 監査報告のひな型
P218~: 用語集
テーマ : 会計・税務 / 税理士 - ジャンル : ビジネス
社長が求める課長の仕事力
しばらく前の日経新聞に本書の広告が大きく載っていたので読んでみました。
著者の方は、約40年間で、社長や業績アップ・企業再生コンサルタントとしての立場で2,000社を見てきたそうです。
目次は、このようになっています。
第1章 課長に求められるリーダーシップの原則
第2章 課長が知っておくべき人間関係の原則
第3章 課長が考えておきたい売上アップの原則
第4章 課長が押さえておきたい利益を生み出す原則
第5章 課長が身につけておくべき企画・発想の原則
第6章 課長が変えるべき改善の原則
第7章 課長ならではのスキルアップの原則
第8章 課長自身のためのキャリアアップの原則
以下、まえがきより引用です。
>私が見てきた赤字会社の多くはまさにダメ課長の見本市でした。
>それでも、教育を通じて分かったことは、ダメ課長をデキる課長に変えただけで会社の業績は急速に確実に伸び、たとえ赤字でも黒字の企業に立ち直ることができました。そして課長たちも立派な経営幹部へと成長されました。
業績アップや企業再生のカギを握るのは課長さんであり、低迷している会社さんに多数おられる「ダメ課長」を「デキる課長」にすることによって業績は抜本的に向上するとのことです。
本書は、課長というポジションに就かれている方に、真のリーダーになって頂くための即戦力本 という位置づけだそうです。
自分の担当業務(所属している部署)のことだけにしか頭が回らなくなりがちな課長クラスの方に、経営全般にまで視野を広げてもらうよう多くのメッセージが短編形式で書かれています。
確かに課長クラスの方が読まれる本としては、よい参考書だと思います。
また、課長クラス以外の方が読むのもよいと思います。
経営陣の方にとっても、自社の課長クラスの方はこのような考え方で働いてくれているのか?、本書でいうデキる課長になってもらうにはどうすればよいだろうか?を考える機会になるでしょうし、
また、課長より下のランクの方にとっても、次のステップとして課長を目指すにあたって身に付けておいたほうがよい心構えが書かれています。
内容は平易で、特殊なこと、高度なことは書かれていませんが、読む価値はある本だと思います。
(私の備忘録として)こちらも前書きから引用させて頂きます(太字は私がつけました)
> 【 仕事力をつける5つの心得 】
> 1. どのような課題にも、必ず解決策があると信じる
> 2. 24時間。考えることを習慣化する
> 3. 解決策をつねに論理的に考える
> 4. 仕事術を身につけたプロになる
> 5. 1週間に1日、完全にリラックスする日を持つ
> 【 課長の心構え7か条 】
> 1. 原理原則を重視する
> 2. 悪い情報は隠さない
> 3. 敏速に行動する
> 4. 会議は最小限に減らす
> 5. 自ら仕事をつくり出す
> 6. 信賞必罰が実行できる
> 7. セクショナリズムに陥らない
(おまけ)
当方の私見としては、業績アップや企業再生のカギを本当に握るのは、経営者(経営陣)だと考えています。
経営者(経営陣)がダメなのに、デキる課長が沢山いる会社さんは想像がつきません。
また、
企業のIPO準備においても、その企業の課長さんクラスの仕事力はとても重要だと認識しています。
IPO準備では、IPOプロジェクトメンバーは、これまで経験したことのないような課題(しかも多量!)に取り組んでいきます。複数の課題(難題?)解決を同時並行的に進めていかなければいけません。
周りが見えず自分のことだけしか考えられない人、作業の目的を十分に理解しないままとりあえず目前にある作業をやり始める人 が結構多くおられます。
企業の従業員の仕事への取り組み姿勢については、思うところが沢山ありますので、どこか別の機会に記事にしてみたいと思います。
著者の方は、約40年間で、社長や業績アップ・企業再生コンサルタントとしての立場で2,000社を見てきたそうです。
目次は、このようになっています。
第1章 課長に求められるリーダーシップの原則
第2章 課長が知っておくべき人間関係の原則
第3章 課長が考えておきたい売上アップの原則
第4章 課長が押さえておきたい利益を生み出す原則
第5章 課長が身につけておくべき企画・発想の原則
第6章 課長が変えるべき改善の原則
第7章 課長ならではのスキルアップの原則
第8章 課長自身のためのキャリアアップの原則
以下、まえがきより引用です。
>私が見てきた赤字会社の多くはまさにダメ課長の見本市でした。
>それでも、教育を通じて分かったことは、ダメ課長をデキる課長に変えただけで会社の業績は急速に確実に伸び、たとえ赤字でも黒字の企業に立ち直ることができました。そして課長たちも立派な経営幹部へと成長されました。
業績アップや企業再生のカギを握るのは課長さんであり、低迷している会社さんに多数おられる「ダメ課長」を「デキる課長」にすることによって業績は抜本的に向上するとのことです。
本書は、課長というポジションに就かれている方に、真のリーダーになって頂くための即戦力本 という位置づけだそうです。
自分の担当業務(所属している部署)のことだけにしか頭が回らなくなりがちな課長クラスの方に、経営全般にまで視野を広げてもらうよう多くのメッセージが短編形式で書かれています。
確かに課長クラスの方が読まれる本としては、よい参考書だと思います。
また、課長クラス以外の方が読むのもよいと思います。
経営陣の方にとっても、自社の課長クラスの方はこのような考え方で働いてくれているのか?、本書でいうデキる課長になってもらうにはどうすればよいだろうか?を考える機会になるでしょうし、
また、課長より下のランクの方にとっても、次のステップとして課長を目指すにあたって身に付けておいたほうがよい心構えが書かれています。
内容は平易で、特殊なこと、高度なことは書かれていませんが、読む価値はある本だと思います。
(私の備忘録として)こちらも前書きから引用させて頂きます(太字は私がつけました)
> 【 仕事力をつける5つの心得 】
> 1. どのような課題にも、必ず解決策があると信じる
> 2. 24時間。考えることを習慣化する
> 3. 解決策をつねに論理的に考える
> 4. 仕事術を身につけたプロになる
> 5. 1週間に1日、完全にリラックスする日を持つ
> 【 課長の心構え7か条 】
> 1. 原理原則を重視する
> 2. 悪い情報は隠さない
> 3. 敏速に行動する
> 4. 会議は最小限に減らす
> 5. 自ら仕事をつくり出す
> 6. 信賞必罰が実行できる
> 7. セクショナリズムに陥らない
(おまけ)
当方の私見としては、業績アップや企業再生のカギを本当に握るのは、経営者(経営陣)だと考えています。
経営者(経営陣)がダメなのに、デキる課長が沢山いる会社さんは想像がつきません。
また、
企業のIPO準備においても、その企業の課長さんクラスの仕事力はとても重要だと認識しています。
IPO準備では、IPOプロジェクトメンバーは、これまで経験したことのないような課題(しかも多量!)に取り組んでいきます。複数の課題(難題?)解決を同時並行的に進めていかなければいけません。
周りが見えず自分のことだけしか考えられない人、作業の目的を十分に理解しないままとりあえず目前にある作業をやり始める人 が結構多くおられます。
企業の従業員の仕事への取り組み姿勢については、思うところが沢山ありますので、どこか別の機会に記事にしてみたいと思います。