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(反社対応)平成19年警察白書より

先日の記事にて、反社会的勢力は超重要です を書きました。

しばらくこれ(反社会的勢力)に関連するテーマを書いていこうと思います。

上場前・後の反社会的勢力の関与について、「実際に関与されてしまうとどのようなことになるのか」がピンと来ない方もおられると思います。
漫然と取引先のチェックや規程づくり等の体制づくりをするだけでなく、ウェブサイトや関連書籍を見て、「反社会的勢力と関わってしまうとこんな大変なことになる」という現実を知っておくことも有用かと思います。


今回は、参考ウェブサイトとして、
警察庁から公表されている『平成19年警察白書』における、
「反社会的勢力の証券取引への進出」に関する記事 を紹介します。

記事によると、

「共生者」という「暴力団関係企業以外にも、暴力団に資金を提供し、又は暴力団から提供を受けた資金を運用した利益を暴力団に還元するなどして、暴力団の資金獲得活動に協力し、又は関与する個人やグループ」が勢力を拡大しているそうです。

また、上場企業(大証二部のIC機器製造会社)に反社会的勢力が介入した事例が、簡単にですが紹介されています。
あまり上手な説明がされていないのでわかりにくいですが、公的なウェブサイトでもありご紹介しました。

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「内部統制報告制度に関するQ&A」の追加が公表されています

08年6月24日付けで金融庁から
「内部統制報告制度に関するQ&A」の追加について
が公表されています。

43ページもあり、まだ全く読めておりませんが、US-SOX・J-SOXを業務としている知人(会計士)から、上場準備会社に関連するポイントとして、以下を教えて頂きましたのでここで紹介させて頂きます。


> 40 「人材不足やマニュアルがなくとも直ちに重要な欠陥とはならない」

> 54 「全社統制が中小企業特有の形(=経営者が会社全体に関与していることにより有効)で機能していれば、業務プロセスもある程度有効」

> 62 「実質的ダイレクトレポーティングの採用 → 監査法人が過度に要求してくる詳細な評価方法を実施しなくても、評価範囲と結果さえ合っていれば監査意見は出る」


その方からは、こんなコメントも頂きました。
『いままできちんと考えず形式的にクライアントに指導してきた監査人は少なからず「はしごをはずされた!」と感じていると思います。
勝手にはしごをかけたのは監査人自身であることを気づいて欲しいです。』


監査人、J-SOXコンサルタント、ITベンダーなどが、「J-SOXではここまでやらないと合格点は出ませんよ!」と過度な要求をして、その後、しばらく時間が経って実務が動いた後になってから金融庁から「そこまでのことは求めていない」という見解が出てというのは、いかがなものでしょうか。

高いコスト負担もして真面目に対応していた企業の方は、このQ&Aが出たことをどう受け止めるのでしょうか。
また、過度に強引な指導をしてきていた監査法人やコンサルの方は、このQ&Aが出たことによる軌道修正を気まずい空気の中でやっていくのでしょうか。


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米国は、中小企業のSOX導入を延期

Nikkei.netによると、
「6月20日に、米証券取引委員会(SEC)は、中小企業に対する内部統制規則の適用で、外部監査法人による点検の義務付けを1年延ばすと発表した。
適用を遅らせる対象は株式の時価総額が7500万ドル未満の企業。
延期は5度目で、導入は2009年12月以降になる。」
とのことです。

Nikkei.netのニュース記事 (← ニュースサイトですのでいつまで閲覧可能かわかりません)


米国SOXについては殆ど知りませんが、「延期は5度目」はオドロキです。
わが国では、内部統制報告制度(J-SOX)が、企業規模の大小にかかわらず、今年の4月以後開始事業年度から制度がスタートしています。
J-SOXは、「米国SOXより柔軟に設計されており、企業規模に関係なく一律に適用開始する」というのが当局の考えらしいですが、1年後に出る09年3月期の有価証券報告書においてどのような内部統制報告書・内部統制監査報告書が出ることになるのか未だもってかなり不透明な状況のように感じています。
最後の最後になって、やっぱり延期ってことにはならないのでしょうか。


あと、上場準備会社さんのJ-SOX対応も混乱があるようです。
これからは、上場後はじめて提出する有価証券報告書から「内部統制報告書」・「内部統制監査報告書」が必要になります。
上場審査の立場からは、その会社さんが上場した直後に「内部統制報告書」に重要な欠陥があると書かれたり、「内部統制監査報告書」に無限定適正意見が出ないという状況は避けたいと考えるはずですので、上場審査においてもJ-SOX対応について相応の確認をすると思います。
が、上場審査を受けるタイミングにおいて、「J-SOXについてもう準備は整っている」というところまで整備するのは大変だと思います。
現時点の上場審査では、「もう整っている」ところまでは要求されていないようですが、J-SOXの実務が定着した後はどうなるのでしょうか。
既上場の企業については、金融庁は、『初回から完璧を求めているわけではない。「重要な欠陥」があるとなったとしてもそれを開示した上で、解決するように取り組んでいけばよい。』のようなことを発信されているようですが、新規上場にこの考え方を当てはめてよいのかというとよくわかりません。
(現時点では、「新規上場について重要な欠陥があってもいいですよ」という話はまったく聞こえてきません)
新規上場のJ-SOXをどのように考えるかについても、金融庁もしくは証券取引所から見解(指針?)を出す時期に来ているようにも思えます(ご存知の方いらしゃいましたら是非教えてください)。

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反社会的勢力対策は超重要です

昨今の上場準備において、絶対不可欠とされているのが「反社会的勢力に関する対応」です。

上場予定企業について、「反社会的勢力との関係がないこと」 については、以前から必要とされていたもので、全く目新しいテーマではありませんが、この数年、求められる対応が相当厳しくなってきています

数年前までは、「反社会的勢力との関わりがないか」について、株主名簿を中心とし、その他、取引先や債権債務残高の上位数社の中に 反社会的勢力と疑われるものがいないかというチェックが主な確認項目とされていましたが、昨今は、当時とは比較にならないレベルでの確認が行われています。

従前から確認がなされていた
①現時点で反社会的勢力との関わりがないか
 については、チェックの範囲が拡大しています。
どの範囲までに反社会的勢力と疑われる者がいなければOKかということは、証券取引所も証券会社も明らかにしていないのですが(取引所や証券会社によって、調査範囲に違いがあるとも言われています)、その範囲(確認対象相手先の数及び確認内容)が拡大しているとされており、かなり薄い(主要な取引先ともいえないような)関係先でも、反社会的勢力と疑われる者がいれば、上場審査がストップしてしまいます。

そして①に加えて、
②反社会的勢力との関わりをもつことがないような管理体制が構築できているか
 も強く要請されています。
会社全体として、反社会的勢力との関わりをもつことがないように取り組んでいるかについて、「(新規)取引の開始時にどういう調査をしていますか」とか「取引先との契約書には、反社会的勢力排除条項(反社会的勢力でないことを宣誓するとか、相手が反社会的勢力だと判明した場合には一方的に契約解除できるというような条項)を盛り込んでいますか」のようなことが確認され、「反社会的勢力対応マニュアル(規程)」の整備も求められます。


この最近、新規上場の会社数が大きく減っていますが、その一因が反社会的勢力関連とも言われています。

ということで、これから上場を目指す会社さんについては、反社会的勢力対策もしっかりやって頂きたいと思います。
なお、反社会的勢力対策がしっかり出来るかどうかは、経営者(経営陣)にかかっていると思います。
(上場プロジェクト事務局がいくら頑張っても、経営者(経営陣)が反社会的勢力対策を軽視していたらダメだと思います)


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ベンチャー企業の失敗・トラブル・ヒヤリ事例に学ぶ

経済産業省のHPに、
ベンチャー企業の経営危機データベース ~83社に学ぶつまずきの教訓~
が公表されています。
(日経産業新聞 5月30日で紹介)

経済産業省 経済産業政策局 新規産業室が、ベンチャー企業に失敗、トラブル、ヒヤリとした経験についてのインタビュー調査を個別インタビューとして実施した調査結果報告です。
調査し公表の了承を得られた83社(うち23社は倒産)について、どのような経営危機・課題に直面したのかをまとめており、業種別、地域別や失敗の原因別などに分類しデータベース化しています。

分量が多く、読みきれていませんが、しっかり読み込む価値のある資料のようです。
短時間で読むには、まずベンチャー企業の経営危機10選(代表的な事例)が、いいかもしれません。

集計されている「失敗の原因」の上位は、
 1位:経営管理能力の欠如
 2位:商品・マーケティング 戦略ミス
 3位:市場環境の悪化
となっており、最大の課題は「経営管理能力」不足ということです。
IPOにおいても、「経営管理能力」については審査における重点ポイントとされていますが、本資料でも企業の側の認識として、「経営管理能力」の必要性が示されています。

これから上場を目指す企業の方にも、本資料を読まれることは有意義なものではないかと思います。
(失敗談ばかりを膨大な量読むことは精神衛生上はあまりよろしくはないのでしょうが)


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ドラマ「監査法人」第1回の感想

土曜日夜のNHKドラマ「監査法人」を観ました。

よく練られており、とても面白く出来ていると思います。

私は、しばらく前に監査の現場を離れた身でもありますし、「このシーンは実際の監査現場ではどうの(この設定はどうなんだろうか、とか、現実とは違う・・・)」のような詳細な感想を述べるのはやめようと思います。
(見ていませんが、恐らく現役の監査人さんのブログ等で話題になっているでしょうから)


興味があるのは、会計士業界以外の方の本ドラマの感想です。
若杉会計士が信念をもって監査に立ち向かう姿を、自分は当然のこととして支持・応援しながら観ていましたが、もしかすると企業に属する方(監査を受ける側)や、主婦・学生さん等の一般の方は異なる見方をされたりしているのでしょうか。
亡くなられた方の葬儀のシーンでは、「なぜあの状況で若杉会計士が責められるの?」というのが私の正直な感想です。
ですが、あのようなシーンにおいて会計士業界以外の方は異なる感覚になられたりしたのでしょうか。「そうだ。企業がつぶれては困るので、粉飾決算を承認しろ!」のような想いで見ていた方も多くおられるのでしょうか?

もし、このドラマの視聴者アンケート(会計士(監査法人所属・監査法人所属以外)、証券会社、企業(経営者・一般従業員)、主婦、学生のようなカテゴリー別で)のようなものでもあれば、とても興味深いです。
そのアンケート結果が、日本の資本市場における監査制度に対する理解・期待度合いを如実に表すような気がします。


第2回(21日土曜日)も忘れずに観ようと思います。

「持株制度に関するガイドライン」が改正されています

上場準備会社が従業員持株会を運営するにあたって遵守が求められているガイドラインが08年6月5日付けで改正されています。

 日本証券業協会HP(持株制度に関するガイドライン)

改正内容は、「証券取引法」→「金融商品取引法」や「証券会社」→「金融商品取引業者」など字句の修正が多いようですが、新規加入・臨時拠出時のインサイダー取引規制への対応や、取引先持株会に関する章の新設など、字句だけでない改正点もあります。
(取引先持株会に関する章の新設は、「買収防衛のための安定株主づくりなどを目的として取引先持株会を新設・拡充する上場企業が増えている」というニュースが最近出ていましたが、その流れでしょうか)

どこが変わったのかは見比べないとわからないため、新旧対照表を公表してくれればと思いました。

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いよいよ今週土曜日「ドラマ 監査法人」

しばらく前にご紹介しました(過去記事)「NHKドラマ 監査法人」が6月14日からスタートします。

NHK名古屋の番組紹介ページ

全6回は、以下のようなタイトルだそうです。
 【第1回】 「会社、つぶせますか」
 【第2回】 「二千億円の裏帳簿」
 【第3回】 「粉飾の連鎖」
 【第4回】 「崩壊の序曲」
 【第5回】 「夢の代償」
 【第6回】 「会社、救えますか」

よく、観ようと思っていたテレビをうっかり忘れるので、さきほど第1回分の録画予約をしました。

どんな内容なのか楽しみです。

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(読書録)私が絶望しない理由

著名人9名へのインタビューをまとめた書籍です。
(渡邉美樹、たかの友梨、武田早雲、森永卓郎、大石佳能子、鈴木亜久里、中村紀子、清宮克幸、西室泰三)



それぞれ、現在はそれなりに成功されている方々ですが、どん底の厳しい状況を乗り越えて現在に至っているとのことです。そのどん底の時に、どのように考えていたのかが語られていてとても興味深く読めました。
「感情のライフライン」として、時系列(年代別)で気持ちのプラスマイナスが書かれているのも、参考になりました。

なお、本書のサブタイトルは、
「激白・あの有名人9人の土壇場、修羅場、正念場」
です。

「期超え上場」激減

いわゆる「期超え上場」が激減しています。


「期超え上場」とは?
通常は、基準決算期(直前期)の次の期(申請期)に上場日となりますが、上場日が更に次の期となる場合をいいます。
(例えば、「07年3月期基準」の場合、08年3月期(~08年3月)に上場するのが標準ですが、上場申請が遅れた場合や上場審査が長引いた場合等によって08年4月~6月に上場するケースを指します。08年6月までに上場できないと、07年3月期基準の上場はなくなり、08年3月期基準として再トライとなってしまいます。)


例年であれば、4月~6月は3月決算会社の(期超え上場)駆け込み時期ですので、相当数の企業が上場します。


が、今年は、「3月決算会社の期超え上場」は、以下のわずか2社だけです。
・アールテック・ウエノ(08年4月9日上場)
・イナリサーチ(08年6月25日上場予定)


ちなみに、昨年(07年)は、3月決算会社の期超え上場が22社ありました。
(4月上場 - 10社)
 ・データリンクス
 ・エイチアイ
 ・八千代銀行
 ・アイティメディア
 ・ホリイフードサービス
 ・パシフィックシステム
 ・ケアネット
 ・ディーブイエックス
 ・データ・アプリケーション
 ・ニューフレアテクノロジー
(5月上場 - 3社)
 ・日本テクノ・ラボ
 ・幼児活動研究会
 ・タケエイ
(6月上場 - 9社)
 ・エヌ・ティ・ティ・データ・イントラマート
 ・タカギセイコー
 ・カービュー
 ・日本一ソフトウェア
 ・サイバーコム
 ・セーラー広告
 ・インフォテリア
 ・ネットインデックス
 ・UBIC

今年の上場会社数の少なさは、年初頃に新聞等で想定されていた(130社とか100社とか)よりも極めて深刻な状況になっているといえます。
株式マーケットの低迷、サブプライム問題等に起因する景気の鈍化、新興市場上場企業の不祥事の頻発、反社会的勢力関連の審査強化、J-SOX対応などなど、IPO希望企業にとっては、現在は超氷河期だと思います。

今年や来年については上場会社数は低水準となると思いますが、そういう状況にあるからこそ、上場を実現できるチャンスがある会社さんには、体制整備の遅れなど防ごうと思えば防げるような失敗をされることなく、上手に上場を実現されるよう頑張って頂きたいと思います(応援しております)。


(参考過去記事) 上場は「目標にあらず」?

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